情報地質
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16 巻, 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
論説
  • 米澤 剛, 梶山 敦司, 升本 眞二, 塩野 清治
    原稿種別: 論説
    2005 年 16 巻 3 号 p. 177-189
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,堆積と侵食で形成される地質構造のコンピュータ処理方法にもとづいた理論とアルゴリズムに断層運動を組み込む方法を提案する.堆積と侵食で形成される地質構造は地質体の分布域を面で囲まれた領域として表現でき,その地質体と面の論理的関係は地質構造の論理モデルとよばれる.堆積や侵食により地質構造が変化する過程を地質体の分布域と面の関係という視点で見たとき,地質構造の論理モデルにはその形成過程に対応した一定の規則が存在し,それは漸化式の形で表現されている.断層運動に対しては断層面が既存の地質体と上部空間を含む3次元空間を2つの領域に分割し,それぞれの領域中の地質構造はそのまま保存されるという規則を新たに定義した.これにより,堆積や侵食で形成される地質構造の論理モデルを導く漸化式に断層運動を無理なく組み込むことができ,断層を含む地質構造の論理モデルを漸化式の形で表現できた.また,この漸化式から複数の断層で切られた地質構造の論理モデルを導くことができる.断層を含む地質構造の論理モデルを導入することにより,地質構造の論理モデルを基礎とした従来の地質構造のコンピュータ処理方法の流れを変更することなく断層を含む地質図が作成できる.
システム・ソフトウェア開発
  • 木村 哲, 大西 有三, 西山 哲, 石山 宏二
    原稿種別: システム・ソフトウェア開発
    2005 年 16 巻 3 号 p. 191-198
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,油圧削岩機による穿孔データを利用してトンネル切羽前方の地山を評価するシステムに関するものであり,当該穿孔データとして,穿孔速度,比穿孔エネルギおよびダンピング圧などから地山を評価する方法について考察し,さらにその開発成果を組み込んだシステムを実際のトンネル工事現場において適用し,支保パターンの選定結果の検証を通して,本研究の有用性を実証したものである.さらに,ニューラルネットワークによる穿孔データ解析法を開発し,地山の評価から支保パターンの選定までを自動的かつ客観的に行うシステムの実用化を試みた.同じく,実際のトンネル工事において本解析手法の妥当性を検証した結果,経験者と同じ考察力をもつシステムの構築が可能であることが明らかとなった.今後は,これらの成果をさらに発展させることで,迅速で安全かつ効率的に地山前方の地質状況を判断する穿孔探査システムの実現を図ることができると考える.
  • 桑野 健, 阿南 修司, 佐々木 靖人
    原稿種別: システム・ソフトウェア開発
    2005 年 16 巻 3 号 p. 199-208
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/28
    ジャーナル フリー
    近年,斜面災害の防災対策の点からハザードマップが注目され,地理情報システムを活用したGISハザードマップの研究が進められている.本研究では斜面災害のうち,特に岩盤崩壊に着目し,ハザードマップ作成技術の向上を目指した.ハザードマップ作成に向けて,崩土到達範囲を予測することが重要であり,特にGISを利用する場合,それを定量的に把握し,ディジタルマップ上で的確に表示することは必要不可欠である.そこで今回,岩盤崩壊の崩土到達範囲を解析・予測・表示するシステムを開発した.本システムは,多変量解析の一種である数量化理論?T類によって予め算出された解析結果に基づいて,崩土の到達範囲を予測する.さらに予測値は到達確率を用いてディジタルマップ上に表示されるため,危険度を段階的に表現した到達範囲確率予測図が形成される.本予測図は,今後GISを利用した斜面災害のハザード評価を行っていく上で,極めて有効である.
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