現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
28 巻
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
論文
  • 大野 弘明
    2010 年 28 巻 p. 3-15
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    サブプライムローン危機以降,各国で空売り規制が一時的に強化された.本稿は,ポジティブフィードバック投資家,情報劣位の投資家,及び,情報優位の合理的投資家が併存する経済環境における各個人の消費配分を閉形式解で特徴付け,一時的な空売り規制の導入について分析する.得られる結論として,このような経済環境でば情報劣位者から情報優位者への富の移転,及び,ポジティブフィードバック投資家から情報優位者及び情報劣位者への富の移転が生じる.適切なタイミングでの一時的な空売り規制の導入は,このような情報格差及び投資スタイルに基づいた富の移転を排除すること,また,株価の情報効率性こそ低下するものの,価格の安定化に貢献することを示す.

  • 赤壁 弘康, 田畑 吉雄
    2010 年 28 巻 p. 17-43
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿は,価格がネットワーク外部性の影響を受けるような資産(あるいは商品)に対してデリバティブが書かれた場合,Harrison/Pliscaを嚆矢とする従来のデリバティブ評価法(マルチンゲール評価法)がどの程度有効であるのかを検証しようと試みるものである.このために,価格がネットワーク外部性の影響を受ける資産/商品の価格モデルを確率的Verhulst/Gompertzモデルによって定式化し,その確率的性質を明らかにする.次に,価格が確率的Verhulst/Gompertzモデルに従う原資産とBlack/Scholes/Merton価格モデルに従う原資産を交換する,交換オプションをマルチンゲール評価法を用いて厳密に導出することを試みる.前者をエネルギースポット価格,後者をエネルギー商社の株価とすれば,このような交換オプションはエネルギー価格の高騰をヘッジしたいエネルギー需要者にとってメリットがあると思われる.したがって,その適正な価格が求められるということを示すのは応用の観点からも重要である.この日的のために,価格がそれぞれBlack/Scholes/Merton価格モデルと確率的Verhulst/Gompertzモデルに従う原資産の割引かれた価格過程を同時にマルチンゲールにする確率測度ℙの具体的な構成法を明らかにする.次に,このℙの下で,マルチンゲール評価法を用いて上記の交換オプションを厳密に評価する.併せて,ヨーロッパ型バニラ・コールの評価公式にも触れる.

  • 入江 和彦, 蜂谷 豊彦
    2010 年 28 巻 p. 45-67
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    会社法によりその権限が大幅に拡大されたことなどから,投資家は取締役会に注日するようになっている.本稿では社外取締役の登用・増員や取締役削減に焦点を当てて,取締役会改革と企業価値の変化の関係を実証分析により検証した.その結果,主に次の2点が明らかになっている.第一に,機関投資家の圧力ではなく,能動的に社外取締役を登用・増員した企業は,配当と自社株買いの和である総還元を同業他社より増加させることで企業価値を創造しているものの,それ以外の企業行動を媒介したり,直接的に作用する効果を通じては,例え独立した社外取締役であっても企業価値を毀損させる場合がある.第二に,執行役員制度を活用せずに取締役会を小規模化した企業は,それが機関投資家の圧力による場合は同業他社よりも配当を払い過ぎることに対してガバナンス効果を発揮し,企業価値を創造しているが,株主還元以外の企業行動や直接的に作用する効果においては,機関投資家による圧力だけでなく,企業が能動的に改革を進めた場合においても企業価値を創造している.

  • 花枝 英樹, 胥 鵬, 鈴木 健嗣
    2010 年 28 巻 p. 69-100
    発行日: 2010/09/30
    公開日: 2018/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    わが国全上場企業を対象にM&Aに関するサーベイ調査を行い,回答企業526社の分析からつぎのような結果を得た.第1に,近年の日本におけるM&Aの主目的は市場シェア拡大の水平的なM&Aが中心で,実際に成果があったと意識されている.しかし,ブランドカや研究開発力といった見えざる経営資源の有効活用については成果が少ない.第2に,M&Aに際しての人員,給与体系,事業部門の調整の仕方の違いがM&Aの効果に大きな影響を及ぼしている.第3に,70%近い企業が成熟衰退事業を現在・今後抱えると答えており,雇用維持を配慮した対処に腐心している.第4に,敵対的買収に対して否定的な考え方が強いが,敵対的買収に対する備えとしては,業績改善,IRの充実,株主への利益還元を重視している.また,防衛策として株式持合いも重視しており,事前警告型買収防衛策を導入すれば株式持合いは必要ないと考えるのではなく,両者をむしろ補完的に考えている.

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