日本プライマリ・ケア連合学会誌
Online ISSN : 2187-2791
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ISSN-L : 2185-2928
33 巻, 2 号
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日本プライマリ・ケア連合学会設立に寄せて
原著
  • 楊 文潔, 江守 陽子
    2010 年 33 巻 2 号 p. 101-109
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/05/30
    ジャーナル フリー
    【目的】在日中国人母親の育児ストレスの実態を明らかにし, 在日中国人母親が日本に対して望む育児援助について明らかにする.
    【方法】関東圏内に配偶者と共に生活し, 0~6歳の子供を育てている中国人の母親132名を対象とし, 中国語翻訳版の質問紙調査を行った. 内容は育児ストレス, 在日中国人母親と家族の生活・育児状況, 育児ストレス対策, 日本社会に対する不満, 期待, 希望などである.
    【結果】①在日中国人母親の就職率は低く, 有職者ではパートタイム労働者が多かった. ②子どもの数は1人が多かったが, 日本での生活期間が長いほど複数の子どもを持ち, 出産間隔は4.9年であった. ③母親の多くは日本の保育園を利用したいと思っているが, できない状況にあった.
    【結論】外国人の母親と子どもが迅速的かつ効果的に日本社会に融けこめるように, 保育施設利用のチャンスを拡大する, 日本語レベルの低い母親への日本語学習の機会の提供あるいは母国語での育児相談の場の提供等の支援が必要である.
  • 鳥飼 圭人, 石井 修, 稲村 祥代, 清水 裕子, 根本 隆章, 武岡 裕文, 秋山 佳子, 土田 浩生, 成田 信義, 松田 隆秀
    2010 年 33 巻 2 号 p. 110-114
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/05/30
    ジャーナル フリー
    当院の総合診療内科は他の臓器別の専門8内科と独立した内科の1科として存在する. 外来では内科全体初診患者の約40%にあたる1日30~40人の診療にあたり, 入院では30床を担当し診療にあたり, 初期臨床研修医, 後期臨床研修医の教育を行っている. 今回, 診療実態を把握する目的で, 2007年4月から2008年3月まで当大学病院総合診療内科に入院した593症例 (男性289名, 女性304名, 平均64.2±21.2歳) の診断について検討した. 主な疾患は, 肺炎111例, 尿路感染症44例, 感染性腸炎34例, 気管支喘息24例, 不明熱12例, 心不全11例, ウイルス感染症9例, 憩室炎8例, 悪性リンパ腫7例, 伝染性単核球症7例, リウマチ性多発筋痛症6例等であった. 初診外来だけでは診断に至らない症例の診断・治療など専門分野にとらわれない診療を実践する場として, 総合内科病棟の存在は不可欠である.
  • 福本 一朗
    2010 年 33 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/05/30
    ジャーナル フリー
    1790年代の「地方医」以来の伝統をもつスウェーデンの地域医療は, 住民の診療にあたるのみならず, その地域の風土・水質を知悉し, 疾病の発生を未然に予防するため定期的に住民の健康診断を行って健康上の助言を与えることが義務とされてきた. 現在の「地区医」は1970年代に整備された一般医学思想に基づく一次医療を担い, (1)住民の治療, (2)リハビリテーション, (3)住民の心身の痛みの緩和, (4)疾病の予防のために尽くすことを, 主な任務としている公務員であり, 24時間態勢の電話医療相談員制度のもとプライマリ・ケアを担当している. 住民の80%は地区医受診を希望し, 地区医療センターが建設され始めた1973年以来, 死亡率は男女とも急激に減少している. 地区医療センターでの診療は病院での診療費と比べて非常に安く, 国民医療の90%を担う自助医療を支える国営薬局制度とあいまって, 世界でも最高に属する長寿と低新生児死亡率を誇りながらも, 対GNP医療費は1981年以降低下している.
インタビュー:ジェネラリスト温故知新
臨床医学の現在(プライマリ・ケアレビュー)
ジェネラリストに学ぶ診断推論
  • 野口 善令
    2010 年 33 巻 2 号 p. 211-214
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/05/30
    ジャーナル フリー
     ジェネラリストには, 体系的に考えて診断を絞っていく診断推論が必要となる.
     診断推論には大別して直感的診断と分析的アプローチの2種類がある.
     パターン認識は, 患者から疾患の特徴的なパターンをつかみとって意識下で瞬間的に「ひらめき」に似た形で認識するような直感的な診断法である. 経験を積んだ臨床医にとっては正確, 迅速かつ楽に診断をつけることができるが, 経験したことのない疾患は原則的にパターン認識できないなどの弱点もある.
     分析的アプローチは, 仮説形成と仮説検証をくりかえして診断を考えていくので仮説演繹法と呼ばれる. 仮説形成は患者の話を聞いて, 鑑別診断のリストを作る作業で, 仮説検証はリストにあがった鑑別疾患の可能性 (確率) を吟味していく作業である.
     パターン認識と分析的診断推論は相補的なものである. パターン認識が上達すれば洗練された鑑別診断のリストを想起でき, かつ, 事前確率が高い診断仮説を形成できるようになるので, 分析的診断力も向上する.
省察的実践家入門
特集 これからのプライマリ・ケアを切り拓く 人とことば
ジェネラリスト十二景
第一景 家庭医の診療1:へき地・診療所で働く医師
第二景 家庭医の診療2:田園型コミュニティの診療所で働く医師
第三景 家庭医の診療3:都会の診療所で働く医師
第四景 家庭医に求められる役割1:地域連携・在宅医療・緩和ケア
第五景 家庭医に求められる役割2:地域密着型急性期病院勤務医
第六景 病院総合医の役割1:診療(総合外来と総合病棟)
第七景 病院総合医の役割2:教育―研修医と学生(卒前・卒後)
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