目的 : 高齢者の閉じこもりは, 現行の介護予防施策において重要視されているが, 未だ有効な介入手段は確立されていない. そのため, 現在明らかになっていない閉じこもりの関連要因を解明することが必要と考える. とくに, 閉じこもりの身体的要因に比べて心理・社会環境的要因に関する知見は少なく, 本研究では, 閉じこもりの新たな心理・社会環境的要因と予測したSOCに注目し, 閉じこもりとSOCの関連を検討した.
方法 : 地域在住の要介護認定を受けていない高齢者1,895名を対象に郵送による調査を実施した. 調査項目は, 基本属性, 閉じこもり状態, 身体的特性, 心理・社会環境的特性とした. なお, 心理・社会環境的特性の評価の一つとしてSOCを調査した. 解析対象となった853名を閉じこもり状態に応じて3群に分類し, 閉じこもり状態を従属変数とした順序ロジスティック解析を実施した.
結果 : 閉じこもりと有意な関連が認められた項目は, 年齢, 性別, 運動機能が低い, うつ傾向, SOCが低い, 老研式活動能力指標が低いことであった.
考察 : 本研究では, 閉じこもりとSOCとの関連が認められた. 閉じこもり予防支援において, 運動機能やうつに対する介入に加え, 新たにSOCに着目した支援の必要性が考えられた.
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