日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
症例
経験
手技の解説
  • 壷井 章克, 岡 志郎
    2025 年 67 巻 4 号 p. 319-327
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/21
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    2008年にAkermanらが従来のバルーン内視鏡(balloon assisted endoscopy:BAE)とは全く異なるコンセプトの小腸内視鏡であるスパイラル内視鏡を開発した.このスパイラル内視鏡を改良し,らせん状のフィンを電動化した内視鏡がパワースパイラル内視鏡である.電動化したらせん状のフィンが腸管をたぐりよせることで深部小腸への挿入を可能にし,従来のBAEよりも効率よく深部小腸への挿入を可能としている.海外では2019年から臨床使用が開始されているが,本邦ではまだ導入初期であり,本邦におけるパワースパイラル内視鏡の位置付けについては今後の検討課題である.

資料
  • 川上 裕史, 石原 立, 松野 健司, 脇 幸太郎, 七條 智聖, 吉井 俊輔, 金坂 卓, 山本 幸子, 竹内 洋司, 東野 晃治, 上堂 ...
    2025 年 67 巻 4 号 p. 328-335
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/21
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    【背景と研究の目的】食道扁平上皮癌(squamous cell carcinoma;SCC)のリスクを,食道を刺激するヨード染色を用いずに内視鏡所見で予測することは有益である.以前のレトロスペクティブ研究で,われわれは,narrow band imaging(NBI)/blue laser imaging(BLI)で認められる食道粘膜の多発拡張血管の小集簇(multiple foci of dilated vascular areas;MDV)が,ヨード不染帯と関連し,食道扁平上皮癌の予測因子となりうることを明らかにした.この前向き研究では,MDVと異時性食道扁平上皮癌との関連を検討することを目的とした.

    【対象および方法】食道扁平上皮癌に対する内視鏡的切除歴のある患者を対象とした.まず,初回内視鏡検査時にNBIまたはBLIを用いてMDVの評価を行った.その後,内視鏡的サーベイランスにより異時性食道扁平上皮癌の有無を調べた.MDVの数と異時性食道扁平上皮癌の発生率との関連を検討した.

    【結果】2018年2月から2019年5月までに206例が登録され,201例が解析対象となった.患者は2022年10月まで追跡された.内視鏡追跡期間の中央値(四分位範囲)は1,260(1,105~1,348)日であった.2年後の異時性食道扁平上皮癌の発生率は,MDV≦4の患者で7.1%,MDV≧5の患者で13.9%であった(P<0.01).多変量解析では,MDVは異時性食道扁平上皮癌の独立した予測因子であり,オッズ比(95%信頼区間)は2.37(1.06-5.31)であった.

    【結論】MDVは異時性食道扁平上皮癌のリスクを層別化する有用な予測因子である.

    【臨床試験番号】UMIN000031342.

内視鏡室の紹介
最新文献紹介
  • 土肥 統
    2025 年 67 巻 4 号 p. 339
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/21
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    【背景】胃腫瘍の早期発見は良好な治療結果をもたらす.最新の内視鏡システムEVIS X1には,第3世代Narrow-band imaging(3G-NBI),Texture and colorenhancement imaging(TXI),高精細白色光(WLI)が搭載されている.この無作為化第Ⅱ相試験は,胃腫瘍検出においてWLI,3G-NBI,TXIのいずれが最も有望な画像観察法であるか同定することを目的とした.

    【方法】食道癌または胃腫瘍の既往後にサーベイランス内視鏡検査が予定されている患者,または既知の食道癌または胃腫瘍に対する術前内視鏡検査を受ける予定の患者を,3G-NBI群,TXI群,WLI群に無作為に割り付けた.各群で内視鏡観察が行われ,新たな胃腫瘍病変が疑われる病変はすべて生検された.主要評価項目は,一次観察中の胃腫瘍検出率であった.副次的評価項目は,胃腫瘍の見逃し率,早期胃癌発見率,胃腫瘍診断の陽性適中率であった.有望な画像観察法の判定基準は,3G-NBIとTXIの間で胃腫瘍検出率がより高く,かつWLIを1.0%以上上回った観察法とした.

    【結果】最終的に901例が登録され,3G-NBI群,TXI群,WLI群に割り付けられた(それぞれ300例,300例,301例).3G-NBI群,TXI群,WLI群における胃腫瘍検出率は,それぞれ7.3%,5.0%,5.6%であった.胃腫瘍の見逃し率は1.0%,0.7%,1.0%,早期胃癌の検出率は5.7%,4.0%,5.6%,胃腫瘍診断の陽性適中率は3G-NBI群,TXI群,WLI群でそれぞれ36.5%,21.3%,36.8%であった.

    【結語】TXIおよびWLIと比較して,3G-NBIは胃腫瘍検出においてより有望な観察法である.

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