日本地球化学会年会要旨集
2014年度日本地球化学会第61回年会講演要旨集
選択された号の論文の347件中151~200を表示しています
G01 大気微量成分の地球化学
  • 岡本 祥子, 谷本 浩志, 奈良 英樹
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    セッションID: 2C09
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    長野県白馬村の国設八方尾根酸性雨測定所では、1998年の観測開始以降、大きなオゾン濃度の長期増加傾向が確認されている(Tanimoto, 2009)。その原因として、中国からの越境汚染が考えられるが、中国の寄与だけでは説明できない状況にある(Tanimoto et al., 2009)。一方、オゾン濃度の長期変化と高濃度イベントでは越境汚染と国内汚染とで寄与率が異なる可能性や、イベントによって相対的寄与率が異なる可能性が示唆されている(Wild et al., 2004)。
    2013年7月からの連続測定の結果、O3はこれまでの研究同様、春季に非常に高く,その後夏季に減少する傾向が見られた。CO2は2013年8月に最も低く、2014年4月に最も高かった。COとCH4の間には非常に強い相関関係が見られた。また、CO2は冬季以外に明瞭な日変動を示した。
G07 マントル物質の化学とダイナミクス
  • 下田 玄, 小木曽 哲
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 2E01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    マントル端成分であるHIMU、FOZO、PREMAの起源について地球化学的モデリングを行った。その結果、海洋地殻の含水量の不均質によりこれらの端成分の違いが説明できることが明らかとなった。
  • 羽生 毅, 川畑 博, 巽 好幸, 木村 純一, 兵藤 博信, 佐藤 佳子, 宮崎 隆, 常 青, 平原 由香, 高橋 俊郎, 仙田 量子, ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 2E02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    太平洋のオーストラル諸島と大西洋のセントヘレナ島にはHIMU玄武岩が産出するが、この両者の同位体組成を比較し、両大洋下のHIMU端成分の成因を議論する。両者は206Pb/204Pb, 208Pb/204Pb, Sr, Nd, Hf同位体に関して非常に似た組成を示し、同じ成因であることを示唆するが、唯一207Pb/204Pbが異なる。これは太平洋下と大西洋下のHIMUの形成年代が異なることを意味し、前者のほうが後者より0.3Gaほど若いという結果を得た。また、208Pb-204Pbシステマティクスから端成分のTh/Uを見積もるとその値は新鮮な海洋地殻の値に近く、HIMUの成因が変質した海洋地殻がリサイクルしたとする一般的なモデルと一見矛盾する。このことは過去の海洋地殻の変質が低酸素状態で起こり、Th/Uの分別が現在のような酸化状態では起きていなかったことを示唆する。
  • 近藤 望, 芳野 極, 松影 香子, 吉田 健太, 小木曽 哲
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 2E03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    現在の地球のケイ酸塩部分とコンドライトの間には142Nd/144Ndに有意な差があり、この差を補償する、液相濃集元素に富んだ貯蔵庫の存在が示唆されている。Kondo & Kogiso (2014)から、この貯蔵庫は7GPaでのカンラン岩ソリダスメルトである可能性が高い。本研究はこのソリダスメルト組成をModified Iterative Sandwich Experiment (Hirschmann & Dasgupta, 2007) を用いて決定した。メルト組成はWalter (1998)から外挿した組成とほぼ整合的なコマチアイト質となった。しかしKとPは予想よりも低濃度となり、この貯蔵庫がKREEP質な組成とならない可能性が示唆された。
  • 山口 能央, 飯塚 毅, 外西 奈津美, 中井 俊一, ドウビット・ マーティン
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 2E04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    太古代岩石のHf同位体組成は地球史を通じたマントル進化に制約を与えうる。今回我々は、バーバートン地域の玄武岩Hf同位体比測定を行い、変成変質の影響評価をした上で、玄武岩試料で揃えたマントルのHf同位体進化の考察を行った。 当該地域二つの岩体から採取した28試料を分析した結果、εHf(3450Ma)はそれぞれ1.56±0.88, 3.00±0.95となった。これは, バーバートン玄武岩のソースマントルが35億年以前に既に部分溶融を経験し, 液相濃集元素に枯渇していたことを示す。また、他の太古代玄武岩の同位体組成と併せて, マントルHf同位体進化を推定すると, 初期マントルは約40億年前に分化し, Lu/Hf比が0.296になっていたと解釈できることが分かった。このLu/Hf比は, MORBソースマントルのLu/Hf範囲内におさまり,太古代初期のマントルは, 現在の上部マントルと同程度のLu/Hf分別を経験していた可能性が示唆された。
  • 佐野 文音, 中村 仁美, 小宮 剛, 横山 哲也, 宇野 正起, 木村 純一, 常 青, 岩森 光
