日本プライマリ・ケア連合学会誌
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最新号
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Editorial
原著(研究)
  • 郷原 志保
    2021 年 44 巻 2 号 p. 38-44
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    目的:地域で暮らす高齢者の人生の最終段階における医療選択に関する意思表明へ影響を与える要因を検討することを目的とした.

    方法:関東の2市町村で実施されている介護予防事業に参加している高齢者780名に対し,郵送法による自記式質問紙調査を行った.

    結果:回答があった368名(回収率47.2%)のうち有効回答数348名(有効回答率94.6%)を対象に分析を行った.人生の最終段階における医療選択に関する意思表明へ影響を与える要因を明らかにするためロジスティック回帰分析を行った結果,看取り経験の有無が影響していることが明らかとなった(p=0.046,OR 1.576).

    結論:人生の最終段階における医療選択に関する意思表明に影響を与える要因は,看取り経験の有無であることが明らかとなった.

  • 遠田 大輔, 廣瀬 亜衣, 畠 真理子, 佐々木 真理, 大舎羅 紗希, 高山 優也, 日野 昌力, 北村 立
    2021 年 44 巻 2 号 p. 45-52
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    目的:軽度認知症者の終末期医療に関する意向の実態と家族介護者の医療選択の意向との相違を明らかにすることを目的とした.

    方法:認知症疾患医療センターに通院中の軽度認知症及び軽度認知障害の患者とその介護者54組を対象に,終末期医療の意向に関する聞き取り調査を行った.

    結果:有効回答50組(100人)を分析した.患者のうち終末期に「肺炎時の抗生剤の服薬・点滴」を望む者は48%,「中心静脈栄養」を望む者は22%,「蘇生処置」を望む者は16%であった.各医療項目の「望む」/「望まない」における患者と介護者の意向が一致した割合は0~76%であった.患者家族間で終末期医療に関する話し合いをしていた方が,「蘇生処置」に対する意向が一致した割合が高かった.

    結論:患者と家族にとって後悔の少ない選択ができるよう,軽症のうちから終末期医療について繰り返し話し合うための支援が重要と考える.

  • 安原 大生, 川島 篤志, 和田 幹生, 花本 明子, 加来 奈津子
    2021 年 44 巻 2 号 p. 53-58
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    目的:破傷風は強直性痙攣を引き起こす致命率の高い感染症である.筋症状の治療として硫酸マグネシウムが有効である可能性が報告されているが,その使用実態の知見は乏しい.本研究の目的は重症管理を必要とした破傷風に対する硫酸マグネシウム使用の概要を明らかにすることである.

    方法:国内で医師が登録する複数のメーリングリストを利用し,重症管理を必要とした破傷風に対する硫酸マグネシウムの使用実態についてアンケート調査を行った.

    結果:対象となるのべ24,266人のうち計604名からの回答があった.重症管理を必要とした破傷風症例の経験者は252名であり,そのうち硫酸マグネシウムの使用経験者は126名であった.

    結論:重症管理を要する破傷風症例において,硫酸マグネシウムの使用が相当数認められることが明らかとなった.破傷風治療の選択肢として,硫酸マグネシウムの有用性については更なる知見の蓄積が必要である.

  • 髙木 博, 小曽根 早知子, 高屋敷 明由美
    2021 年 44 巻 2 号 p. 59-67
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    目的:総合診療医が家業継承に至るまでのプロセスとその過程で継承者が感じる課題を明らかにする.

    方法:日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医またはそれに準ずる者で,親族の医院を継承または継承に向けて勤務している者を同学会メーリングリストおよび個別に募集し,半構造化個別インタビュー調査を行った.録音データを逐語録化しテーマ分析の手法で解析した.

    結果:対象者は12名,全て男性で,7名はすでに家業継承していた.対象者は幼少期より周囲から家業継承への暗黙の期待を受け,自ずと継承することがゴールになっていた.対象者は継承プロセスの主体性の欠如,医院の慣習・継続性,先代とのプロフェッショナリズムの違い,家族経営の複雑性に直面し,特に先代に対しては家族としての感情とプロフェッショナリズムの間で葛藤を感じていた.

    結論:総合診療医が家業継承するプロセスとその間の課題,葛藤が明らかとなった.

  • 大西 権亮, 廣瀬 英生, 伊左次 悟, 藤川 耕, 熊田 裕一, 田口 潤, 渡邉 駿, 後藤 忠雄
    2021 年 44 巻 2 号 p. 68-73
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    目的:新型コロナウイルス感染症流行に伴う自粛で75歳以上地域住民が活動頻度変化を感じているのか検討する.

    方法:2020年5月11日~22日の間に県北西部地域医療センター内医療機関を受診した75歳以上患者を対象に外出,散歩,屋外運動,家庭内運動,農作業,地域サロン等の参加,友人,別居家族との直接会話,電話等での遠隔会話について,受診前2週間における頻度と前年同時期の頻度を週0日,1~2日,3~4日,5日~毎日に分け質問紙法で調査した.

    結果:75~95歳の292人が参加した.外出,散歩,農作業,屋外運動,家庭内運動,地域サロン等の参加,直接会話で前年よりも頻度が低い選択肢の回答が多く,両群には統計学的に有意差を認めた(P<0.05).

