日本プライマリ・ケア連合学会誌
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最新号
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Editorial
原著(研究)
  • 土田 知也, 家 研也, 西迫 尚, 松田 隆秀
    2019 年 42 巻 3 号 p. 134-140
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

    背景:特定の臓器に偏らず幅広い視野で患者を診ることができる総合診療医が日本には必要であるものの認定制度開始は近年のためその育成は急務である.

    目的:総合診療に興味を持ちつつ臓器別専門医を選択した医師にインタビューを行い,「進路決定に関する要因」を抽出し,より理想的な総合診療研修の方法を検討する.

    方法:2017年4月~2018年4月,5名の対象者へ現在のキャリア選択に至った経緯について半構造化面接をおこない逐語録化されたデータを,修正グラウンデットセオリーアプローチを用いて分析した.

    結果:臓器別専門医選択の理由は「学問としての魅力」「他の医師から頼られる存在」「専門性を得る安心感」があがり,総合診療医の障壁として「将来の不安」「臓器別専門医からの批判」などがあがった.

    結論:より理想的な総合診療研修のためには,充実した地域医療研修や専門医制度の確立,総合診療再研修の提案・実践を行うことが必要である.

  • 勅使川原 早苗, 片岡(臼井) 仁美, 時信 亜希子, 川畑 智子, 後藤 由佳, 奥田 博之, 和田 淳
    2019 年 42 巻 3 号 p. 141-149
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

    目的:女性外来受診者の特性,心理障害および心身の自覚的訴えの程度を把握し,それらの関連を検討した.

    方法:2012~15年に当院女性外来(内科)を受診した女性患者を対象とし(N=97),一般属性に加え,コーネル・メディカル・インデックス(CMI)と自己評価式抑うつ性尺度(SDS)を用い,それぞれ身体的・精神的自覚症とうつ傾向に関するデータを収集した.対象者の特性を記述し,自覚症とうつ傾向の関連,身体と精神の自覚症の関連を分析した.

    結果:ロジスティック回帰分析を施行したところ,SDSによる「うつ傾向あり」に寄与するCMI質問カテゴリーは「疲労度」(オッズ比:7.66,p値:0.001)と「不安」(オッズ比:11.73,p値:0.006)などであった.

    結論:女性外来受診者は身体的訴えに加え,心理障害を有する場合が多く,女性外来に携わる医師は患者への心理・精神的アプローチが欠かせない.

  • 荒井 康之, 鈴木 隆雄, 長島 晃司, 福地 将彦, 小坂 由道, 太田 秀樹
    2019 年 42 巻 3 号 p. 150-157
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

    目的:在宅ケアを受けたがん患者において,患者・家族が希望する最期の場所は在宅ケアを受ける中で変化するのか,実際に希望の場所で患者が最期を迎えるのかを検討する.

    方法:A診療所が在宅ケアを提供したがん患者111人の診療録調査.在宅ケアの開始当初と最終段階での患者・家族が希望する最期の場所,患者が最期を迎えた場所を検討した.

    結果:当初の希望が自宅である患者の95.6%・家族の96.8%が最期まで自宅を希望し,当初の希望が自宅でない患者の87.9%・家族の84.8%が最期に自宅を希望した.患者の97.4%・家族の97.2%で,最終段階の希望と最期を迎えた場所が一致した.

    結論:一診療所の調査ではあるが,自宅での最期を希望した患者・家族は最期までそれを希望し続け,当初はそれを希望しなかった患者・家族も最期には自宅を希望しやすいことが示唆された.また患者の多くが希望の場所で最期を迎えることが示唆された.