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 2E05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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     中央海嶺玄武岩(MORB)や海洋島玄武岩(OIB)は、微量元素組成、同位体比に系統的な差が見られ、それぞれ長期間にわたって不適合元素が枯渇したマントルと、逆に不適合元素に富んだマントルに由来すると考えられている。このように、地球内部での物質循環と分別がマントル組成の多様性や不均質を生んだと推測される。本研究では物質循環の開始時期に制約を与えることを目的とし、太古代のMORBやOIBの組成分析から当時のマントル組成の推定を行った。
     試料は西オーストラリアのノースポール地域から採取された、約35億年前の玄武岩を用いる。それらは海洋プレート層序からMORBとOIBに分類できる(Komiya et al., 2002)。本研究ではノースポールのMORBとOIBについて、全岩微量元素分析とSr、Nd同位体分析を行った。さらに、全岩の変質の影響を考慮するため、火成単斜輝石の微小領域分析も行った。
  • 石川 晃, 仙田 量子, 谷 健一郎, 鈴木 勝彦, 石井 輝秋
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 2E06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    近年データの蓄積が飛躍的に進んだ各種かんらん岩の強親鉄性元素濃度変動をまとめ、マグマ生成プロセスに伴う固液分配の支配要因について考察した。
  • Nouri Fatemeh, Azizi Hossein, 折橋 裕二, 浅原 良浩, 山本 鋼志
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 2E07
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    The Zagros fault is suture zone of the Arabian and Iran plates which collided in the late Miocene. In the suture zone, two parallel ophiolite belts situated between the Biston-Avoraman block (BAB) and Arabian plate in the west and Sanandaj Sirjan zone (SSZ) in the east, and suggest the possibility for multistage collision. Our target in this presentation is to report the age of high Na acidic rocks in the Harsin area in the west of Iran.
  • 白石 智子, 仙田 量子, 鍵 裕之, 角野 浩史, 鈴木 勝彦
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 2E08
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    天然多結晶ダイヤモンドであるカルボナドの成因には様々な仮説が提案されているが、議論に決着はついていない。カルボナドは多くの粒界を持つ多結晶体であるため、元々粒界に存在したダイヤモンドの結晶成長当時の情報は、二次的な変質などによって失われている可能性が高い。本研究では、中央アフリカ共和国産のカルボナドを試料とし、粒界の情報と生成当時の情報を保持していると考えられる粒内を区別してOs同位体組成を測定し、カルボナドの生成環境を考察した。粒界と粒内を区別するために、1段階目では粉砕した試料を用い、2段階目では1段階目の回収試料をグラファイト化した試料を用いてOs同位体組成を測定した。その結果、第1段階と第2段階、すなわち粒界と粒内のOs同位体比は有意に異なり、粒界は粒内に比べて高いOs同位体比をもち、粒界は地殻物質の影響を受けていることが明らかになった。
  • 町田 嗣樹, 小木曽 哲, 平野 直人
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 2E09
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    北西太平洋のアウターライズ手前(プレート屈曲部)で活動したプチスポット初生マグマが、リソスフェア下部(約1280 ℃、約2.1 GPaの条件)で周囲のカンラン岩と最終平衡にあったことを検証するために、同一海域の別の火山(試料採取地点番号YK06-05 6K#879)と、日本海溝海側斜面に存在する火山(試料採取地点番号KR97-09 10K#56)(噴火当時同様なセッティングにあったと考えられる)に対する複数相飽和実験を行った。その結果、6K#879は約1280 ℃、約1.8 GPaの条件で、かんらん石・斜方輝石・単斜輝石が飽和し、10K#56は約1275 ℃、約1.4 GPaの条件で、かんらん石と斜方輝石が飽和した。プチスポットの初生マグマが、リソスフェア下部(およびそれ以浅)において周囲のカンラン岩と最終平衡にあったことは、マグマ噴出位置や噴火年代の違い関わらず共通する条件である。
  • 岡林 識起, 福山 繭子, Nguyen Hoang, 小笠原 正継
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G07 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 2E10
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    地球深部のマントルや地殻下部の特徴や進化の様子を明らかにするために、SrやNd, Hf, Pbの同位体比が広く用いられている。そのため、これらの元素を一つの岩石試料から迅速に分離・抽出するためのイオン交換法が必要となる。我々は、Sr, Nd, Hf, Pbの4つの元素を同一の岩石試料から効率的に分離・抽出するためのイオン交換法を検討した。また、このイオン交換法を一ノ目潟で産出した捕獲岩試料に適用し、そのSr, Nd, Hf, Pb同位体比をMC-ICPMSを用いて測定した。本発表ではこれらの同位体比から、一ノ目潟のマントル捕獲岩および下部地殻由来と考えられるはんれい岩が示す特徴について議論する。
