【目的】地域医療実習で学生が何を学んでいるかについての研究は実施されておらず, また, 地域医療実習で家族・地域に関してどのような学びを得ているのかについての評価も実施されていない. ポートフォリオ作成により, 地域医療実習での学生の学びを把握することを目的とした.
【方法】2006年度と2007年度の札幌医科大学5年生で実施された2週間の地域医療実習期間中, 学生は日々の振り返りシートを記載した. これをデータとして, 学生の記述から学びと考えられるものを抽出してカテゴリー別に分類した. さらに, 家族・地域に関する学びの内容を詳しく分類した. 2007年度には, 通常の振り返りシートに加え, 家族・地域に関する気づきの振り返りシートを追加し, 同様の分類を行なった.
【結果】抽出された学びの総数は, 2006年度が2243, 2007年度が3193であった. 2006年度は, 家族, 地域に関する学びはそれぞれ5.2%, 3.7%であったが, 2007年度は10.7%, 7.9%であり, 2007年度は有意に増加していた.
【結論】家族・地域に関する気づきの振り返りシート導入で学習の枠組みを意識することにより, 同じ体験であっても実習での学びが大きく変化する可能性がある. 地域医療実習での体験を学習目標に沿った学びにつなげるためには, 適切な学習方略を開発する必要がある. 振り返りの枠組みを設定することは, その一つになると思われた.
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