日本消化器内視鏡学会雑誌
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66 巻, 10 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
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総説
  • 大森 鉄平
    2024 年66 巻10 号 p. 2427-2438
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/21
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    電子付録

    2000年にカプセル内視鏡検査(Capsule Endoscopy:CE)が発表されてから,CEは今まで検査が困難であった小腸に対して侵襲性少なく検査が行えるようになった.CEは総じて比較的非侵襲的な診断ツールであるが,潜在的なCE特有の有害事象が発生する可能性がある.われわれはこのツールを日常臨床で有効に活用するために,その有害事象について十分な知識を有する必要がある.CE特有の有害事象としては滞留と誤嚥がある.パテンシーカプセル(Patency Capsule:PC)による腸管開通性評価はCE滞留を回避する重要な手段であるが,PC自体にもコーティング膜の遺残や腸閉塞,さらにPC局在の誤判定に起因するCE滞留などの有害事象がある.これらの有害事象を低減するためには,CEのみならずPCによる開存性評価を行う患者を選択する際,問診による詳細な医療情報を取得する必要があると考えられる.

  • 桑原 崇通, 原 和生
    2024 年66 巻10 号 p. 2439-2447
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/21
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    胆膵領域疾患はCTやMRIだけでは確定診断が困難で,EUSやEUS-FNAなどを行うことが必要であるが,術者依存が強いことが欠点である.人工知能(artificial intelligence:AI)は大腸ポリープ検出をはじめ,医療画像診断に活用され薬事承認され日常臨床で使用されている.胆膵疾患に対するAIは本邦では薬事承認された機器は存在しないが,膵腫瘍・膵囊胞・胆囊腫瘍の検出や鑑別など有望な研究報告が散見される.胆膵疾患は消化管疾患に比して有病率が低いため,AIの開発・検証に必要なデータを収集するコストが高くなってしまう.胆膵疾患だけではなく有病率が低い疾患診断のためのAI開発を推進するためには効率的なデータ収集法を確立する必要がある.

症例
  • 渡部 嘉文, 福知 工, 土田 泰昭
    2024 年66 巻10 号 p. 2448-2453
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/21
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    症例は74歳,男性.食事のつかえ感,嘔吐のため当院を受診した.上部消化管内視鏡検査で食道下部に全周性腫瘍,胃体上部大彎に単発の粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.食道腫瘍と胃病変ともに生検組織で索状や充実性に増殖,浸潤する大型異型細胞を認めた.両病変の腫瘍細胞はCK7,CK20,アルシアンブルーが陽性,p40,synaptophysin,chromogranin A,CD56が陰性を示し,低分化腺癌であった.CT検査で明らかなリンパ節腫大,肝・肺腫瘤は認めなかった.胃壁内転移を伴う食道低分化腺癌と診断し,ステント留置後に化学療法を施行している.食道腺癌の胃壁内転移は稀であるが,治療方針や予後に関わるため,内視鏡観察で胃壁内転移を見落としなく正確に診断することが重要である.

  • 小笠原 かな子, 千葉 宏文, 清水 翔太, 小泉 薫, 天野 朋彦, 新海 洋彦, 小野寺 美緒, 石山 文威, 萱場 尚一
    2024 年66 巻10 号 p. 2454-2460
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/21
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    腸管囊腫状気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:PCI)は腸管壁内に多数の含気性囊胞を形成する原因不明の疾患であり,その発生機序は諸説あるが不明である.今回われわれは肺Mycobacterium avium complex(MAC)症の抗菌薬の内服治療開始後に発症し,治療終了後に消失したPCIの2例を経験した.PCIの発症に抗菌薬の長期内服が関与したと推測されるが,これまでPCIと抗菌薬との関連について報告している症例は少なく,本症例は貴重な症例と思われた.肺MAC症は近年,増加傾向にある疾患であり,今後同様の症例に遭遇する機会が増えると思われ,注意喚起とともに報告する.