受賞講演
口頭発表(第3日目)
G08 宇宙化学・惑星化学
  • 山田 明憲, 佐川 英夫, Kaley Walker, Peter Bernath, Chris Boone, 小嶋 稔, 笠井 康子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    酸素同位体は、太陽系の初期進化を探る重要なトレーサーである。酸素同位体比は化学的・物理的反応過程において、質量に依存して、または質量には依存せずに変動する。質量に依存しない同位体比の変動は同位体比異常と呼ばれ、隕石中の物質の酸素同位体比異常(∆17O)は -25 permil から 90 permil に及ぶ。しかし、初期太陽系の酸素同位体比は不明のため、この酸素同位体比異常の起源は未解明である。太陽大気中の酸素同位体比は原始太陽系星雲生成時の酸素同位体比を保存している可能性が指摘されている。本研究では、ACE衛星のsun rise occultation(sr10063)から13本の赤外スペクトルを用いて、太陽大気中の酸素同位体比を求める。
  • 大場 康弘, 渡部 直樹, 香内 晃
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    本講演では,星間塵表面反応で生成する水分子の水素同位体組成について,これまでの実験結果をもとに詳細な議論をおこなう。一般的に星間分子は分子生成時および分子生成後に重水素濃集可能であるが,水分子に関しては,極低温の星間塵表面では分子生成時に限定される。水分子は3つの経路でおもに生成するが,うち2つの生成反応は極低温では熱的におこりえず,量子力学的なトンネル効果が不可欠である。量子力学的トンネル反応には大きな同位体効果が期待されるため,生成する水分子の水素同位体組成を議論する際には注意が必要である。
  • 山下 勝行, Josh Wimpenny, Matthew Sanborn, 丸山 誠史, Qing-zhu Yin
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    High-precision Mg and Cr isotope data of five CAIs from Allende will be presented. The δMg* of all CAIs shows strong correlation with the Al/Mg ratio, defining a line with a slope that translates to 26Al/27Al of ~5 x 10-5. The Cr from the spherical CAIs shows anomalies in both ε53Cr and ε54Cr, with ε53Cr correlating with 55Mn/52Cr. Further chronological implications, as well as the petrological properties of the CAIs will be discussed.
  • 深井 稜汰, 横山 哲也, 高橋 宏和
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    コンドライト隕石の全岩試料には様々な重元素同位体異常が報告されている。Ndは次世代TIMSによって同位体異常の研究が盛んな元素のひとつである。コンドライト隕石には放射壊変起源の142Ndに加え、148Nd・150Ndといった安定同位体にも同位体異常が報告されている。しかしこの結果は、隕石試料の分解時に耐酸性のプレソーラー粒子を完全溶解できずに得た、誤ったものである可能性もある。本研究では隕石全岩の完全分解法と超高精度Nd同位体分析を組み合わせ、Nd同位体異常をより詳細に議論する。予察的な実験として4種類のコンドライトのNd同位体比を測定したところ、142Nd/144Nd比は地球試料から23±3ppm低い値を持っていたのに対し、安定同位体には地球試料との有意な差は見られなかった。今後更なる精度向上を実現させ、母天体環境や変成度の異なる隕石を測定することで、詳細な議論を行っていく。
  • 三澤 啓司, 横山 立憲, 米田 成一
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    コンドライトやアルカリに乏しいエコンドライトの全岩試料のCa同位体データに基づいて、Ca同位体初生比について議論する。
  • 日高 洋, 米田 成一
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    月表層物質は銀河宇宙線照射の影響を受け,その物質内に核破砕や中性子捕獲などの核反応生成物が蓄積した結果,いくつかの元素の同位体組成においては検出可能なほどの変動が認められる。本研究では,月面の最表層から回収された試料を用い,銀河宇宙線以外に太陽風の照射がもたらす核反応に伴うBaおよびSmの同位体変動の検出を試みた。
  • 辻本 拓司, 茂山 俊和
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A07
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    r核種の起源は未だベールに包まれている。これは長年にわたる宇宙物理学上の課題というだけではなく、太陽系の隕石に見られる重元素同位体異常の起源を断定する上でも重要な意味を持つものであり、地球化学への深い接点を持つテーマと言える。r核種の起源の候補は2つに限られている。一つは大質量星の中心核が最後に収縮して中性子星になるときに起こす大爆発である超新星であり、もう一つの候補が中性子星同士からなる連星の合体の際にできるとするものである。本講演では銀河系および近傍に存在する矮小銀河の両者において、星々に刻まれた化学進化がr核種の中性子星合体起源説を支持することを報告する。
