情報地質
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19 巻, 4 号
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  • 正路 徹也
    2009 年 19 巻 4 号 p. 197-208
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/10
    ジャーナル フリー
    地球統計学で用いられるヴァリオグラムを得るには,全データから取り出されるすべての対についてその値の差の二乗を計算しなければならないので,計算時間はデータ数の2乗に比例して長くなる.そこで,通常の統計処理と同様にランダムに抽出した一部のデータを用いてヴァリオグラを計算することが考えられる(一部データ部分計算).ここでは,それ以外に,データは全部使うが対の相手は先頭部分しか使わない先頭優先部分計算,各データとも近隣のデータとの対しか使わない近隣順部分計算,ほぼ同数のデータからなるグループに分けて,各グループで得られたヴァリオグラムを重ね合わせて全体のヴァリオグラムとするグループ化部分計算法も試みた.部分計算の評価に利用したデータは,小笠原母島付近の8891点の標高に当てはめた平面からの残差である.各部分計算の精度は,部分計算と完全計算で得られたヴァリオグラム間の相関係数で行なった.その結果,一部データ部分計算と先頭優先部分計算の精度は低く,近隣順部分計算とグループ化部分計算の精度は高かった.今回の例では,対の数が完全計算の約1/100である近隣順部分計算とグループ化部分計算の場合,完全計算で得られたヴァリオグラムとの相関係数は0.99以上であった.近隣順部分計算を途中で打切る場合,現段階と1段前の直交ヴァリオグラムの相関係数が0.9s(sは小数点以下に並ぶ9の数)ならば,現段階と完全計算の直交ヴァリオグラムの間の相関係数は0.9s/2(9の数がsの1/2程度)が保障される.
  • 塩野 清治, 山根 裕之
    2008 年 19 巻 4 号 p. 209-221
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/04/10
    ジャーナル フリー
    地質構造の論理モデルは,地層の分布域を面で表現する数式や地層と面の関係を表す関係表で表現されてきた.本稿では論理モデルをラベルつき2分木で図式表現する方法を提案する.根は考察の対象となる領域を表す.枝点は面によって境された領域を表す.枝点からのびる2つの枝が一つの面による領域の2分割を表す.先端の葉で個々の地層の分布域を表す.全領域を表す根から地層の分布域を表す葉に至る枝につけたラベルで地層と面の関係を表す.2分木で表現可能な論理モデルに関しては,図式表現と関係表は同等であり,一方から他方へ情報の損失なく変換できる.堆積作用と侵食作用によって形成される地質構造の論理モデルについては,その帰納的定義に基づく機械的手続きにより,図式表現を導くことができる.図式表現は,論理モデルで表現された地質構造の性質,あるいは領域内の点に地層を対応づける関数などの3次元地質モデリングにかかわる基礎的概念の理解を助ける小道具として有効である.
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