日本プライマリ・ケア連合学会誌
Online ISSN : 2187-2791
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37 巻, 2 号
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Editorial
原著(研究)
  • 1施設における観察研究
    國吉 保孝, 加村 梓, 安田 すみ江, 田代 実, 齋藤 美貴, 橋本 吏可子
    2014 年 37 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    目的 : 風疹含有ワクチンの接種対象年齢の変遷に対して, 生年月日の違いによる妊婦の風疹抗体保有率の推移について明らかにする.
    方法 : 対象は, 2008年1月から2012年12月までの5年間に, 当院産科で出産した妊婦1463例のうち, 出産の時点で年齢が20歳以上の初産婦で, 風疹HI抗体価が確認できた659例. 生年月日から, ⅰ) 中学生1回集団接種世代, ⅱ) 集団接種廃止後の経過措置世代, ⅲ) 幼児期1回接種世代, ⅳ) 幼児期+MR4期2回接種世代, の4群に分けて診療録より後方視的に検討した. 抗体価16倍以下を低抗体価とした.
    結果 : 全症例のうち, 低抗体価の割合は20.2%であった. 各群の低抗体価の割合は, ⅰ) 20.4%, ⅱ) 18.2%, ⅲ) 30.6%, ⅳ) 31.6%であった.
    結論 : 風疹抗体保有率は他の報告と同程度で, 経過措置世代の抗体保有率も低くはなかった. 幼児期1回接種世代以降の抗体保有率が低い可能性が示唆された.
  • 丸尾 智実, 河野 あゆみ
    2014 年 37 巻 2 号 p. 104-111
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    目的 : 家族介護者への認知症の症状に対応する自己効力感向上プログラム (SE向上PGM) を実施しその効果を評価した.
    方法 : 対象者はA県下の居宅介護事業所の利用者の家族であり, 介入群 (IG) 32名, 対照群 (CG) 25名の計57名である. 認知症に関する情報提供, 介護者交流, リラクセーション体験を共通PGMとして両群に, 加えてSE向上PGMをIGに実施した. 評価は介入前, 介入直後, 介入2か月後の質問紙調査とし, 一次アウトカムを介護自己効力感, 二次アウトカムをBPSDの出現の有無と負担感, 介護負担感, 抑うつ, 認知症の知識量とした.
    結果 : 認知症の症状に対応するSEの得点がIGはCGに比べて介入前から介入2か月後の間に有意に向上した. また, 年齢, 性別, 利用者の日常生活自立度判定を共変量とした共分散分析では, IGはCGに比べて認知症の症状に対応するSEが有意に向上した.
    結論 : SE向上PGMが認知症の症状に対応するSEを向上させる可能性が示唆された.
原著(症例報告)
総説
  • クラブトリー ベンジャミン F., 鳴本 敬一郎, 本原 理子, フェターズ マイク D.
    2014 年 37 巻 2 号 p. 116-123
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    日本において家庭医療学は比較的新しく, 急速に発展しつつある分野である. 家庭医療学が日本で専門分野として認知されるためには, 独自の研究課題やそれに適した研究法を確立することが必須である. しかし, 家庭医療学研究をデザインするにあたってのガイダンスとなる日本語文献はほとんど存在しない. 本稿では, 「臨床ストーリー」から派生する様々なリサーチクエスチョンを特定し, 適切な研究デザインと結びつける方略を紹介する. また, シングルメソッドや量的・質的研究法両方の利点を活かした混合研究法を含む主要な研究デザイン例を紹介する. 家庭医療学研究には, ジェネラリスト専門領域独自の特徴を保持する形での確固とした研究基盤の確立と, プライマリ・ケア現場で生まれる複雑なリサーチクエスチョンに取り組むために研究チームを統率できる家庭医療学研究者が必要とされている.
  • 宮田 靖志
    2014 年 37 巻 2 号 p. 124-132
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    臨床実践の現場には不確実性・複雑性が溢れており, 特にプライマリ・ケア医は診療の現場で日常的にこれらに遭遇する. 不確実性・複雑性への対処はプライマリ・ケア医に求められる特徴的な能力のひとつであり, プロフェッショナリズムの要素のひとつにも挙げられる. 不確実性・複雑性への対処は貴重な学習機会であり, 自己の成長につながる. クネビン・フレームワーク, 意思決定を共有する患者との良好なコミュニケーションにより, 不確実性・複雑性に対応するのが有用である.
活動報告
報告
  • ─英国短期訪問プロジェクト参加報告
    髙栁 宏史, 増山 由紀子, 吉田 伸, 澤 憲明
    2014 年 37 巻 2 号 p. 141-143
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    この度, 筆者の3人である髙栁, 増山, 吉田が日英プライマリ・ケア交換留学プログラムパイロット事業の英国短期訪問プロジェクトの派遣団員として, 2013年9月にそれぞれ異なる英国の家庭医療診療所を見学し, 英中部Harrogateで開催された英国家庭医学会 (Royal College of General Practitioners, 以下RCGP) 主催の年次学術大会に参加した. 本事業は, 本学会国際キャリア支援委員会 (筆者の2人, 吉田, 澤を含む) と英国家庭医学会若手国際委員会 (RCGP Junior International Committee, 以下JIC) とが窓口になる両学会の公式国際交流事業, 「日英プライマリ・ケア交換留学プログラム」の一環であり, 日英両国の家庭医療後期研修医または家庭医療専門医取得5年以内の医師を対象に交換留学の機会を提供し, 国際的知見およびネットワークの構築を通して, 両国プライマリ・ケアのさらなる発展に寄与する人材を育成することを主目的としている.
    今回の渡英に先立ち, 英国家庭医5人 (Dr Robin Ramsay, Dr Sandeep Geeranavar, Dr Eleanor Twomey, Dr Matthew Baines, Dr Chris Smith) が2013年5月に来日し, それぞれ異なる家庭医療後期研修プログラムを見学し, 仙台で開催された本学会学術大会でポスター発表を行なった.
    本稿では, 各派遣団員が本事業を通して印象深かったものとして, 「家庭医療専門教育とe-Portfolio」「地域基盤型の家庭医と多職種チームの役割」「若手医師の国際交流」の3つを紹介したい.
  • ─日本プライマリ・ケア連合学会秋季生涯教育セミナー 講演Ⅵ 開催報告─
    土肥 直樹, 茂木 恒俊, 雨森 正記, 大橋 博樹, 草場 鉄周
    2014 年 37 巻 2 号 p. 144-150
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
特集 病院総合医セミナー2014
特別企画 永井友二郎記念プライマリ・ケア貢献大賞受賞記念インタビュー
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