  • 横山 哲也, 深海 雄介, 永井 友一朗, 中本 泰史
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A08
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    近年、隕石に様々な重元素同位体異常が発見され、初期太陽系は同位体的に不均質であったことが明らかとなった。一方、そのような同位体異常を示さない元素も存在する。このことは原始太陽系星雲内において均質化された元素とされない元素が存在することを示唆するが、その具体的メカニズムについては未だ不明である。我々はこれまでに報告されている隕石全岩と酸処理液の重元素同位体異常に関するデータをコンパイルし、それを元に初期太陽系の同位体不均質について検討した。その結果、隕石に観察される同位体異常は元素の揮発性と強い関係を持つことが明らかとなった。隕石全岩に明確な同位体異常が観察されるのはSrやMoなど、50%凝縮温度が1300-1600Kの元素であり、これらの元素は太陽系内の熱プロセスによりダストの一部が選択的に破壊される際、固相と気相の双方に分配され、その後の固相―気相分離により同位体異常が形成されたと考えている。
  • 深海 雄介, 横山 哲也, 奥井 航
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A09
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    本研究では、Reisberg et al. (2009)の方法に基づいた段階的酸処理をAllende、Murchison、Tagish Lakeの3つの炭素質コンドライトに対して行い、得られた酸処理液中のTe同位体分析をTIMSにより行った。Allendeの耐酸性残渣以外の酸処理液には同位体異常は確認できず、プレソーラー粒子が保持していた元素合成由来のTe同位体異常がコンドライト母天体形成以前のネビュラプロセスによって消失したことを示唆している。一方で、Allendeの耐酸性残渣のTe同位体組成には、130Te/128Te比に負の同位体異常が見られた。この異常は、Maas et al.(2001)で計算されたII型超新星爆発由来のTe同位体組成由来の異常か、もしくはRichter et al. (1998)で報告されているAllende中のナノダイヤモンド由来のTe同位体異常との混合によって説明できる。
  • 奥井 航, 横山 哲也
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A10
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    アエンデ隕石のコンドリュールの超高精度ストロンチウム安定同位体分析を行った結果、アエンデ全岩のストロンチウム同位体比と近い値を示すことが明らかとなった。この結果を用いてマスバランス計算を行い、マトリックスのストロンチウム同位体比を求めるとコンドリュールと異なる値となる。この結果はコンドリュールとマトリックスが時空間的に異なる環境で形成したことを示す。また、コンドリュールのストロンチウム同位体比が熱プロセスと相関があることを示唆するデータを得た。
  • 寺田 健太郎, 岩本 信之, 青木 和光, 吉田 敬
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A11
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    実測の同位体比から恒星内部の温度・中性子密度の直接制約を試みる我々のこれまでの取り組みを紹介するとともに、質量数100以下であるSr同位体比の温度-中性子密度依存性とプレソーラー粒子の分析データと比較した結果について報告する。
  • 日比谷 由紀, 飯塚 毅, 山口 亮
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A12
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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     消滅核種年代法は隕石の高精度年代測定に利用できるが、相対年代のみを与えるため、これを絶対年代に変換するには、消滅核種年代測定と U-Pb 絶対年代測定の両方が適用可能な隕石(絶対年代基準)が必要となる。 2010年にアルジェリアで発見された NWA6704 は、超苦鉄質な始原的エコンドライト隕石である。その非常に古い U-Pb 年代と、衝突変成の影響が小さい多様な鉱物組成は、NWA6704 が消滅核種年代法の絶対年代基準となり得る隕石であることを示唆する。本研究では、NWA6704 の鉱物観察および LA-ICP-MS による主要・微量元素定量分析を行い、適用可能な年代系を調べた。
  • 吉岡 拓真, 白井 直樹, 海老原 充
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A13
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    本研究ではH7コンドライト(Y-790960,A-880844)とLL7コンドライト(Y-74160,A-880933)の全岩化学組成を求めた.4つのタイプ7コンドライトは概ねタイプ3からタイプ6の普通コンドライトと同様の元素組成を示した.しかしY-74160は親鉄元素の含有量が著しく低く,特にIrが枯渇していた.このようなIrの枯渇は強い熱変成を受けた他のLLコンドライトにも見られた.希土類元素はすべての試料において重希土類元素に富み,Euの負の異常を示した.これらの特徴は強い熱変成によってもたらされたものであると推測される.
