日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
60 巻, 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
Image of the Month
総説
  • 小山 恒男, 高橋 亜紀子
    2018 年60 巻2 号 p. 119-124
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー HTML

    欧米では20世紀後半からBarrett食道腺癌が急増し,1990年代には過半数を占めるに至った.一方,本邦での食道癌は大部分が扁平上皮癌だが,食道腺癌も漸増傾向にあり,約6%に達している.

    Barrett食道癌の内視鏡所見は基本的に早期胃癌と同様で,色調差,高低差が診断の発見の鍵である.その基本形は0-Ⅰ,0-Ⅱa,0-Ⅱb,0-Ⅱcであり,0-Ⅲは稀である.鑑別すべき疾患は腸上皮化生,びらん,炎症だが,WL非拡大内視鏡による鑑別は難しい.したがって,米国では米国における標準的surveillance法はSeattle protocolすなわち,1-2cm毎の盲目的4点生検とされている.

    しかし,NBI拡大内視鏡を用いて,その表面構造,血管構造を詳細に検討すると診断が可能となる.筆者らの検討では約50%の症例で組織学的に0-Ⅱb進展を合併しており,白色光観察での随伴0-Ⅱb診断率は25%と低率であるが,NBI拡大観察では94%と良好であった.しかし,LSBEに発生した粘膜内癌は,時に存在診断が困難であるため,LSBEのsurveillanceはNBI拡大内視鏡観察に精通した専門施設で行う事が望まれる.

原著
症例
手技の解説
  • 郷田 憲一
    2018 年60 巻2 号 p. 158-173
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー HTML
    電子付録

    欧米においてBarrett腺癌は急増しているが,本邦では依然まれである.しかし,本邦における逆流性食道炎罹患率は上昇しており,今後,Barrett食道および腺癌の増加が憂慮されている.進行したBarrett腺癌の予後は不良であり,患者予後の改善には内視鏡による早期発見が必要である.本邦ではBarrett食道の大多数がshort segment typeであることから,腺癌病変の多くは内視鏡的観察の難しい食道胃接合部に局在する.よって,その早期発見には観察のコツと高い内視鏡診断能を要する.内視鏡観察の基本は通常観察であるものの,酢酸法やNarrow Band Imaging(NBI)を併用した拡大観察の有用性が確立されつつある.本稿では筆者らの経験と国内外の臨床研究成果に基づき,内視鏡を用いたBarrett腺癌の早期発見に肝要と思われるテクニックと診断体系について,実際の症例を供覧しつつ解説したい.

  • 赤坂 智史, 竹内 洋司, 上堂 文也
    2018 年60 巻2 号 p. 174-179
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー HTML
    電子付録

    Underwater EMR(以下UEMR)は消化管の管腔内を水で満たした状態で粘膜下局注を行わずに病変をスネアで絞扼し,高周波手術装置を用いて通電切除する方法である.消化管内腔を脱気し水で満たすと,粘膜・粘膜下層が固有筋層から管腔内に浮かぶ様に突出し,スネアによる絞扼が容易となる.本稿では大腸ポリープに対するUEMRの処置の実際について解説する.

資料
  • 河村 卓二, 和田 浩典, 𥔎山 直邦, 上田 悠揮, 白川 敦史, 岡田 雄介, 真田 香澄, 中瀬 浩二朗, 萬代 晃一朗, 鈴木 安 ...
    2018 年60 巻2 号 p. 180-188
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー HTML

    【背景と目的】無症状の被検者に対する上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy;EGD)の検査時間の意義は確立されていない.今回の検討の目的は,無症状の被検者へのEGDに長い時間を費やす内視鏡医が,より多くの腫瘍性病変を見つけているかを明らかにすることである.

    【方法】2010年4月から2015年9月に筆者らの施設で施行されたEGDのデータベースを後ろ向きに検討した.観察時間により内視鏡医を分類するために,生検を施行した症例を除いた平均観察時間を算出し,スタッフ医師を短時間群・中間群・長時間群の3群に分けた.3群間の腫瘍検出割合の差異を多変量解析にて比較した.

    【結果】対象期間内に施行した55,786件のEGDのうち,スタッフ医師が無症状の被検者に対して施行した15,763件のEGDを分析した.生検を施行していない13,661件のEGDの平均検査時間は6.2分(範囲:2-18分)であった.カットオフ値を5分と7分に設定すると,4名の内視鏡医が短時間群(平均時間4.4±1.0分),12名の内視鏡医が中間群(平均時間6.1±1.4分),そして4名の内視鏡医が長時間群(平均時間7.8±1.9分)に分類された.短時間群・中間群・長時間群の腫瘍検出割合は,それぞれ0.57%(13/2,288),0.97%(99/10,180),0.94%(31/3,295)であった.多変量解析では,短時間群と比べた中間群・長時間群の腫瘍検出割合のオッズ比は,それぞれ1.90(95% 信頼区間[CI],1.06-3.40),1.89(95% CI,0.98-3.64)であった.

    【結論】EGDに適切な検査時間を費やさない内視鏡医は,病変を見逃している可能性がある.

内視鏡室の紹介
最新文献紹介
  • 蘆田 玲子
    2018 年60 巻2 号 p. 192
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/20
    ジャーナル フリー HTML

    【背景】膵の上皮内新生物は,超音波内視鏡(EUS)にて慢性膵炎様変化としてとらえられることがある.本研究の目的は,BRCA2変異キャリアがどの程度非キャリアよりEUSにおける慢性膵炎様変化を示すかを調べることである.

    【方法】内視鏡データベースからEUS目的に紹介されたBRCA2突然変異を有する患者を同定し,医療記録,EUSレポート,およびEUS画像について検討した.対照として,性別,EUS施行日,内視鏡専門医,および内視鏡機種を一致させた症例を1:2の割合で抽出した.慢性膵炎様変化の評価はRosemont分類を用いた.

    【結果】37人のBRCA2変異キャリアと92人の対照症例がEUSを受けた.対照群と比較して,BRCA2変異キャリア群は,膵臓の充実性病変(16.2%対1.08%;P=0.005),膵嚢胞(21.6%対6.1%;P=0.01),Rosemont分類における「慢性膵炎と一致する」所見(13.5%vs 1%;P=0.002),またはRosemont分類における「慢性膵炎を示唆する」所見(16.2%対2.1%;P=0.003)を有意に有していた.年齢,アルコール摂取,および喫煙歴を調整した後,BRCA2変異キャリアは,慢性膵炎様変化を示す可能性が約25倍高いことが判明した.

    【結論】BRCA2変異キャリアにおいて,慢性膵炎様の変化は膵臓の充実性および嚢胞性病変とともに,非キャリアよりも有意に多くみられた.

Information
feedback
Top