日本消化器内視鏡学会雑誌
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67 巻, 5 号
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総説
  • 仲瀬 裕志
    2025 年67 巻5 号 p. 1039-1047
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/20
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    アミロイドは消化管に沈着しやすいため,消化管からの生検は病理診断の対象となる.そのため,消化管病変を有する全身性アミロイドーシス患者において,内視鏡的および組織学的観点からその特徴を学ぶ必要がある.消化器症状は通常非特異的であるが,アミロイド沈着の病理組織学的パターンは臨床的および内視鏡的特徴と関連している.AL,Aβ2M,ATTRアミロイドは粘膜下層に沈着しやすい.一方で,AAアミロイドは粘膜表層に沈着しやすい.その結果,ALアミロイドーシスは通常,便秘,機械的閉塞,慢性腸閉塞を呈するが,AAアミロイドーシスは下痢や吸収不良を呈する.十二指腸では,細かい粒状の外観やポリープ状の突起が生じやすく,生検陽性率の高い十二指腸からの生検標本採取を考慮すべきである.アミロイドーシスの消化管症状はほとんどが難治性であり,患者のquality of Lifeや生存に影響を及ぼす.アミロイドーシスは予後不良の疾患であるため,早期の診断と治療が必要であり,内視鏡検査が診断に重要な役割を果たす.

  • 松枝 克典, 上堂 文也, 北村 昌紀
    2025 年67 巻5 号 p. 1048-1059
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/20
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    胃神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)は一般的に低悪性度の経過をたどり予後がよい腫瘍である一方,胃神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma:NEC)は,発生頻度が胃癌全体の0.2~0.6%と稀だが,急速な発育性質をもち,脈管侵襲陽性率・転移率の高い,高悪性度腫瘍である.そのため,進行した状態で発見されることが多く,確立された治療方法もないため予後不良の疾患である.また,胃NECは,先行する分化型腺癌の深部で発生するため,術前生検病理組織学的診断の正診率が低く,確定診断に時間を要することもある.このように,胃においてNETとNECは全く異なる性質の腫瘍であり,悪性度が非常に高い胃NECは胃NETまたは一般型胃癌とも厳密に区別しなければならない.しかし,これまで胃NET,胃NECの特定の病理組織学的診断に至る特徴的な内視鏡像についての報告は少ないのが現状である.本稿では代表的な内視鏡所見を提示しながら,胃NET,胃NECの内視鏡診断の要点について概説する.

原著
  • 下出 哲弘, 松江 泰弘, 王 紅兵, 鷹取 元, 増山 喜一
    2025 年67 巻5 号 p. 1060-1068
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/20
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    【背景・目的】EGD検診受診者において,近年増加が指摘される表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(superficial non-ampullary duodenal epithelial tumors:SNADETs)の発見率及びその比率に影響する因子を検討した.

    【方法】5年間のEGD検診受検者13,138例を対象としてSNADETsの発見率を算出した.また,当該の内視鏡医の内視鏡実施件数に対するSNADETs発見症例数で定義されるSDR(SNADETs detection rate)を算出し,SDRに影響する因子を抽出した.

    【結果】5年間のEGD受検者のSNADETs発見率は0.21%(=27例/13,138例)で既報(0.03~0.04%)より高かった.また,各内視鏡医のSDRは0.29~5.95‰(中央値:1.39‰)と大きな相違があり,SDRの高い内視鏡医は他の内視鏡医と比べ下十二指腸角~水平部のSNADETsを有意に多く発見していた.

    【結論】EGD検診での下十二指腸角~水平部までの丹念な十二指腸の内視鏡観察はSNADETsの発見率を向上させることが示唆された.