  • 鏡味 沙耶, 横山 哲也
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A14
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    ベスタは分化した小惑星であり、ユークライトはその地殻由来と考えられている。ユークライトのSm-Nd年代を精密測定する。145Nd及び149Smスパイクを用いたID-ICP-MS法によりSm/Nd比を測定する手法を開発した。試料をTRU樹脂に通し、酸化物の影響を除き精密に測定した。TIMSでの同位体測定ではNdを高純度で単離する必要がある。HIBAを用いたカラム分離では、Ce/Nd比が10-4かつNd回収率が50%以下と低かった。試料にKBrO3を混合しCeを4価に酸化してからLn resinを通すことで、Ce/Nd~3×10-5かつNd回収率100%を達成した。TIMS分析では検出器の劣化を補正するダイナミック法を立ち上げ、142Nd/144Ndの繰り返し再現性±6ppmを達成した。講演ではNWA7188のSm-Nd年代を発表する。
  • 飯塚 毅, 山口 亮, 羽場 麻希子, アメリン・ ユーリー, ホールデン・ ピーター, アイルランド・ トレバー
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A15
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    Agoultユークライト中のジルコンについて,微量元素定量と高精度ウランー鉛年代測定を実施し,ベスタ地殻の初期進化に制約を与えた.ジルコンのチタン濃度から,ジルコンの結晶化温度は900度であること,年代測定によりジルコンの結晶化年代は45.55億年前であることが分かった.この結果は,ベスタ地殻が火成結晶化した後に部分融解を伴う高温熱変成イベントを45.55億年前に経験したことを示す.さらに,ジルコンの希土類元素パターンから,ジルコン結晶時の酸素フガシティは鉄-ウスタイトバッファにおける酸素フガシティよりも低いことが分かった.この見積もりは,先行研究による,ユークライトの火成結晶化時の酸素フガシティの見積もりと調和的であり,ユークライトが高温の変成作用時においても還元的環境を保持していたことを示す.これは,普通コンドライトなどが熱変成時に酸化されたことと対象的であり,その当時ベスタ地殻に水などの酸化剤が枯渇していたことを示唆する.
  • 森脇 涼太, 臼井 寛裕, 横山 哲也, J. I. Simon, J. H. Jones
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A16
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    火星マントルの化学進化の解明には、火星マントルの溶融液を起源とするシャーゴッタイト隕石を用いた地球化学的研究が最も有効である。本研究では、火星隕石Tissintに5段階の酸処理を行うことによって、5つの抽出液(L1-5)と残留物を得た。それらの初生Pb同位体組成に関し、火成作用後期に晶出するリン酸塩鉱物を多く含む抽出液(L3)が、初期に晶出するカンラン石・輝石からなる残留物と比較して多くの放射性鉛成分を含むことが明らかとなった。このことは、火成作用の後期に地球化学的に富む特徴を持つ火星地殻成分が混入したことを示す。以上から、枯渇した地球化学的特徴を持つTissint隕石でさえ、地殻同化作用を経験していることが明らかとなり、シャーゴッタイトを用いた火星マントルの議論を行う際には、本研究で用いたような段階的酸処理法により、純粋な火星マントル成分を抽出することが必要不可欠であると言える。
  • 山下 陽平, 奈良岡 浩, 三田 肇
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A17
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    炭素質コンドライトからは、これまでに様々な有機物が発見されている。有機物の存在度や同位体比は、その形成環境や反応経路の情報を持つ。我々の過去の研究では、隕石中からアルキルピリジンを始めとする含窒素環状化合物の一連の同族体が検出された。本研究では、それらの物質の形成環境推定のため、隕石母天体の水質環境を想定した予備的な合成実験を行った。アルデヒドとアンモニアを出発物質として水溶液中での合成反応を行った結果、隕石で見られた有機物の一部が検出された。しかし、隕石サンプルとの相違点も多く、その原因として、水溶液中でのアルドール縮合が不十分であることが挙げられる。しかしながら、本研究結果は、不溶性有機物の生成プロセスとして提案されている隕石母天体過程でのアルドール縮合が、可溶性有機物へも貢献している可能性を示唆し、隕石有機物形成におけるアンモニアの重要性も示めしている。
  • 伊藤 元雄, 上椙 真之, 奈良岡 浩, 薮田 ひかる, 北島 富美雄, 三田 肇, 高野 淑識, 唐牛 譲, 矢田 達, 石橋 之宏, 岡 ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A18
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    はやぶさ試料中にはカテゴリ3とよばれる有機物を主としたものが報告されており、それらが地球外有機物かあるいは地球の汚染物質か未だに解明されていない。そこでカテゴリ3試料中の水素、炭素と窒素の同位体組成をNanoSIMSを用いた同位体イメージングにより測定した。それらの同位体組成は測定した三つの試料において地球の値を示し、同位体組成からの情報からだけでは地球外有機物であると結論づけられなかった。今後は同位体だけではなく、TEMやXANES、ラマン分光などを用いた測定をすることで、カテゴリ3試料の起源を解明する事が期待される。
  • Rabeya Akhter, 白井 直樹, 海老原 充
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G08 宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3A19
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    ベトナムのダラットから回収されたテクタイトの化学組成を求めた.ダラットから回収されたテクタイトのCr, Co, Ni含有量は,ベトナムの他の場所から回収されたテクタイトより高く,ベトナムから回収されたテクタイトのCr, Co, Ni含有量間に正の相関が見られた.本講演では,ダラットから回収されたテクタイトの化学組成,特に親鉄性元素に注目して,発表を行う.