  • 倉橋 知英, 山田 拓哉, 米田 菜穂子, 米田 慎司, 三宅 崇之, 小林 千夏, 平尾 元宏, 後藤 孝吉, 法水 淳, 平松 直樹
    2024 年66 巻10 号 p. 2461-2466
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/21
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    71歳女性.10日前からの嘔吐,水様下痢,食欲不振で前医を受診した.腹部CTで回盲部から肝彎曲部まで腸重積を認め,同日当院を受診した.大腸内視鏡検査で,回盲弁から肝彎曲部付近まで連続した腸重積が観察され,腸重積の先進部に紫色に色調変化した2cm大の腫瘍性病変を認めた.生検の結果,小腸神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)G1と診断し,腸重積の先進部となった下部回腸の腫瘤から上行結腸までを切除する腹腔鏡補助下回盲部切除術およびリンパ節郭清を施行した.小腸NETは稀であり,術前診断が困難であることから,手術時にリンパ節郭清が行われない場合もある.本例は,術前の大腸内視鏡検査で小腸NETと診断しえたことで適切な治療を選択できた.

  • 池端 敦, 白木 健悠, 関野 泰幹, 増尾 隆行, 小野 貞英
    2024 年66 巻10 号 p. 2467-2474
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/21
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    症例は64歳,男性.45歳時に潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)を発症し,58歳時からはアダリムマブにて臨床的寛解が維持されていた.定期外来受診時に胆道系酵素の異常がみられ,多発肝転移を伴う虫垂低分化腺癌と診断された.画像検査の遡及的な解析により,経過中に虫垂開口部には粘膜病変が出現していたが,組織学的な確定診断は得られなかった.UCと虫垂癌の合併は極めてまれではあるが,UCの経過中に虫垂開口部に粘膜病変がみられた場合は虫垂癌による二次的な変化や慢性虫垂炎との鑑別が重要である.鑑別ができない場合は,虫垂癌を念頭においた他の画像検査による評価や手術介入について検討が必要である.

手技の解説
  • 小林 真理子, 秋山 慎太郎, 奈良坂 俊明
    2024 年66 巻10 号 p. 2475-2483
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/21
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    消化管毛細血管拡張症は大腸に最も多く,間欠的で再発性の出血をしばしば起こす.その出血は約40%で自然止血が期待できるが,輸血や入院を必要とする出血となることもある.入院を要する血便患者のうち大腸毛細血管拡張症出血は1.3%を占めることが本邦の大規模コホート研究で示されている.毛細血管拡張症出血に対する内視鏡的治療は,急性期出血の止血効果を期待できるものの,再出血予防効果においては評価が定まっていない.止血方法としては,アルゴンプラズマ凝固(argon plasma coagulation:APC)治療が第一選択と考えられている.本稿では,大腸毛細血管拡張症出血の臨床的特徴と治療方針,APCの概要と治療の実際,そして内科的治療を含めた課題について解説する.

資料
  • 青木 智則, 山田 篤生, 小林 克誠, 山内 淳嗣, 大森 順, 池谷 敬, 青山 大輝, 冨永 直之, 佐藤 義典, 岸埜 高明, 石井 ...
    2024 年66 巻10 号 p. 2484-2497
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/21
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    電子付録

    【背景と目的】急性下部消化管出血において,出血所見(SRH:Stigmata of recent hemorrhage)は内視鏡治療の適応とされている.出血所見同定が強く見込まれる患者には大腸内視鏡検査の施行が望まれるが,出血所見の予測因子は明らかになっていない.今回,全国規模のデータを用いて,出血所見を効率的に同定するための予測モデルを構築することを目的とした.

    【方法】CODE BLUE-J研究(全国49病院)において,急性下部消化管出血で緊急入院し,入院中に大腸内視鏡検査を施行された8,360例を後方視的に解析した.まず,4,863例を用いて,出血所見同定予測モデルを作成した.「患者背景因子」,「内視鏡関連因子(内視鏡タイミング,腸管前処置,器具)」,「CT検査での血管外造影剤漏出像の有無」を網羅的に評価した.次に,予測モデルの性能を3,497例を用いて外部検証した.

