現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
10 巻
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
論文
  • 副島 豊
    2001 年 10 巻 p. 3-33
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    注文が短い間隔で頻繁に板に到着するような注文駆動型市場では,注文の付け合わせ方法が価格変動や市場参加者の注文行動に影響を与え得る.JGB先物市場では1998年に注文付け合わせを即時執行するシステムを導入した際,板状態やその推移が市場参加者にとって判り難くなり,注文が意図通りに約定されない現象が以前より増加したため,短期的な価格変動が高まったと指摘されている.本稿では,即時執行により板情報の誤認が発生しやすくなった点に注目し,これが価格変動にどう影響するかを分析した.制度変更前後で市場環境が大きく異なっておリ,その影響を排除するためシミュレーション分析を採用した.まず,観測データからオーダーフローを復元しタイプ分けすることで,板状況に応じた戦略的注文行動の存在を確認した.次に,戦略行動に基づいて注文が発生する人工証券市場を作成し,ラグ情報に基づく注文の影響を検証した.その結果,注文意図が正しく反映されないケースが一部に発生するだけで短期的な価格変動が高まリ,ビッドアスクスプレッドの拡大,取引当たりの価格インパクト上昇など,市場機能の低下に繋がることが確認された.

  • 広田 真一, 宮島 英昭
    2001 年 10 巻 p. 35-61
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿の目的は,これまで日本企業にユニークな特性と理解されてきたメインバンクの介入によるコーポレート・ガバナンスの機能が,1990年代に入っていかに変化しているかを検討する点にある.そのために,本稿では,電機・化学・建設の3部門の上場企業のうち財務危機に陥った企業(2年連続インタレスト・カバレッジ・レシオが1未満の企業)を分析の対象に取り上げ,この財務危機企業に対して,①メインバンクが経営に介人しているか,②メインバンクの介人があった場合,それは企業経営にいかなる変化を引き起こしているかを定量的に検討した.そして,1990年代の財務危機企業に対するメインバンクの介入の分析結果を,これまでメインバンク介人型ガバナンスがもっとも典型的にワークしていたと理解されてきた石油ショック後の期間(1974-82年)の分析結果と比較した.その結果,企業が財務危機に陥った際にメインバンクが経営に介人する確率は,90年代には石油ショック後に比べて大きく低下していること,また,メインバンクが介人したとしても,経営者交代の時期の遅れ,収益の回復の遅れなど,90年代にはその介入の効果が薄れていることを示唆する事実が明らかとなった.

  • 安川 武彦
    2001 年 10 巻 p. 63-83
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では,R&IとMoody’sという2種類の格付けの共通決定要囚を比較した.それぞれ,推定に用いるサンプルが異なるため,サンプル・セレクション・モデルを使ってサンプルの違いによるバイアスを補正した.セレクション・モデルの当てはめによれば,比較的規模か大きく市場からの資金調逹比率が大きい企業がMoody’sから格付けを付与されやすいという結果が得られた.さらに,格付け分析モデルの推定結果によれば,両者に共通する格付け決定要因はその反応の仕方も含めると共通しているとはいえなかった.R&Iは企業のリスクバッファーとなるストック面を重視しており,Moody’sは株式及び社債マーケットでの評価とフロ一面の影響が大きいことがわかった.これは,企業信用力の判定において重要となる共通変数の要因効果がそれぞれ違うことを意味する.また,格付けの判定基準と解釈可能なしきい値パラメータとダミー変数は,サンプルの違いを考慮しても2つの格付けで有意に異なリ,それぞれの格付け符号の意味が違うことが計量的に示された.

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