症例
  • 山田 充子, 安部 智之, 上杉 淳, 横山 涼太, 齊藤 聖也, 大岩 修太郎, 小野 道洋, 前田 征洋, 藤田 美悧
    2025 年67 巻5 号 p. 1069-1075
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/20
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    症例は83歳女性.2011年からシェーグレン症候群と診断され近医に通院中であった.また心房細動のため抗凝固療法中であった.2023年1月貧血の精査目的で当院消化器内科に紹介となった.上部消化管内視鏡検査で胃体下部大彎やや前壁寄りに10mm程度の0-Ⅱc様の褪色調陥凹性病変を認め,生検をしたが,その翌日に黒色便が続いたため内視鏡検査を再検したところ,生検部分から湧出性出血を認め,内視鏡的止血術を施行した.病理組織でアミロイドの沈着を認め,免疫組織学検査でトランスサイレチンアミロイドーシスと診断された.生検後出血については,アミロイド沈着による組織の脆弱性や抗凝固療法の影響と考えられた.

  • 本田 秀穂, 佐藤 雄高, 伏見 絵里奈, 仲谷 朋久, 後藤 康彦, 香川 浩一, 村上 和成
    2025 年67 巻5 号 p. 1076-1082
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/20
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    症例は28歳,男性.筋萎縮性側索硬化症で気管切開後,胃瘻造設状態(24Fr)であった.画像上は総胆管結石を指摘できなかったが,胆管炎を繰り返すためERCPの方針とした.十二指腸内視鏡は経口から挿入困難であったため,胆囊結石症に対して腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.その後も胆管炎を繰り返すため,胃瘻から細径内視鏡を挿入し5Fr胆管ステントを留置した.定期的にステント交換を行っていたが,胆管ステントの迷入による胆管炎を発症した.胃瘻の拡張後に十二指腸内視鏡を挿入し胆管ステントの抜去,内視鏡的乳頭括約筋切開術,結石除去を施行した.合併症はなく,胆管炎の再発も認めなかった.

  • 樋口 大介, 久志 一朗, 大城 康二, 熱海 恵理子
    2025 年67 巻5 号 p. 1083-1089
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/20
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    特に既往歴のない20代男性で右下腹部痛,発熱,下痢で発症したクリプトスポリジウム(Cryptosporidium:CP)症の1例を経験した.通常の便検査では原因不明であったが,腸生検組織検査にてCP原虫の存在が疑われ,生検組織のPCR検査によりCryptosporidium parvum(ウシ型)によるCP症と診断した.本症例のように単なるウイルス性腸炎にしては下痢などの腹部症状が高度で長期に及ぶ場合は,生活歴などの問診を詳細に行い,本症例をはじめとする寄生虫疾患を念頭に,便検査(抗酸菌染色やショ糖遠心浮遊法など)の追加を考慮する.また,病理医との連携の上で,生検を含む大腸内視鏡検査を行うことが重要である.

  • 鍋山 健太郎, 福嶋 康道, 馬場 真二, 長谷川 申, 田口 順, 河口 康典
    2025 年67 巻5 号 p. 1090-1096
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/20
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    症例は86歳男性.大腸癌手術歴があるため全大腸内視鏡検査を実施したところ,上行結腸に10mm大の表面隆起性病変を認めた.病変には開Ⅱ型pitに相当する所見があり,病理組織生検ではSessile serrated lesion(SSL)と診断した.多発する腺腫性ポリープを内視鏡切除し,SSLは経過観察した.2年1カ月後,肉眼的な形態変化はなかった.4年3カ月後,病変の中心に浅い陥凹を認め,生検で高分化管状腺癌が疑われて内視鏡切除した.病理結果は,粘膜下層(2,000μm)に浸潤したリンパ管侵襲陽性の高分化管状腺癌であった.遺伝子検査でBRAF変異を認めた.SSLの発育・進展を推測する上で興味深い症例であり報告する.

注目の画像
手技の解説
  • 千葉 秀幸
    2025 年67 巻5 号 p. 1099-1108
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/20
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    大型隆起性病変に対する大腸ESDは高度な技術が求められる.大型隆起性病変はその形状や腫瘍サイズの増大に伴い線維化や筋層牽引を伴う可能性が高まりその複雑さが増す.こうした課題に対応するため,当院では基本的なトンネル法に加え,より難易度の高い症例に対してダブルトンネル法を採用している.この方法は,トンネル内で線維化や筋層牽引領域を認めた場合にその両サイドに2本のトンネルを形成し剝離することで,一括切除と安全性の向上を図るものである.大型隆起性病変の中でも特に4cmを超える病変では,高度線維化や筋層牽引のリスクと同時に腫瘍浸潤も高度になる可能性が高まるため,術前の診断と同時に病変部位や患者背景など総合的に判断した上での治療方針の選択が重要であり外科手術の必要性についても考慮が必要である.

