源流
Print ISSN : 1345-3610
2000 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集
  • --- Quantum Indistinguishability ---
    山本 喜久
    2000 年 2000 巻 2 号 p. 1-5
    発行日: 2000年
    公開日: 2000/11/30
    ジャーナル フリー
    極低温に冷やした半導体(GaAs)に作成した二次元電子ガスがフェルミ縮退していることを利用して、電子衝突過程の量子干渉効果とアンチバンチング性の直接観測に成功した。量子干渉効果は電流雑音(ゆらぎ)から観測し、アンチバンチング性については量子ポイントコンタクトから放出される電子の負の強度相関により観測した。
  • 清水 明
    2000 年 2000 巻 2 号 p. 6-8
    発行日: 2000年
    公開日: 2000/11/30
    ジャーナル フリー
    複雑な量子系では、自由度を増すにつれて、自由度が小さく単純な量子系(例えば水素原子)にはないような、不確定性原理とは別の原理的な操作限界が出てくるらしい。それをしらべるために、ここでは、小さなカオティックな量子系を外場で揺すった場合を考察する。この場合、マクロ系とは異なり、はじめの状態が状態密度の凹凸のどのあたりにあったかによって、揺さぶり後のエネルギー変化の符号が異なることがわかった。つまり、適当なエネルギー分解能δE で見た状態密度が高い方向に向かって状態が遷移する傾向があった。このような一方向性の存在は、何らかの操作限界を示唆していると考えられる。
  • --- 金原子一個列が運ぶ量子化電流 ---
    高柳 邦夫
    2000 年 2000 巻 2 号 p. 9-12
    発行日: 2000年
    公開日: 2000/11/30
    ジャーナル フリー
    電子顕微鏡と走査型トンネル顕微鏡(STM)の組み合わせにより、金原子のナノワイヤ構造と電気伝導という量子の世界をみる研究例を紹介した。ナノワイヤの断面原子数には魔法数が見られた。1 本の原子列は量子化コンダクタンスの1ステップに相当する電流を運んでいた。金原子1 個列では原子間隔が広がり絶縁体になることも推測されている。ついてふれた。ナノの舞台で自由に電子を操作できる時代が到来しつつある。
  • 竹内 繁樹
    2000 年 2000 巻 2 号 p. 13-15
    発行日: 2000年
    公開日: 2000/11/30
    ジャーナル フリー
    量子力学の「重ねあわせの原理」を用いて超並列計算を可能にする量子計算のアルゴリズムを、線形光学素子と光子を組み合わせた実験系によって検証することに成功した。また、その構築とあわせて開発した、効率の良い単一光子源や、世界最高の量子効率を持つ光子検出器についても紹介する。
  • 小川 哲生
    2000 年 2000 巻 2 号 p. 16-19
    発行日: 2000年
    公開日: 2000/11/30
    ジャーナル フリー
    結晶の光励起による協力的構造相転移の簡単なモデルとして、局在電子-格子系の解析を行った。特に1 つの単位胞を光励起した場合に誘起される構造相転移について考察し、断熱極限と透熱極限の双方で、短距離力で適当な強度を持つ相互作用の場合に、大域的な構造相転移を引き起こすことがわかった。そのダイナミクスは「ドミノ倒し」であり、断熱極限では「決定論的ドミノ倒し」、透熱極限では「確率論的ドミノ倒し」と称される質的に異なる過程から成る。
  • --- 有機 / 金属界面における光電流増倍現象の発見と光 ・ 電子機能デバイスへの展開 ---
    横山 正明
    2000 年 2000 巻 2 号 p. 20-25
    発行日: 2000年
    公開日: 2000/11/30
    ジャーナル フリー
    ペリレン顔料薄膜における有機/金属界面で新たに見いだされた光電流増倍現象を紹介した。この現象を有機電界発光素子(EL)と組み合わせた光‐光変換デバイス、光増幅デバイス、光スイッチング、光演算デバイスについて述べた。
  • 榊 裕之
    2000 年 2000 巻 2 号 p. 26-30
    発行日: 2000年
    公開日: 2000/11/30
    ジャーナル フリー
    ナノスケールの半導体の特色と機能を紹介した。まず10 nm 級の半導体超薄膜についてFET やレーザにおける重要性を述べ、また超格子構造での赤外光検出器応用や量子井戸中の励起子のテラヘルツ応答を紹介した。ついで、量子箱における単電子転送や光子支援トンネリング、自己形成量子箱を用いたメモリ効果や光応答を紹介した。最後に10 nm 級量子細線構造の形成と1 次元電子および励起子の制御についてふれた。ナノの舞台で自由に電子を操作できる時代が到来しつつある。
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