    結論:新型コロナウイルス感染症流行に伴い地域在住高齢者は身体活動,社会活動頻度低下を感じており,これらの活動頻度が低下した可能性が示唆された.

  • 金田 明子, 叶谷 由佳
    2021 年 44 巻 2 号 p. 74-80
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    目的:エンド・オブ・ライフ期を自宅で過ごすことを希望する要介護高齢者に対して多職種が実践しているケアマネジメント内容を明らかにする.

    方法:介護支援専門員,在宅療養支援診療所医師,訪問看護師等の計20名に半構造化面接を行い質的帰納的に分析した.

    結果:多職種は,【在宅退院を可能にする支援】【望む暮らし・望む最期を実現できるケアチームの構築】【エンド・オブ・ライフ期全体を見据えた家族支援】【時期を逃さず意向をくみ取る意思決定支援】【望みの実現を目指した症状をコントロール】【エンド・オブ・ライフ期の受容に向けた精神面の支援】【スピリチュアル面の支援】が継続して提供されるようにしていた.

    結論:多職種が自身の職域の役割の付加機能としてケアマネジメントを行うことは,継続性のあるケアが円滑に提供できることにつながり,地域包括ケアシステムの構築の一助となる可能性があると考える.

原著(症例報告)
  • 唐渡 諒, 阿部 祥英, 松橋 一彦, 曽我 恭司, 松本 裕子, 常 彬, 梅田 陽
    2021 年 44 巻 2 号 p. 81-84
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(13-valent pneumococcal conjugate vaccine:PCV13)を接種していたが血液培養から肺炎球菌が検出された1歳の女児を経験した.検出された菌株はPCV13非含有型の24B型と判明した.本邦では2010年に沈降7価肺炎球菌結合型ワクチン(7-valent pneumococcal conjugate vaccine:PCV7)が導入され,5歳未満の侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease:IPD)の総数は減少した.2013年にPCV13が導入されてから5歳未満のIPDの総数は増加しており,原因としてPCV13非含有型のIPDが増えていることが考えられる.ワクチン接種によってもIPDを完全には予防できず,PCV13非含有の血清型によるIPDの発症に注意が必要である.

  • 白石 渉
    2021 年 44 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    目的:Neuromyelitis optica spectrum disorder(NMOSD)は,視神経炎と脊髄炎を特徴とする中枢神経の炎症性疾患である.視神経炎で初発し,幻視を伴う強いせん妄を呈したNMOSD症例を報告する.

    方法/結果:既往のない82歳女性,X-15日に水平性半盲が出現,当科受診となった.視力は指数弁だった.髄液検査で単核球優位の細胞数増多を,頭部MRIで視交叉と視索に病変を認め,入院加療を行った.ステロイドパルスを開始したが,幻視を伴う強いせん妄が出現,拒薬や点滴自己抜去が出現し,入院3日目に退院となった.

    結論:NMOSDは高齢者でも初発し,視神経炎を生じることがある.集学的治療で予後の改善が期待されるが,本症例は強いせん妄のために治療継続できなかった.高齢者の視神経炎症例は,視力障害がせん妄の増悪因子となり,医療者は早期発見と対応に注意する必要がある.

総説
  • 片平 伸子, 植村 由美子
    2021 年 44 巻 2 号 p. 89-96
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    目的:訪問看護師の看護実践能力の特徴を明らかにし,能力育成の方策を検討する.

    方法:訪問看護師の看護実践能力の定義と要素について国内文献のナラティブレビューを行った.

    結果:訪問看護師の看護実践能力は専門職としての姿勢,知識,技術等に基づいたケア能力であり,訪問看護の実践のために生活の場で発揮される等の特徴があることが示された.【主体性・個別性を活かした利用者・家族支援】【制度等の社会資源の活用と連携】【訪問看護師としての基本姿勢や態度】【災害・感染等のリスクマネジメント】等が看護実践能力の要素として抽出された.

    結論:訪問看護師の育成においてはこれらの要素を優先して育てることが望まれる.また,能力の育成策としては,利用者の個別性を重視したOJT,チームマネジメントの機会を提供すること,新人には専門職としての姿勢,リスクマネジメント能力を基盤として看護実践能力の習得を図ることが考えられた.

活動報告
特別企画:プライマリ・ケアで研究をするとは?
  • 家 研也
    2021 年 44 巻 2 号 p. 101-104
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    本邦の総合診療領域でも,研究に興味を持ち大学に所属したり,研究の勉強会に参加する若手が増えてきている印象がある.しかし,日本の総合診療業界自体が若く,総合診療が発展した諸外国と比較すると,まだまだ研究の質,量,そして実践のノウハウも発展途上である.臨床に重きをおく総合診療領域で,そもそもどのように研究テーマを選んで行けば良いのか,そして研究が実践できるようになるために何から始めれば良いのか,といった悩みを若手から聞く機会も多い.本稿では,もともと開業志向であった一人の若手総合診療医が,診療所,市中病院,大学病院を含む様々な環境を経験するなかで,少しずつ研究への興味を深めながら実践を続け,ライフワークの一つとするに至った過程を実際の研究の取り組みも併せて紹介する.

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