日本プライマリ・ケア連合学会誌
Online ISSN : 2187-2791
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ISSN-L : 2185-2928
43 巻, 1 号
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Editorial
特別寄稿
  • 今永 光彦
    2020 年 43 巻 1 号 p. 2-4
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/25
    ジャーナル フリー

    地域医療の現場にある臨床上の疑問には,明らかになっていないことが多くあり,研究テーマの宝庫と言える.リサーチクエスチョンを適切に立てることが前提ではあるが,研究デザインや統計の手法にこだわり過ぎずに,とりあえず研究をやってみる,論文を書いてみるといった行動が重要であると感じている.学会発表の場や論文査読でフィードバックを受けながら,研究をブラッシュアップしていけばよいのではないかと思う.臨床的な疑問を少しでも解決できるように自ら研究を行うことは,日常の臨床をさらに面白くするし,行える範囲で少しずつ臨床上の疑問を解決するような研究を積み重ねていくことは意義があると感じている.また,臨床に主軸を置いている医師にとっては,研究は“片手間”であることも大事であると考える.“片手間”に研究を行う医師に対してのサポート体制が,さらに整えられれば,プライマリ・ケア研究の裾野は広がるのではないだろうか.

原著(研究)
  • 本庄 幸代, 京田 薫, 板谷 智也, 塚崎 恵子
    2020 年 43 巻 1 号 p. 5-10
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/25
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護利用者の訪問看護に対する満足感の実態と,看護師から見た利用者の満足感の認識との相違を明らかにすることを目的とした.

    方法:利用者716名と看護師112名を対象とし,訪問看護に対する満足感に関する質問紙調査を行った.利用者の満足感と看護師から見た利用者の満足感の一致について分析した.

    結果:回収率は61.1%,438名を分析対象とした.満足していない看護内容として多かったのは訪問看護以外のサービスの情報提供だった.満足感の単純一致率は93.2%,補正kappa係数は0.863だった.利用者自身も,看護師から見ても利用者が満足していると思っていたのは92.5%,利用者自身も,看護師から見ても満足していないと思っていたのは0.7%,利用者は満足していないが,看護師は利用者が満足していると思っていたのは1.6%だった.

    結論:訪問看護利用者の満足していない看護内容と,利用者の満足感と看護師から見た利用者の満足感に対する認識の相違が明らかになった.

  • 宮本 由香里, 京田 薫, 塚崎 恵子
    2020 年 43 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/25
    ジャーナル フリー

    目的:病棟看護師の退院支援能力の向上を目的とし,入院中に担当した退院患者の事例検討会を訪問看護師と共に行いその効果を検証した.

    方法:3病院8病棟の看護師74名を退院前訪問の経験の有無別に退院支援能力を比較した.訪問経験の無い看護師62名の事例検討会前後の退院支援能力の変化を分析した.

    結果:退院前訪問の経験の有る看護師は無い者に比べ退院支援能力が有意に高かった.事例検討会後,訪問経験の無い看護師は在宅生活に対するイメージの「貧困―裕福」,「汚い―きれい」,「窮屈―自由」,退院支援の実践の「患者家族に教育すべきことの明確化」,「ヘルスケアニーズ等を考慮に入れたプランの策定」,在宅の視点のある病棟看護の実践の「なるべく早くケアマネジャーに相談」が有意に変化した.

    結論:訪問看護師との退院患者の事例検討会は病棟看護師の情意・精神運動領域における退院支援能力に教育的効果があることが示唆された.

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