日本プライマリ・ケア連合学会誌
Online ISSN : 2187-2791
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35 巻, 4 号
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Editorial
原著(研究)
  • 内田 真一, 石川 鎮清, 熊田 真樹, 黒木 茂広, 梶井 英治
    2012 年 35 巻 4 号 p. 279-285
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル フリー
    要 旨
    目的 : 自治医科大学附属病院総合診療部に入院した発熱患者の原因疾患の分布を調査した.
    方法 : 2003年4月から2004年3月までに当院総合診療部に入院したすべての患者を対象とした. 病歴要約とカルテから発熱と不明熱が主訴に含まれる症例と入院時腋下体温が37.5°C以上であった全症例の原因疾患を調査した.
    結果 : 延べ464名の入院患者のうち発熱患者は221名 (47.6%) であった. 発熱の原因として最も多かったのは感染症で149名 (67.4%) であった. 以下悪性腫瘍9名 (4.1%), 膠原病7名 (3.2%), その他23名 (10.4%) となった. 発熱患者のうち不明熱と診断されたものは26名 (11.8%) であった. その原因として最も多かったのは膠原病の9名 (34.6%) であった. 原因不明は7名でその割合は26.9%と過去の報告と一致した. 発熱の原因として悪性腫瘍と膠原病の割合は30歳代から50歳代までいずれも約16%を占め, このうち不明熱の基準を満たした症例は1例だけであった.
    結論 : 発熱の原因疾患は感染症が最も多かった. 外来にて経過観察しても症状の改善が見られない場合には, 入院での全身精査が必要と思われた. 不明熱の原因疾患として非感染性炎症性疾患が重要と思われる.
  • 國吉 保孝, 加村 梓, 安田 すみ江, 田代 実
    2012 年 35 巻 4 号 p. 286-290
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル フリー
    要 旨
    はじめに : 小児に対してA群溶連菌感染症を疑って迅速検査を実施する場合, 結果が陰性であった場合も培養検査を追加することが推奨されている.
    目的 : 患者群と非患者群の臨床症状と身体所見について比較・検討を行う. 同一のスワブで培養検査と迅速検査を実施した場合の, 迅速検査の結果に与える影響について検討する.
    対象と方法 : 迅速検査を実施した小児480例を対象に, 診療録から後方視的に検討した. 尚, 培養検査で陽性であったものを患者群とした.
    結果 : 患者群は124例で, 咽頭痛と咽頭発赤の出現率が有意に高く, 口蓋扁桃の浸出物の付着が有意に少なかった. 培養検査が陽性でかつ迅速検査が陰性であった症例は15例で, 培養検査を基準にした際の迅速検査の感度は87.9%, 特異度は100%であった.
    結論 : 1本のスワブを用いて両検査を実施しても, 迅速検査の結果に与える影響は少なく, 簡便で有用な方法と考えられた.
  • 前田 晋至, 原 直彦, 竹内 文乃, 松山 裕
    2012 年 35 巻 4 号 p. 291-298
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル フリー
    要 旨
    緒言 : 病態が安定した患者を周辺医療機関に逆紹介するも, しばしば「医師の望む医療連携」の推進・形成ができない.
    目的 : 第一に, 「患者が求める医療連携」を把握することで, 医療連携が推進・形成される材料を得ること, 第二に, 患者背景, 連携先医療機関および総合病院の背景について, 構造方程式モデリングを用いて実証的に検証し, 医療連携が推進される潜在的な因子を特定することを目的とした.
    方法 : 471例を対象者とし医療連携に関するアンケート調査を行った.
    結果 : 患者が求める連携先医療機関への希望・期待には, 「総合病院との強い連携」および「専門医であること」に関連が認められた. 一方, 外来業務負担の軽減を目的とする「長期処方」は, 医療連携を妨げる強い因子であった.
    結論 : 患者, 連携先医療機関および総合病院の3者の強い連携は, 円滑な医療連携が推進される「患者が求める医療連携」の潜在的な因子であることが示唆された.
総説
  • 直感を共通言語化する
    佐仲 雅樹, 瓜田 純久, 中西 員茂, 中嶋 均
    2012 年 35 巻 4 号 p. 299-305
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル フリー
    要 旨
     経験豊富な医師や看護師は, 一見軽症と映る患者に対して直感的に「重症感」を抱くことがある. このような直感的判断の重要性は広く認識されているが, いまだ経験則と言わざるを得ない. そこで我々は本稿において, 「重症感」の具体的意味を考察し, 1つの病態生理学的/症候学的モデルを提唱した. このモデルに基づいて言語化すれば, 重症感とは, 病態生理学的には「生体のホメオスタシスが破綻する前兆」であり, 症候学的には「急性に発症する全身性自律神経反応とacute sickness behavior」である. 重症感という直感を言語化し, 研修医や新人看護師に伝えることは, 「危険な患者」の見逃し防止につながると考えられる.
  • 山上 実紀
    2012 年 35 巻 4 号 p. 306-310
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル フリー
    要 旨
     医師は, 様々な感情を抱きながら診療を行っているが, そのことはこれまであまり語られてこなかった. 本稿では, それを可視化する概念として, 感情労働という言葉を紹介する. そして, 医師の職業ストレスやコミュニケーション能力を考えるうえで, 感情労働という視点を用いる意義について論じる.
日本プライマリ・ケア連合学会 第3回学術大会記録
インタビュー
リレーエッセイ
臨床医学の現在
省察的実践家入門
  • 遠藤 淑美
    2012 年 35 巻 4 号 p. 360-362
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル フリー
    要 旨
     本稿は, 「語り」による新人看護師研修にファシリテーターの一人として参加している私の体験を通して, 新人看護師教育におけるナラティブとリフレクションの意味を考えてみようとするものである. はじめに, 新人看護師と熟練看護師の差の1つに状況対応能力があり, その能力の獲得のために, リフレクションがかかせないこと, リフレクションするには, 状況に没入する自分ともう一人の自分が必要であり, 研修はその両者を育てる機会になっていることを述べた. 次に, ここでの他者の存在は, リフレクションの特徴である新人看護師自身の気づきを導き, 生み出すためになくてはならないことを述べた. 最後に, リフレクションの過程におけるナラティブ (語り) の意味について, 声に出して「語る」ことの意味を体験の身体化の側面から, 「聴く」ことの意味を, 「行為の中の省察」へつながる行為として, また, 看護の伝承という側面から考察した.
総合カンファレンス
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