日本プライマリ・ケア連合学会誌
Online ISSN : 2187-2791
Print ISSN : 2185-2928
ISSN-L : 2185-2928
41 巻 , 3 号
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Editorial
原著(研究)
  • 押切 康子, 杉澤 秀博
    2018 年 41 巻 3 号 p. 85-91
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/26
    ジャーナル フリー

    目的:多剤併用の高齢患者の服薬に対する不安とその関連要因を明らかにすることである.

    方法:慢性疾患で定期的に6剤以上処方されている65歳以上の患者9名に半構造化面接を行った.この質的データをSteps for Coding and Theorizationを用いて分析した.<>は概念,≪≫はコンポーネントを示している.

    結果:服薬に対する不安の要因には≪医療職の支えの欠如≫と≪薬剤についての否定的な経験・理解≫があった.他方,<服薬の自己調節>と<医師への訴え>という≪不安への対処の試み≫を行った人は不安をもっていなかった.不安を抱かなった人では≪医療職の支え≫と≪多剤併用の肯定≫が不安を抑制するように働いていた.

    結論:多剤併用を受けている高齢患者の服薬への不安は服薬の自己調整につながる可能性があることから,医療職は多剤服用に対する患者の不安を理解し,解消に向けての働きかけが必要である.

  • 今西 孝至, 岡村 美代子, 川端 崇義, 髙山 明, 楠本 正明
    2018 年 41 巻 3 号 p. 92-99
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/26
    ジャーナル フリー

    目的:在宅医療における薬剤師の役割について全国のケアマネジャー(CM)にアンケート調査を行った.

    方法:日本介護支援専門員協会47都道府県支部に依頼状を郵送し,本調査に同意が得られた会員のみを対象とした.解析はテキストマイニングを用いた.

    結果:回答が得られたCMは206人で,医療職出身者が25%,介護福祉職出身者が75%であった.「薬剤師は在宅医療に必要か」の質問に90%のCMが「必要」と回答した.また,「必要」と回答した理由についてテキストマイニングによる解析の結果,医療職出身CMでは“指導”や“内服”,介護福祉職出身CMでは“相談”というキーワードが有意に出現した.

    結論:在宅医療における薬剤師の役割として,医療職出身CMは「患者・家族や他職種への指導について専門性を発揮すること」,介護福祉職出身CMは「服用薬や副作用に関する情報について相談に乗ること」に期待していることが明らかになった.

  • 堀 翔太, 藤本 修平, 杉田 翔, 小林 資英, 小向 佳奈子
    2018 年 41 巻 3 号 p. 100-109
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/26
    ジャーナル フリー

    目的:患者のヘルスリテラシーに関して,臨床場面で医療者が行う介入方法とその効果を明らかにすることである.

    方法:電子データベースから,患者のヘルスリテラシーに関するランダム化比較試験の論文を抽出し,PRISMA声明に従い,質的なシステマティックレビューによりその内容を評価した.

    結果:介入方法別にその効果をみると,「資料の配布のみ」では「ヘルスリテラシー」が,「資料の配布と医療者による説明」では「健康行動に対するアドヒアランス」が向上したとする論文が多く抽出された.また,「医療者から患者への一方向の介入」と「患者と医療者の双方に向けた介入」では,「ヘルスリテラシー」が向上したとする論文が多く抽出された.

    結論:資料の配布に加え医療者による説明を行うことで,個別性に配慮した情報提供を行える可能性や,医療者が患者の理解の程度を適宜確認することで,疾患の理解度や自己管理能力が向上する可能性が示された.

  • 菅家 智史, 来住 知美, 中山 明子, 吉田 伸, 杉谷 真季, 堀越 健, 吉本 尚
    2018 年 41 巻 3 号 p. 110-117
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/26
    ジャーナル フリー

    総合診療に関心を持つ学生・研修医とロールモデルとしての総合診療医との接点を生み出すことを目的とし,日本プライマリ・ケア連合学会若手医師部会は「ジェネラリスト80大学行脚プロジェクト」を2011年に立ち上げた.全国規模のセミナーに参加するほどではないが総合診療に興味のある学生・研修医を主な対象として,各大学構内で学生が主体となった自主的勉強会の開催支援を行った.2011年から5年間の活動で63大学129件の勉強会に関わり,のべ3,569人の参加者を得た.2013年9月~2014年2月に実施した11回の勉強会参加者に対する質問紙調査では,医学生のうち66%が日本プライマリ・ケア連合学会学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナーに参加経験なしであった.全国規模のセミナーとは異なる層の参加者が得られ,大学に出向いて勉強会を行うアウトリーチ活動の意義はあると考えられた.

  • 齋藤 訓子, 柏木 聖代
    2018 年 41 巻 3 号 p. 118-124
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/26
    ジャーナル フリー

    目的:近年,訪問看護ステーション数の急増と同時に休廃止が相次ぎ,質への影響が懸念されている.急増する訪問看護ステーションに対する指導監督担当者の現状認識および訪問看護ステーションの質的評価の視点を明らかにする.

    方法:自治体の指導監督担当者計6名に半構造化面接でデータを収集し,質的記述的に分析した.

    結果:指導担当者は,営利法人について【営利か非営利かによる事業所の質に違いを感じない】と認識していた.訪問看護ステーションの質的評価の視点として【24時間365日安定的に訪問看護が提供できる体制】がある,【情報開示や証拠に耐えうる記録が整備されている】,管理者に【地域包括ケアシステム推進の役割認識がある】等が抽出された.

    結論:訪問看護ステーションの質的評価の視点として11のカテゴリーが見出された.訪問看護のさらなる需要拡大が見込まれており,本結果の視点を踏まえた取り組みが必要である.

原著(症例報告)
  • 林 眞弘, 小林 克治
    2018 年 41 巻 3 号 p. 125-128
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/26
    ジャーナル フリー

    進行性核上性麻痺(以下PSP)は,精神・神経・身体症状を呈する多彩な疾患であり,晩期には運動機能障害から臥床状態を呈する.PSPは,頸部や体幹のジストニア・筋緊張を特徴とし,それらが痛みの原因にもなり,進行期には頸部後屈を呈する.高度の頸部後屈から頻回な肺炎が起こり,生命予後に影響を与える.今回,高度の頸部後屈(頸部ジストニア)を呈し,嚥下性肺炎を繰り返したPSP患者に対して,ボツリヌス療法を施行した.CT画像を用いて,頸椎周囲の筋の位置・状態の確認の後,対象の筋肉内へボツリヌス毒素を施注した.その結果,頸部後屈の軽減と嚥下機能の改善を認め,さらに嚥下性肺炎も消失し,在宅療養も可能な状態となった.ボツリヌス療法は十分普及した治療とは言えないものの,筋緊張の緩和に加え,鎮痛作用が示唆されており,晩期に運動機能障害を呈する患者への有効な治療となる可能性がある.

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