情報地質
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24 巻, 4 号
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  • ─貫入と断層の取り扱い─
    河西 秀夫
    2013 年 24 巻 4 号 p. 161-173
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    露頭データベースの作成には層序と露頭構造の数学的表現が必要である.露頭構造と層序はグラフ理論と二項関係を使用した構造グラフと層序グラフで数学的に表現できる.逆転のない地層で構成される地質構造を対象とした構造グラフG=(V, R)と層序グラフS=(V, U)を,火成岩の貫入や断層による切断がある露頭構造と層序の表現に拡張した.ここで,Vは地質体の集合,Rは接触関係,Uは新旧関係Uの反射的かつ推移的閉包を表す. 露頭で観察される2つの地質体xyの空間的な接触関係を二項関係xR+yで一般表現することにより,貫入や断層が存在する露頭構造を構造グラフ(V, R+)として表現できた.ここで,R+ ={(x, y)| xRyxIyxFy, xV, yV }であり,xRyは空間的な上下関係,xIyは貫入,xFyは断層による切断である.接触関係の情報はφAx, y)=整合のように弧のラベルで表現する. 地層累重の法則により上下関係xRyから新旧関係xUyが推論できることと,交差切りの法則により貫入関係xIyや断層関係xFyから新旧関係xUyが推論できることを組み合わせると,接触関係xR+yから新旧関係xUyが推論できるという一般規則が得られる.この推論規則で得られた新旧関係を使うことにより,貫入や断層を含む地質体の形成順序と接触関係を層序グラフ(V, U)やラベル付きハッセ図で表現できた. 以上のようにして,火成岩の貫入や断層による切断がある地質構造に対する露頭構造や層序の表現が可能になった.
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