日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
17 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著
特集:改訂されたTokyo Guidelines(TG18):急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドラインが,臨床現場にもたらしたもの
巻頭言
総説
トピックス
  • 手術困難とは?危険回避手術とは?
    浅井 浩司, 渡邉 学, 鯨岡 学, 森山 穂高, 渡邉 隆太郎, 柿崎 奈々子, 片桐 美和, 榎本 俊行, 桐林 孝治, 二渡 信江, ...
    2020 年 17 巻 3 号 p. 135-141
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/09/10
    ジャーナル フリー

    2018年に改訂された急性胆囊炎の診療ガイドラインでは,急性胆囊炎に対する腹腔鏡下胆囊摘出術の安全な手術手順を提示した。また,Calot三角の高度な線維化,瘢痕化を認める症例は胆管損傷(以下,BDI)や血管胆管損傷(以下,VBI)の発生が危惧される状態であり,手術困難症例と定義した。このような手術困難症例に対する危険回避手術として,開腹移行,胆囊亜全摘術,fundus first techniqueを提案した。当科の最近の解析結果において,後期では回避手術施行例は有意に増加した。また,開腹移行率や術後合併症発生率は減少し,有意な入院期間の短縮が得られた。手術困難(手術難度)を的確に把握し,手術困難例に対してはBDI,VBIを回避すべく適切な回避手術を行うことが重要であり,これにより良好な治療成績が得られると考えられた。

原著
  • 上原 智仁, 岡本 好司, 榊原 優香, 長尾 祐一, 山内 潤身, 新山 新, 野口 純也, 山吉 隆友, 井上 征雄, 木戸川 秀生, ...
    2020 年 17 巻 3 号 p. 142-147
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/09/10
    ジャーナル フリー

    (目的)TG18では腹腔鏡下胆囊摘出術(LC)が安全に行えない場合の回避手術(bail–out procedures:BOP)の1つとして開腹移行手術が記載された。しかし腹腔鏡手術より治療成績が不良であるとの報告がある。今回急性胆囊炎に対する開腹移行手術の治療成績および開腹移行の要因について検討した。また,腹腔鏡下手術でのBOPである腹腔鏡下胆囊亜全摘術(laparoscopic subtotal cholecystectomy: LSC)についても検討した。(方法)当院で2001年1月から2019年9月までに急性胆囊炎に対しLCを企図した417症例を対象とし,年齢,性別,急性胆囊炎重症度,胆石の有無,術直前のWBCとCRP,術前ドレナージの有無と種類,手術時間,出血量,総入院日数,術後在院日数,合併症発生率,病理結果を検討した。(結果)LC群と開腹移行(OC)群の比較では手術時間(151分vs 247分,P<0.0001),術中出血量(26.2mL vs 337.3mL,P<0.0001),合併症発生率(3.8% vs 17.1%,P<0.0001),総入院日数(21日vs 36日,P<0.0001),術後在院日数(9日vs 18日,P<0.0001)で有意にOC群が不良であった。またLSC群との比較でも手術時間,総入院日数でOC群が不良であった。開腹移行の要因は腹腔内因子,胆囊肝床部線維性癒着,Calot三角線維性癒着の3つに分類されるが,後者2つは手術時間延長,出血量を助長させる原因であった。患者の安全を考慮すれば,BOPとしてLSCを選択して腹腔鏡手術で完遂することが望ましい可能性がある。

総説
  • 日本で作成されたガイドラインが国際的に認められ,使用されるようになった道のり
    高田 忠敬, 吉田 雅博
    2020 年 17 巻 3 号 p. 148-154
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/09/10
    ジャーナル フリー

    急性胆管炎・胆囊炎の診療ガイドラインは,海外からTokyo Guidelines(以下,TG)として親しまれている。これは,2003年に厚労省科学医療技術評価総合研究事業での研究班で発足し,共催学会,後援団体の協力をえて出版できた。2005年,第1版(邦文のみ)が出版できた経過を示し,さらに2006年の国際コンセンサス会議を開催し,結果をもとに2007年TG07をJHBPSから世界に発信した。海外の委員たちとは頻回に意見交換を続け,その後も2013年TG13を,2018年TG18を出版し世界へ発信し,共通項として用いられるようになった。さらに時代により進化してきた作成方法や,Evidence–Practice–Cycleをとりいれ,国際共同研究として行ってきた2つのプロジェクト(Lap–Cの術中手術難度を明らかにしてのSafe Stepの提案)と(急性胆道炎の疫学調査)を含んで記載した。いわば,初歩から専門へ(scientificに)の道筋で,今後のTGの改訂に貢献することを期待している。

feedback
Top