斜面崩壊に関するハザードマップ (災害危険箇所分布図) を様々な立場・目的で利用しようとすると, マップ段階およびソースデータ段階でのデータのディジタル化は不可欠であるし, それとともにいくつかの検討課題が存在する.
まず, マップ上での「危険」は確率的表現が理想であるが, これは考えうる期間に大きく依存することから, 時間パラメータを導入する必要がある.斜面表層での物理的劣化の進行を考慮すれば, これは不可能なことではない.
「危険」を推定するアルゴリズムはいまだ確立されていないうえ, 個々のソースデータも不十分なことから, マップ上での「危険」に関する確率値の信頼度は概して低い.このため, 確率値の信頼度もなんらかのかたちで表現すべきであろう.これは個々の確率値をファジィ集合とみなしメンバーシップ関数で表現すれば, 論理演算も可能となり, 一定の信頼レベルのデータを取り出せる.
利用者側からも確率値に加えて, こういった期間, 空間的範囲, 信頼度等の要求があることを考えれば, ハザードマップは一方的に供給されるものでは不十分であり, それらの要求にマッチした情報を適当な表現で供給するものでなければならない.このためにはデータ変換や論理演算を行うデータ管理システムが必要となる.
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