G02 古気候・古環境解析の地球化学
  • 堀川 恵司, エレン・ マーティン, 小野寺 丈尚太郎, 関 宰, 坂本 竜彦, 池原 実, 坂井 三郎, 河村 公隆
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    IODP323次航海において,ベーリング海南部で採取された海洋堆積物試料(U1341コア)を対象として,砕屑物のネオジム同位体・鉛同位体,C37:4アルケノン,珪藻群集解析を行った。これらの解析結果から,海氷の発達を伴う低塩分水が3.3Ma以降ベーリング海南部にまであったことを明らかにした。また,4.2Ma以降アラスカ山岳氷河の拡大が起こっている事も明らかになった。これらの結果は,少なくとも3.3Ma以降,ベーリング海からの淡水流入が北極海の淡水収支に大きな影響を与えていたことを強く示唆する。
  • 渡邉 貴昭, 渡邊 剛, 山崎 敦子, Miriam Pfeiffer, Dieter Garbe-Schönberg, Michel R ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では北西インド洋オマーン湾で現生から化石までの造礁性サンゴを使用して熱帯収束帯の数千年スケールでの北限の移動に伴って熱帯収束帯の季節変動がどのように変化してきたのかをより高時間分解能での復元を行うことを目的とした。オマーン湾内で採取されたハマサンゴを使用して同地域で採取された化石サンゴに応用するためのキャリブレーションを行った。オマーン湾内で採取したハマサンゴを2週間レベルの時間解像度でのサンゴ骨格中の酸素・炭素安定同位体比、Sr/Ca比の分析を行い、サンゴの骨格中に記録された海水の酸素安定同位体比を導出した。Sr/Ca比を古水温計として、サンゴの骨格中に記録された海水の酸素安定同位体比では塩分計として使用できることを示唆した。サンゴ骨格中の炭素安定同位体比にはオマーン湾内のブルームが記録されていた。
  • 井上 麻夕里, 中村 崇, 井口 亮, Nikolaus Gussone, 鈴木 淳, 横山 祐典, 川幡 穂高, 酒井 一彦
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    古気候・古環境指標として用いられる造礁サンゴは褐虫藻と共生しており、その褐虫藻の光合成によって炭酸カルシウムの骨格成長が促進されていることが知られている。しかしながら、具体的に共生藻が骨格成長にどのように関与しているかは明確ではない。本研究では、共生藻の有無、およびそれに伴う骨格成長率の異なるポリプ骨格を用いて、各種化学成分の測定を行い、環境指標となり得る骨格中化学成分に与える共生藻の影響を考察するとともに、化学成分変動から共生藻が骨格成長へ与える影響評価も試みる。
  • 山崎 敦子, Steffen Hetzinger, Jonas von Reumont, Carrie Manfrino, 角皆 潤, 渡邊 ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では北大西洋の熱帯域に位置するカリブ海ケイマン諸島に生息する造礁サンゴ骨格から過去90年間の窒素固定の変遷を復元した。サンゴ骨格中に保存されている有機物の窒素同位体比を過去90年間分年単位で分析した結果、カリブ海の窒素固定量は過去90年間で減少傾向にあること、そして海水温に伴って数十年規模で変動しており、高水温時に窒素固定が増大してきたことが推定された。本講演では復元された窒素固定の変遷と温暖化および数十年規模の大気-海洋相互作用との関係を議論する。
  • LI Zhen, 中塚 武, 佐野 雅規
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
  • 関 宰, 河村 公隆, 藤井 理行, ジェームス ベンドル
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではグリーンランドおよびカムチャツカで採取されたアイスコアの有機分子トレーサーの過去数百年の変動を解析することで、森林火災や土壌有機物ダスト起源の炭素質エアロゾルと十年規模の気候変動との関連を考察した。アイスコアの有機分子トレーサーの記録は北極振動や大西洋十年規模振動と同調した変動を示し、正の偏差でエアロゾル濃度が増大した。本研究によって大気中の炭素質エアロゾルの濃度は気候変動と密接に関連していることが明らかになった。
  • 豊田 和弘, 米田 成一, 米延 仁志
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B07
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    青森県東岸に位置する小川原湖中央部で2009年秋に掘削された長さ約20mの堆積物コア試料中から、堆積当時の湖底直上の湖水中の塩分濃度の指標になりうる化学成分を分別抽出し、そのストロンチウム同位体比を測定することで、過去の湖水中の塩分濃度変化を復元できる可能性について研究している。年縞堆積物コアから、汽水湖の過去数千年間の古塩分濃度変化を復元することができれば、海水準変動や津波の高精度な時間軸での襲来歴について解明することができる。予備的な結果からは、堆積物の中でも「炭酸塩相」中のストロンチウム同位体比の値の変動が、層序学的に記述された堆積環境の変動と大変よく同期しているように見える。
