日本プライマリ・ケア連合学会誌
Online ISSN : 2187-2791
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41 巻, 2 号
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Editorial
原著(研究)
  • 山本 哲子, 水上 勝義
    2018 年 41 巻 2 号 p. 38-44
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/26
    ジャーナル フリー

    目的:経済連携協定で来日中の看護師(EPA看護師)のストレスを明らかにすることを目的とした.

    方法:EPA看護師,看護師候補者を対象とし,職業性ストレス簡易調査票,SOC尺度などからなる母国語の質問票を用いた調査を行った.

    結果:72名のEPA看護師より回答が得られ,有効回答率は60.3%であった.母国との仕事の違いにとまどいを79.2%が自覚し,男女共に「仕事の質的負担」「身体的負担」が高く,女性は「仕事の適性度」男性は「技能の活用度」が「やや低い」に該当した.また男女ともに家族・友人からのサポートが高かった.女性を対象にした相関分析の結果から,職業性ストレスには,日本の生活の慣れや日本語の理解とともに仕事の量的負担や職場環境,SOCの把握可能感が関連することが示された.

    結論:EPA看護師を受け入れる職場では,仕事の負担,職場環境,SOCの向上に配慮が必要なことが示唆された.

  • 片平 伸子, 塚崎 恵子
    2018 年 41 巻 2 号 p. 45-52
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/26
    ジャーナル フリー

    目的:小規模多機能型居宅介護(以下,小多機)を利用した高齢者の終末期における看護師の活動の特徴を明らかにし,小多機を利用した効果的な終末期ケアについて検討する.

    方法:小多機所属の看護師16名に半構成的面接調査を行い,質的記述的に分析した.

    結果:小多機利用者の終末期における看護師の活動として『日常的な生活スタイルを維持しながら高齢者と家族が終末期を共に過ごせるよう支援』『高齢者が死にゆく過程に対応できるよう家族・介護者を支援』『高齢者・家族の終末期についての希望の明確化とその実現に向けた支援』『高齢者・家族の希望や病状に適した医療体制の調整』の4コアカテゴリが抽出された.

    結論:高齢者や家族が終末期についての希望を明確にできるよう働きかけ,日常的な生活の維持から医療体制の調整までを家族や介護職も含め,看護師が支援することが高齢者がなじみのある地域で最期を迎えることに貢献すると考えられた.

  • 尾川 達也, 藤本 修平, 小向 佳奈子, 杉田 翔
    2018 年 41 巻 2 号 p. 53-59
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/26
    ジャーナル フリー

    目的:リハビリテーション領域におけるShared Decision Making(SDM)に必要な要素について,療法士の行動に焦点を当てて調査した.

    方法:理学療法士,作業療法士の計5名を対象にフォーカスグループインタビューを行った.分析はテーマ分析を用いてSDMに必要な療法士の行動について抽出した.

    結果:SDMに必要な行動として16個が抽出された.行動の特徴から情報提供(障害の説明,患者役割の説明,リハビリ目的の説明,選択肢の提示,患者意見の考慮,納得のいく説明)と,情報収集(知識の確認,好みの確認,期待の確認,生活方法の確認,希望の確認,理解の確認,質問の確認,提案に対する意見の確認,相違の確認,合意の確認)の2つに分類できた.

    結論:リハビリテーション領域における意思決定状況を踏まえた要素が抽出され,SDMを実践する際に必要な療法士の行動を示すことができた.

  • 栗林 邦明, 竹内 弘江, 遠藤 栄一, 冨田 晋吾, 錦織 靖
    2018 年 41 巻 2 号 p. 60-64
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/06/26
    ジャーナル フリー

    目的:近年,基剤に注目した外用薬の選択が推奨され,マクロゴール(macrogol; MAC)が上皮化を促進すると注目されている.仙骨部のd2褥瘡(真皮までの損傷)に対するMACの効果を,ワセリン(vaseline; VAS)と比較して後方視的に検討した.

    方法:当院の内科療養病棟へ入院中の患者に発生した仙骨部d2褥瘡25例を対象とした.13例にVAS(VAS群),12例にMAC(MAC群)が外用され,全例が非固着性吸収性ドレッシングで被覆されていた.MAC群から死亡退院症例1例を除外し,VAS群13例,MAC群11例で治癒までの日数を比較した.

    結果:両群の患者背景に有意差を認めなかった.治癒までの日数はVAS群で16[12-32],MAC群で8[7-11.5]で,MAC群で有意に短かった(P=0.029).

    結論:マクロゴールは仙骨部d2褥瘡の治癒を促進する可能性がある.

原著(症例報告)
活動報告
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