日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
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最新号
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ミニ特集①:外科医が知っておきたい手術器材の洗浄,消毒,滅菌
巻頭言
総説
  • 水谷 光, 大出 めぐみ
    2019 年 16 巻 6 号 p. 596-604
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2020/02/14
    ジャーナル 認証あり

    手術医療の歴史上,滅菌は画期的な発見であった。確実な滅菌のためには,元々付着している微生物の生育菌数を洗浄によってあらかじめ減らしておくことが重要である。洗浄できていない器械は滅菌できていないと考えてよい。近年は洗浄の困難な器械が増えた。原則としてウォッシャーディスインフェクターで洗浄するが,ブラッシングや浸漬などの用手洗浄を必要とすることもある。超音波洗浄も有効な洗浄方法である。定期的および必要時の洗浄評価は欠かせない。執刀医として安全な器械を求めるならば,自分が使う器械の洗浄・滅菌についても知っておくべきである。洗浄・滅菌部門は医療施設で最大の利益を生む手術部になくてはならず,感染管理や安全管理の意味でも重要である。外科系医師は洗浄・滅菌部門の改善を求める権利と義務がある。なぜなら,手術医療の成績の維持と向上に直結するからである。洗浄・滅菌部門が頼りなくては手術医療は成り立たない。

  • 尾家 重治
    2019 年 16 巻 6 号 p. 605-610
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2020/02/14
    ジャーナル 認証あり

    手術器材の第1選択消毒法は熱である。70~93℃の熱水や蒸気での消毒を行う。熱消毒が行えない場合には,消毒薬で対応する。一方,手術器材の第1選択滅菌法は高圧蒸気である。134℃・8分間や121℃・20分間などでの滅菌を行う。高圧蒸気滅菌が行えない場合には,過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌などで対応する。

臨床研究
  • 齋藤 祐平, 深柄 和彦, 村越 智 , 室屋充明 , 上寺 祐之
    2019 年 16 巻 6 号 p. 611-614
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2020/02/14
    ジャーナル 認証あり

    手術支援ロボット用鉗子の汚染度について,箇所別の状況を検討した。使用後鉗子21本と器械台から返却された未使用鉗子8本の表面に付着する汚染量を,鉗子先端部,シャフトおよびハウジング部の外表面,内腔表面の3領域に分けて,タンパク質量を指標として評価した。使用後鉗子の3領域の汚染量は,鉗子先端部が1.37±0.34mg,シャフト部およびハウジング部の外表面が1.22±0.37mg,内腔表面が28.3±10.1mgであり,内腔表面と他の2ヵ所の間に有意差が認められた。未使用鉗子の汚染量はそれぞれ,0.030±0.003mg,0.27±0.22mg,0.44±0.07mgであった。内腔表面の汚染度が高く,内腔への体液などの浸入が示唆された。また汚染除去効率も限定的であった。狭細な内腔を有する手術器械の洗浄においては内腔の汚染除去が重要であり,鏡視下手術器械などではブラシ洗浄や内腔灌流による洗浄性が確保されている。手術支援ロボット用鉗子においても,鉗子洗浄に洗浄液の灌流が含まれるべきと考えられた。

総説
  • 高階 雅紀
    2019 年 16 巻 6 号 p. 615-620
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2020/02/14
    ジャーナル 認証あり

    本邦において再製造単回使用医療機器(R-SUD)はいまだ医療機器市場に出現していないが,その原材料となる使用済みSUDの収集事業はすでにいくつかの医療施設において開始されており,今後さらに多くの医療施設に対して使用済みSUD収集への協力が要望されると予想される。医療施設にとって使用済みSUDの収集は,従来からの感染性医療廃棄物の処理ではなく「有価資源の売却」であり,医療施設にとっては日頃馴染みのない業務である。混乱を避けるためには,まずは医療施設の職員自身がR-SUDとは何なのかという理解に始まり,事業導入のイニシアティブを執れるキーパーソンを定め,売却の事務手続きの整備,さらに実際に収集対象となるSUDが消費されている現場での具体的な対応方法を詳細に詰めていく必要がある。さらに,将来において医療機器市場にR-SUD製品が登場した場合,オリジナル製品とR-SUD製品のどちらを購入するべきか,その選定においてはR-SUDのメリットとデメリットを十分に検討せねばならない。立場によってR-SUD導入の意義は一様ではないことにも留意すべきである。本稿では,R-SUD事業が導入されるにあたり,今後医療施設側ではどのような対応が必要であるか,具体的な留意点や諸問題について解説する。

ミニ特集②:医療器具(デバイス)関連感染サーベイランスとその活用
巻頭言
総説
  • 藤田 烈, 坂木 晴世, 高野 八百子, 渡邉 都喜子, 黒須 一見, 清水 潤三, 佐和 章弘, 中村 ゆかり, 窪田 志穂, 佐々木 顕 ...
    2019 年 16 巻 6 号 p. 622-630
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2020/02/14
    ジャーナル 認証あり