  • 関 有沙, 横山 祐典, 鈴木 淳, 宮入 陽介, 菅 浩伸, 松崎 浩之, Tezer Esat, Stephen Eggins
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B08
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    海洋の放射性炭素リザーバー効果を復元することは、気候変動に大きな影響を及ぼす過去の海流変動を理解する上で重要である。琉球列島を含む黒潮流域では、年代既知の試料の放射性炭素の分析により、黒潮の流れに沿って地域的なリザーバー効果の値が変化していることが報告されている(Yoneda et al., 2007)。本研究では、化石サンゴを用いて過去の黒潮流域のリザーバー効果を算出することを目的とし、研究を行った。沖縄県久米島の隆起サンゴ礁から採取した化石ハマサンゴに対して、放射性炭素の測定とウラン系列年代測定を行った。測定結果を基にMarine13(Reimer et al., 2013)を用いてリザーバー効果を算出した結果、黒潮流域では完新世の中でもリザーバー効果の変動が見られることが明らかになった。
  • 植村 立, 仲本 壮志, 三嶋 悟, 浅海 竜司, 儀保 雅一, 眞坂 昴佑, Chen Jing-Ping, Chung-Che Wu, ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B09
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    古気候復元の研究に多く利用されている鍾乳石には、正確に絶対年代を決定できるという長所がある。一方で、気候変動の指標として広く用いられるCaCO3の酸素同位体比(δ18Oc)は定量的解釈が困難なことが多い。この点を解決する有望なプロキシとして鍾乳石の流体包有物が注目されている。高湿度の洞窟内では、流体包有物の水は、滴下水の酸素同位体比(δ18Ow)を反映していると考えられる。本研究では、流体包有物中の水の水素・酸素安定同位体比を測定する手法を開発し、沖縄県の鍾乳石に適用した。同一サンプルのδ18Ocとδ18Owを両方測定することで、現在と最終氷期のCaCO3-H2Oの酸素同位体分別係数を求め、石筍生成時の気温復元を試みた。
  • 鈴木 淳, 西田 梢, 石村 豊穂, 岡井 貴司, 井口 亮, 井上 麻夕里, 横山 祐典
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B10
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    グレートバリアリーフで実施されたIODP Exp. 325では、最終氷期最盛期を含むサンゴ礁堆積物の掘削に成功した。しかし、採取されたサンゴ化石にハマサンゴ類は少なく、被覆状のニオウミドリイシ属(Isopora spp.)が多く含まれていた。そこで、このニオウミドリイシ属化石に注目して、酸素同位体比およびSr/Ca比より海水温の復元を試みた。その結果、グレートバリアリーフ北部では最終氷期最盛期から融氷期に掛けての過去2万年間の水温上昇は約5℃と推定された。ニオウミドリイシ属骨格組成を用いた水温復元能力を確認するため、沖縄産のニオウミドリイシを用いて5段階水温飼育実験を行った。酸素同位体比は水温と直線関係を示し、水温依存性はおよそ-0.15‰/℃で、ハマサンゴ属と類似している。これらの結果は、ニオウミドリイシ属を用いた古環境解析の有効性を示すものである。
  • 藤田 周, 宮川 千鶴, 佐藤 雅彦, 北 逸郎, 大野 正夫, 桑原 義博, 佐藤 時幸, 林 辰弥, 齋藤 めぐみ
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B11
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    北大西洋で掘削されたIODP Site U1314コアの氷床出現・発達期(220-290万年前)のナンノプランクトン群集,化学・同位体組成と岩石磁気学データ(IRM-0.1T/IRM1.0T比)および鉱物組成との変動関係に基づいて,次の結果を得た.1)約270万年前を境に,石灰質ナンノプランクトンの群集変化(特に,寒冷種)とδ15N値および堆積物コアの主要構成鉱物の含有量に明確な変化が観測された.2)この変化は,北大西洋深層流強度の指標となる IRM-0.1T/IRM1.0T比の急激な変化と対応しており,北大西洋の海洋循環がパナマ地峡の閉鎖によって変化したことを示唆している.3)ガウス-松山地磁気逆転後の約5万年間に亘って,石灰質ナンノプランクトンの寒冷種数が激減し,有機物のδ15N値とδ13Corg値の変動幅が特に小さくなり,この時期のプランクトン群集の変化は地磁気逆転の影響の可能性がある.