資料
  • 高林 馨, 杉本 真也, 南木 康作, 吉松 裕介, 清原 裕貴, 三上 洋平, 筋野 智久, 加藤 元彦, 細江 直樹, 下田 将之, 矢 ...
    2025 年67 巻5 号 p. 1109-1118
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/20
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    【背景・目的】近年の内視鏡機器や診断技術の進歩にもかかわらず,潰瘍性大腸炎の炎症性粘膜の複雑な背景と病変の形態的多様性のため,潰瘍性大腸炎関連腫瘍(Ulcerative Colitis associated neoplasia:UCAN)の早期発見は依然として困難とされている.今回,われわれはわれわれの持つUCANのコホートを用いて,平坦型dysplasiaに特徴的な粘膜模様を明らかにすることを目的とした.

    【方法】色素散布内視鏡にて詳細に観察された平坦型dysplasiaを有する61症例63病変を対象とした.平坦型dysplasiaの色素散布内視鏡像の特徴を明らかにするために色素散布内視鏡像をdysplasticな粘膜模様とnon-dysplasticな粘膜模様に大別し解析した.

    【結果】dysplasticな粘膜模様は,円形から類円形に近い構造を呈する小円形パターン(small round pattern)と,網目状の構造が入り組んだ網目状パターン(mesh pattern)の2種類に分類された.non-dysplasticな粘膜模様は,さざ波状(ripple-like type)と脳回状(gyrus-like type)の2つのタイプに分類された.35病変(55.6%)がsmall round patternを呈しており,51病変(80.9%)が何らかのmesh patternを呈していた.small round patternを有する病変の約70%とmesh patternを有する病変の49%がHigh Grade Dysplasiaまたは癌と診断され,small round patternを有する病変の約30%とmesh patternを有する病変の51%がLow Grade dysplasiaと診断された.

    【結論】色素散布内視鏡観察にてsmall round patternやmesh patternといった特徴的な粘膜変化パターンが認められた場合は,UCANの可能性を考慮する必要がある.

内視鏡室の紹介
最新文献紹介
  • 秋山 純一
    2025 年67 巻5 号 p. 1123
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/20
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    【背景】アカラシア(Ⅰ型・Ⅱ型)に対する経口内視鏡的筋層切開術(peroral endoscopic myotomy:POEM)は,バルーン拡張術(pneumatic balloon dilation:PBD)と比べて,2年間では高い治療効果が確認されている.しかしながら,5年以上の長期にわたる治療効果の持続性については明確ではない.本研究ではPBDとPOEMの長期の治療成績について評価した.

    【方法】この研究では,初回治療としてPBDまたはPOEMが施行されたアカラシア患者を後方視的に比較検討した.年齢,性別,Eckardtスコア,チャールソン併存疾患指数により算出された傾向スコアにより2群をマッチさせた.主要評価項目は追加治療までの時間とし,副次的評価項目は治療不成功,Eckardtスコア,治療セッション数,体重増加,有害事象とした.

    【結果】127名中,67名でPBD,60名でPOEMが施行され,平均観察期間は7年(四分位範囲 5-10年)であった.傾向スコアマッチングにより1対1マッチングを行った100名の患者について解析が行われた.患者背景(臨床的,内視鏡的,内圧検査変数など)は両群間で同等であった.POEM群はPBD群に比べて,追加治療までの時間が有意に長く(ハザード比0.139(95%CI,0.048-0.405),p<0.001),最初2年間の内視鏡回数は少なかった(p<0.001,linear marginal model analysis).2年超では,追加治療は両群間で同等であった.Eckardtスコア,体重増加に相違はなかった.在院期間はPBD群で短く(2 vs 4日,p<0.001),POEM群では穿孔を含む有害事象が多かった.

    【結語】POEMはPBDに比べて長期の治療効果の持続性の点で優れていたが,PBDは在院期間が短く,有害事象も少なかった.

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