    医療器具関連感染症サーベイランスとは,中心ライン,尿路カテーテル,人工呼吸器などの医療器具に関連して発生する感染症を対象に行われるサーベイランスである。日本環境感染学会が主催するJHAISサマリーレポートによれば,10年間に報告された感染発生件数はCLABSI 1,769件,CAUTI 2,412件,VAP 853件であり,医療器具使用日数は中心ライン899,395日,尿道カテーテル1,393,867日,人工呼吸器272,761日であった。2018年の集中治療部門の医療器具関連感染の発生率は,CLABSI 1.6/1,000 central line-days,CAUTI 1.3/1,000 catheter-days,VAP 2.2/1,000 ventilator-days,一般病棟部門の発生率はCLABSI 1.8/1,000 central line-days,CAUTI 2.0/1,000 catheter-days,VAP 2.6/1,000 ventilator-daysであった。

トピックス
臨床研究
  • 岡本 みちる
    2019 年 16 巻 6 号 p. 636-641
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2020/02/14
    ジャーナル 認証あり

    当院は,188床(4病棟)で,看護職員の実質配置 7:1の地域の中核病院である。2016年5月より当院へ感染管理専従者として着任した。病棟ラウンドにて,尿道カテーテル管理の多くの問題点が見受けられた。そのため,まず,学習会を計画し,その前後でカテーテル関連尿路感染対策に関するアンケート調査を実施し,知識の向上が行動変容につながったかを検証した。同時に問題点に対する対策の立案,導入とCAUTIサーベイランスよりCAUTI発生率と器具使用比の低減につなげていくことができたか検討した。器具使用比は,介入前の0.15介入後は0.09であり,介入前より減らすことができていた。CAUTI発生率は,介入前は1.2,介入後は3.8であった。介入後に大幅に発生率が増加したのは,発熱がありCAUTIを疑う場合でも介入前は尿培養検査が提出されず,カテーテルの抜去や抗菌薬治療が実施され,判定に至っていなかったが,介入後は培養検査が適切に提出されるようになったためであると考えられ,サーベイランスを実施することで,医療の質についても明確になった。

総説
  • 嶋 雅範
    2019 年 16 巻 6 号 p. 642-648
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2020/02/14
    ジャーナル 認証あり

    人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia:以下,VAP)の発生率を低減するため,National Healthcare Safety Network(以下,NHSN)は,成人のVAPサーベイランスとして2013年に人工呼吸器関連イベント(Ventilator-Associated Events:以下,VAE)サーベイランスを開始している。VAEサーベイランスは,患者予後と相関していることや,判定が簡便で電子化が期待できるなどの利点がある。一方でVAPサーベイランス結果と相違があることや,発生率の解釈が不明確であること,結果が人工呼吸器の管理方法に左右されるといった問題点もある。VAEサーベイランスは,肺炎だけでなく人工呼吸器を使用することによって起こる合併症すべてに焦点を当てたサーベイランスである。導入には人工呼吸器の設定を患者の状態にあった設定に管理できるような体制が望まれ,導入後も人工呼吸器管理を全般的に管理していく必要がある。VAEサーベイランスを活用するには,感染管理担当者だけでなく,さまざまなチームや職種と協働し発生率の低減に向け活動するべきである。

臨床研究
  • 坂木 晴世, 高野 八百子, 藤田 烈, 森兼 啓太, 渡邉 都喜子, 黒須 一見, 四宮 聡, 縣 智香子, 清水 潤三, 佐和 章弘, ...
    2019 年 16 巻 6 号 p. 649-656
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2020/02/14
    ジャーナル 認証あり

    新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:以下,NICU)における医療器具関連感染サーベイランスの対象は,中心ライン関連血流感染(central line-associated bloodstream infection:以下,CLABSI)と人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia:以下,VAP)である。NICUは患者の重症度に応じて2つのレベルに層化され,さらに出生体重カテゴリーによって5群に層化されている。CLABSIの発生率の分布は,0の施設が75%を占めており,2013年のNHSNデータとのSIRを用いた比較では0.8で,中心ラインの使用比は,NHSNのデータよりも,JHAISのデータの方が低い傾向にあった。VAPの2013年のNHSNデータとのSIRを用いた比較では2.1で,日本では米国よりもVAPが多く発生していると解釈できる。人工呼吸器使用比は,NHSNのデータと比較すると同程度であった。NICUのCLABSIとVAPの発生率の推移をみると,CLABSIとVAPの発生率は年々減少しており,直近1年間はJHAIS登録施設からの報告数は0件であった。

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