  • 栗田 直幸
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B12
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,酸素同位体比変動を規定している降水の同位体比と気候変化の関係について詳細な解析を行い,酸素同位体比解釈の再考を行った.中部日本(太平洋沿岸地域)で行われたイベント毎の降水同位体比データと過去18年間東京で行われた月単位の降水同位体観測データを使って解析を行ったところ,中部日本における,夏期,および冬期の同位体比の年々変化は,降水量や気温の変化よりも,大気大循環場の変化に依存していることがわかり,夏期は小笠原高気圧の強弱、冬期は北東アジアモンスーンの変動を反映していることを明らかにした。
  • 鈴木 勝彦, 野崎 達生, 飯島 耕一, 高谷 雄太郎, 藤永 公一郎, 加藤 泰浩
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G02 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 3B13
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    我々はKR13-02航海において南鳥島南方で採取したPC05堆積物コアのOs同位体比の分析を行い,その予察的な結果から,次の2点を明らかにした。(1) 高濃度レアアース泥の堆積は,Eocene-Oligocene境界と一致していること。(2) 高濃度層の前後にハイエタスが存在している可能性が高いこと。地質学的には,Eocene-Oligocene境界の時期には,タスマニア海峡,ドレーク海峡が開いたために,海水の循環が激しくなり,それに伴って海水の化学組成も変化,温暖気候から寒冷化への変化した時代である。また,海山では盛んにリン酸化が置きた時期でもある(Hyeong et al., 2013)。これら海洋環境の変化や海水組成の変化と,レアアース堆積物のレアアースが高濃度に濃集した時期との関係性を今後明らかにしていきたいと考えている。
G16 海洋化学・大気化学(全般)
  • 近藤 能子, 小畑 元, 大木 淳之, 山下 洋平, 西岡 純, 久万 健志
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G16 海洋化学・大気化学(全般)
    セッションID: 3B14
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    過酸化水素は、大気中ではその酸性度を高める物質として、海水中では微量金属の酸化還元反応や溶存有機物の循環および微生物群集の生物生産に影響を与える因子として重要な物質である。海水中の過酸化水素のソースとシンクは光化学反応や生物活動と密接に関わるためその挙動は動的で一様ではない。これまで、海洋における過酸化水素の分布は外洋域・沿岸域様々な海域で報告されているが、北極海におけるデータは限られている。本発表では、これまでの海洋における過酸化水素の分布動態に関するレビューを含め、GRENE北極海研究プロジェクト(http://www.nipr.ac.jp/grene/)の一環として2013年夏期に実施された北海道大学練習船おしょろ丸航海で得られた北極海(チャクチ海)における過酸化水素の分布について紹介する。
  • 河田 綾, 中山 寛康, 古谷 浩志, 成田 祥, 上田 紗也子, 三浦 和彦, 植松 光夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G16 海洋化学・大気化学(全般)
    セッションID: 3B15
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    微小粒子の化学組成と雲凝結核(CCN)特性の関係を明らかにするため、海洋大気エアロゾルの船上観測を行った。本研究では、測定された粒径分布と過飽和度別のCCN数濃度を利用して化学分析の困難な微小粒子の化学組成を推定し、化学組成のCCNへの影響を気塊ごとに調査した。解析の結果、CCN活性化率の変動は粒径分布に強く依存していたが、化学組成の変化に起因する変動は殆ど見られなかった。活性化率の値は化学組成で決定されており、累積モードの粒子は、どの気塊でもシュウ酸程度の活性化特性を持っていた。また、より微小なAitkenモードの粒子は海塩や硫酸アンモニウムで再現性が高く、これらの物質で構成されている可能性が高いと明らかになった。
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