【背景】消化器外科領域における手術部位感染症(surgical site infection:以下,SSI)の発症率は高いが,その医療経済的な影響に関するエビデンスは不足している。本研究は医療費に対するSSI発症の影響をオンラインによる患者報告アウトカム電子システム(electronic Patient Reported Outcome:以下,ePRO)を活用して検証した。【方法】2020年10月〜2022年8月までに肝がん,膵がんに対して施行した肝切除術症例19例,膵切除術症例18例を対象に,SSI非発症群とSSI発症群の医療費を,ePROを活用して比較した。【結果】SSIの発症率は肝切除術で16%,膵切除術で28%であった。SSI非発症群とSSI発症群における医療費は436 ± 128千円と1,208 ± 686千円で有意にSSI発症群が高かった(P < 0.01)。【結論】肝切除または膵切除術を受けた患者においてSSI発症によって医療費が大きく増加することを,ePROを活用することにより検証できた。
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