原著(症例報告)
  • 木本 正英, 更屋 勉, 新井 諒也, 津島 寿幸, 山西 行造
    2019 年 42 巻 3 号 p. 158-161
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

    日常診療において,非ステロイド性消炎鎮痛薬(以下NSAIDs)経皮製剤(湿布)による消化管粘膜障害などの有害事象に十分留意はされていない.しかしながら,本来1~2枚の局所投与目的で使用すべきNSAIDs経皮製剤が,患者判断で複数枚連日長期使用されていることが少なくない.4枚を超える多数枚を常用すると,使用枚数に比例してNSAIDsの血中濃度が増加して経口剤同様に有害事象を発生させる可能性がある.

    今回,2年にわたり治癒が遷延した胃潰瘍が,経皮製剤の使用中止によりただちに治癒したという症例を経験した.①Helicobacter pylori(以下H.p.)未感染,②NSAIDs内服歴なし,③経皮製剤の処方が他院によるため未把握のまま常用されていた,という偶然が重なったことにより,経皮製剤が上部消化管の粘膜障害の原因となることを特定し得た.そこでこれを報告し,NSAIDs経皮製剤の危険性や適正使用について若干の文献的考察を行う.

  • 二宮 晴夫, 永渕 輝佳
    2019 年 42 巻 3 号 p. 162-166
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

    68歳男性.腎癌術後フォロー中に腰痛・股関節痛にて整形外科入院.抗菌剤投与に反応せず炎症反応高値と臨床症状の間に乖離を認め,強直性脊椎炎の疑いでステロイド投与され症状軽減し退院.免疫アレルギー内科でリウマチ性多発筋痛症と診断される.腹腔内リンパ節及び皮下の転移に対し摘出術施行.術後疼痛改善したことで腫瘍随伴症候群と診断された.4ヶ月後重複大腸癌に対し手術施行された後にリハビリテーション介入.経過中に関節炎の再燃を疑わせる股関節痛が出現,疼痛対応に苦慮しながら自宅退院することができた.急性期病院では疾患の治療成績に関心が向きがちであるが,臨床経過中に骨関節の痛みを訴えるものの中にはPMRを含めた腫瘍随伴症候群があることに注意して対処すべきである.腎癌術後にPMR様症状が出現した重複大腸癌の報告は本例が初めてであり,リハビリテーションは総合診療を担う一翼であると再認識させてくれた症例である.

総説
  • 春田 淳志, 小曽根 早知子, 後藤 亮平
    2019 年 42 巻 3 号 p. 167-173
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

    リアリストアプローチは,プライマリ・ケア領域で必要とされる複雑な介入のプロセスや教育プログラムを評価することを目的としている.これまでブラックボックスであった「どのように機能するのか(How)」と「なぜ機能するのか(Why)」を明らかにし,現実に即した介入やプロセスの省察を可能とする研究方法の一つである.リアリズムをパラダイムとするリアリストアプローチは,定量的・定性的データを収集し,構成主義的統合の考えに基づき,コンテキスト(文脈),メカニズム,アウトカムの一連の統合した輪郭を明らかにする.本稿では,地域の病院で医学生を対象に実施した多職種のシャドーイングプログラムの評価を例に挙げ,リアリストアプローチの概要を紹介する.今後プライマリ・ケア領域において,科学としてのリアリストアプローチの考え方を適用した評価が普及することを期待する.

  • 木村 剛英, 直井 洋明, 斉藤 秀之
    2019 年 42 巻 3 号 p. 174-180
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

    超高齢化社会を迎える本邦において,認知症の予防は国を挙げて取り組むべき問題の一つとなっている.認知症の予防には,認知機能が低下する前の段階から介入することが望ましい.このため,健康な高齢者が生活する地域レベルでの予防的介入が重要である,すでに多くの地域において認知症予防のための取り組みが始まっている.しかし,それらの取り組みの中で頻繁に用いられる「運動」や「認知訓練」は,科学的な根拠に基づくことなく漫然と行われているケースも多い.そこで,本稿では運動と認知訓練の認知症予防に効果的な方法を,近年の知見をもとに整理した.そして,実際に地域で実践することを想定して,具体的な実施方法について提言した.本稿が地域における認知症予防の取り組みの一助になれば幸いである.

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