    【結果】28%の患者に大腸の出血所見を認めた.高性能の出血所見同定予測モデル(CS-NEEDスコア:ColonoScopic factors, No abdominal pain, Elevated PT-INR, Extravasation on CT, and DOAC use)を構築した(AUC;モデル作成群0.74,外部検証群0.73).このスコアはまた,活動性出血の高い予測能を示した(AUC;モデル作成群0.73,外部検証群0.76).外部検証群における低スコア(0-6点),中間スコア(7-8点),高スコア(9-12点)の患者の出血所見同定率はそれぞれ,20%,31%,64%であった(傾向検定P<0.001).

    【結論】大腸の出血所見同定のための新しい予測モデル(CS-NEEDスコア)は,急性下部消化管出血において内視鏡治療遂行の見込みが高い大腸内視鏡検査を特定しうる.初療時にこのモデルを用いることで,出血所見の効率的な発見および治療につながるだろう.

ポジションステートメント
  • 森 悠一, 石原 立, 緒方 晴彦, 久津見 弘, 斎藤 豊, 炭山 和毅, 関口 正宇, 田尻 久雄, 藤城 光弘, 松田 浩二, 矢野 ...
    2024 年66 巻10 号 p. 2499-2508
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/21
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    消化器内視鏡検査領域において人工知能(artificial intelligence:AI)の研究開発が盛んになっている.薬事承認を受けている内視鏡AI医療機器は国内だけでも10以上にのぼり,多数のランダム化比較試験が本邦および海外から発表されている.しかしながら,AI導入における臨床効果と不利益のバランスに関する検証不足・不明瞭な費用対効果・信頼できるガイドラインの欠如・確立されていない診療報酬加算などの理由から,その導入は円滑に進んでいるとは言い難い.

    この状況を鑑み,日本消化器内視鏡学会は,内視鏡診療におけるAIの状況についての見解を,以下のポジションステートメント(声明)として提供する.本声明は,日本消化器内視鏡学会AI推進検討委員会が主体となり,多様性に富んだパネルメンバーとともに作成した9個のステートメントからなる.これらのステートメントは,内視鏡検査の質・費用対効果・診療上の不利益・準備知識・医療安全/法的責任に関するものを包括的に含んでおり,実際の内視鏡検査の現場で役立つよう配慮し作成された.

内視鏡室の紹介
最新文献紹介
  • 吉井 新二
    2024 年66 巻10 号 p. 2518
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/21
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    【背景と目的】直接経口抗凝固薬(Direct oral anti-coagulants;DOAC)を用いた内視鏡的切除後の後出血率は高いが,ばらつきがある.本研究(ABCD-J study)は,日本における各DOACとワーファリンの大腸ESD後の後出血率を比較分析することを目的とした.

    【方法】2012年から2021年の期間にわたり,国内47施設で実施された34,455例の大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)症例のうち,DOAC内服1,019例と,ワーファリン内服459例を遡及的に検討した.

    【結果】DOAC群およびワーファリン群の平均腫瘍径は,それぞれ29.6±14.0mmおよび30.3±16.4mmであった.DOAC群では,ダビガトランの後出血率(18.26%)がアピキサバン(10.08%,P=0.029),エドキサバン(7.73%,P=0.001),リバーロキサバン(7.21%,P<0.001)よりも有意に高かった.リバーロキサバンのみがワーファリン(11.76%,P=0.033)よりも有意に低い後出血率を示した.多変量解析ではヘパリン置換(オッズ比[OR]2.18,95%信頼区間[CI]1.27-3.73,P=0.005),直腸(OR 2.01,95% CI 1.28-3.16,P=0.002),手技時間≧55分(OR 2.43,95% CI 1.49-3.95,P<0.001)がDOAC群における後出血の有意な危険因子であった.DOAC群における後出血リスク(OR,95% CI)は,危険因子が1つある場合は2.13(1.30-3.50),2つある場合は4.53(2.52-8.15)であった.

    【結論】ダビガトランは他のDOACよりも後出血率が高く,リバーロキサバンだけがワーファリンよりも有意に後出血率が低かった.

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