現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
最新号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
論文
  • 鈴木 雅貴
    2019 年 41 巻 p. 1-25
    発行日: 2019/10/31
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    本論文では,株式バブルの識別に関するファイナンス研究の最新動向を展望する.株式バブルは実体経済に多大な影響を及ぼしうるものの,そのメカニズムについていまだ解明されていない部分が多い.その一因は,株式の基礎的価値(ファンダメンタルズ)の推定が難しい点にある.そこで,本論文ではまずファイナンス研究の領域で長年用いられてきた株式ファンダメンタルズの推定手法を概観し,その応用上の問題点を整理する.一方,株式関連デリバティブ価格や近年登場した株式配当先物の価格には,将来の株式配当に関する情報が多く含まれていることが最新の研究によって明らかにされている.そこで,本論文では株式配当先物価格を用いた株式ファンダメンタルズの推定手法を提案する.株式配当先物価格には,長期配当に関する投資家の(リスク調整済み)期待が瞬時に反映されるため,これを有効活用することによって,従来手法よりも即時性が高くかつ客観的な株式ファンダメンタルズの推定値を得ることが可能となる.また論文後半では,当該手法から算出される株式バブル変数を用いて,株式バブルの発生メカニズムに関する定量的な分析を行う.

  • 島井 祥行, 牧本 直樹
    2019 年 41 巻 p. 27-55
    発行日: 2019/10/31
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    機関投資家の資産運用は未だ債券が中心であるにも関わらず,株式投資に比べると債券投資に関する研究は少なく,分析対象となる投資戦略も限定的である.本稿では,時系列モデルと確率金利モデルにもとづく4種類の債券リターン予測モデルと,リスク抑制型とリターン追求型の8種類の最適化モデルを組み合わせて多様な運用戦略を構築し,それらのパフォーマンスを比較,考察する.本邦利付国債から推定した割引債を投資対象としてバックテストを実施した.その結果,テールリスクへの耐性のある非線形確率金利モデルによる運用戦略が,相場環境に依存せず相対的に良好なパフォーマンスを示した.実務への応用を見据え,イールドカーブの典型的な局面ごとに各戦略のパフォーマンスを比較し,その結果を運用戦略マップとして整理した.また他資産と低相関である本稿の戦略を組み入れることで,ポートフォリオ全体のリスク・リターンを改善する可能性についても考察する.

  • 畠中 賢治
    2019 年 41 巻 p. 57-69
    発行日: 2019/10/31
    公開日: 2019/10/31
    [早期公開] 公開日: 2019/08/09
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,東京証券取引所がTOPIX100構成銘柄を対象に2014年に実施した呼値の刻み(ティック・サイズ)の縮小が,指値注文市場の価格発見に与える影響について分析を行った.ティック・サイズは時間優先,価格優先の原則に従う指値注文市場において,注文の約定可能性と即時性を要求する際のコストに関連しており,ティック・サイズの縮小は投資家の注文行動を変化させることがこれまでの理論研究,実証研究により示されている.本研究では,注文行動を即時性や約定可能性ごとに分類し,それぞれの注文が持つ価格発見への寄与度をイベント前後で推定することで,ティック・サイズ縮小に伴う市場の価格発見機能への影響を評価した.推定結果から,ティック・サイズ縮小による市場の価格発見機能への影響と,影響の大小がティック・サイズ縮小の程度に依存する傾向が分析対象において明らかとなった.なお,本分析で見られた影響は,最良気配への注文が持つ価格発見への寄与度の減少,最良気配以外への注文と約定価格が持つ価格発見への寄与度の増加である.さらに同分析から,縮小前は最良気配への注文と最良気配以外への注文が同程度に価格発見を主導するが,縮小後は最良気配以外への注文のみが価格発見を主導することが明らかとなった.

feedback
Top