地質学雑誌
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106 巻, 6 号
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  • 田中 秀実, 檜 晋一郎, 長谷川 修一, 原口 強
    2000 年106 巻6 号 p. 385-396
    発行日: 2000/06/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    徳島県池田町船戸地域における中央構造線池田断層に沿って分布する破砕帯埋積地すべり堆積物の滑落方向の解析, ならびに同堆積物の水平隔離量に基づいて池田断層の右横ずれ変位量を検討した.(1)地すべり堆積物中のブロック中の開口割れ目の方向性, (2)地すべり基底地すべり面の湾曲構造, (3)地すべり堆積物の滑落によって湾曲した断層破砕帯の姿勢, からステレオネット上で解析した滑落方向はいずれも, NNW→SSEとなり, よい一致を示した.この解析から地すべり堆積物の発生源はNNW方向に求められたが, その方向に滑落崖が存在しないことから, 次の二つの可能性が指摘された.(1)滑落崖はかつてNNW方向に存在したが, 崩壊, 侵食によって失われている.(2)滑落崖がNNW方向にもともと存在せず, 地すべり堆積物は中央構造線活断層系の右横ずれ運動に伴うシャッターリッジとして, 東方から移動した.この場合活断層の変位量は最大約30 mとなる.
  • 狩野 彰宏, 藤井 秀憲
    2000 年106 巻6 号 p. 397-412
    発行日: 2000/06/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    愛媛県城川町のトゥファ堆積物の形態と内部組織は, 沢での局所的な水流・地形・生物的条件に支配されている.トゥファは水流の強い場所に堆積し, その形態は5つのタイプに分類され, タイプ間の違いは初生的な基盤地形に関係している.トゥファの内部組織は水流と生物的条件に支配されている.明瞭な縞状組織は絶えず水流に覆われ, 表面にシアノバクテリアが繁茂する場所で発達する傾向があり, 逆に, 断続的な水涸れやコケ類の繁茂は縞状組織の発達を妨げる.トゥファの縞状組織は夏期に堆積する明色で緻密な層と冬期に堆積する暗色で空隙質な層の繰り返しによるものであり, この組織的特徴は水温・Ca濃度・水流に関連した方解石沈殿速度の季節的変化によるものと思われる.縞状組織は"年輪"であり, これを用いることで, 古気候解析が可能になるであろう.
  • 林 愛明, 松島 信幸, 丸山 正
    2000 年106 巻6 号 p. 413-425
    発行日: 2000/06/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    伊那谷南部の飯田-松川断層の変位地形・地質の調査により, この断層は第四紀以前に形成され, 第四紀後期の最近の2万年以降にも活動している活動度IのA級活断層であることが明らかにされた.この断層沿いに木曽山脈の稜線が約2 kmの左横ずれ, 約500 mの南側下がりに変位した断層地形が認められる.また, 断層沿いに山間部の河谷の系統的な左横ずれが認められ, 大略において屈曲量(D)と屈曲した河谷の上流の長さ(L)との間にD=aLの関係が満されている.河谷の屈曲率(a=0.08~0.3)およびAT火山灰を含む段丘面の変位量から推定される左横ずれ変位速度は約1 m/103年である.さらに, 断層岩の組織構造を解析した結果, 飯田-松川断層は正断層成分を持つ左横ずれ断層であること, 水平方向と鉛直方向の変位量の比率は3~4 : 1であること, 第四紀以前から第四紀後期にかけて断層は一貫して同じ変位センスで活動してきたことが示される。
  • 近藤 裕美, 周藤 賢治, 深瀬 雅幸
    2000 年106 巻6 号 p. 426-441
    発行日: 2000/06/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    東北日本の背弧側(新潟県北部)には, 鮮新世(約3 Ma)の主に安山岩質の溶岩および火砕岩からなる明神岩層が分布する.これら安山岩類の斑晶鉱物組み合わせ, 斑晶鉱物の化学組成, 全岩の主要・微量元素組成などの特徴は, 安山岩の組成変化の主な要因が, 斑晶鉱物の分別にあることを示唆している.しかし, 安山岩類のSrI値はSiO2量の増加とともに高くなり, NdI値は逆にSiO2量の増加とともに低くなる傾向を示す.このことは, これらの安山岩類は玄武岩質マグマからの単純な分別結晶作用によって形成されたものではないことを示している.これらのことから, 明神岩層の周辺に分布する漸新世の花崗岩質岩石と先第三系堆積岩(これらは新潟地域の上部地殻の主な構成岩である)の同化作用の影響について検討した.その結果, 安山岩類の化学組成および同位体組成の変化は, 玄武岩質マグマが花崗岩質岩石を同化しながら分別結晶作用したことによって説明されることが明らかにされた.
  • 大塚 裕之, 桑山 龍
    2000 年106 巻6 号 p. 442-458
    発行日: 2000/06/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 種子島の西之表市南西部の住吉付近に小分布する形之山部層より発見されたカエル類化石の分類学的位置づけを明確にするため, 九州本土および南西諸島に現生するカエル類と本カエル化石との比較形態学的検討を行った.その結果, 本化石は寛骨や上胸骨の形態などにより, 沖縄本島と奄美大島のみに現生するイシカワガエルに同定されることが判明した.形之山部層の堆積年代は, 同部層最下部の軽石層のF.T.年代測定から1.3±0.2 Maであると推定されている.また, 琉球列島全域は, 地質学的証拠から島尻層群堆積後の鮮新世最末期から琉球層群堆積前の前期更新世にかけて大規模な陸化時期であったことが知られている.これらの事実は, イシカワガエルの祖先が形之山部層の堆積(約130万年前)前の陸化期(鮮新世最末期)に, 現在のトカラ海峡付近に存在していたと考えられる陸橋を渡って, 種子島を含む大隅諸島へ到達した可能性を示している.
  • 多田 隆治, 松下 雄詞, Hassan Mohamed Baioumy
    2000 年106 巻6 号 p. XI-XII
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    堆積性燐鉱床を含むデューイ(Duwi)層は, カンパニアン~マーストリヒティアンにかけての地層で, 西部砂漠から紅海にかけてエジプト中南部を東西に分布する(第1図A). デューイ層は海進時初期の堆積物で, 陸成層のクセール(Qusseir)層を整合に覆い, 半遠洋性石灰岩のダクラ(Dakhla)層に整合に覆われる(第1図B). 大規模な鉱山があるアブタトゥール(Abu-Tartur)地域のデューイ層は, 下位より, 層厚13mで上部には頁岩を含む燐灰石質砂岩層主部, 11mの黒色頁岩層, 12mの海緑石砂岩層, 5mの上部燐灰石質砂岩層からなる(第1図B, 第2~4図).
    エジプト上部白亜系堆積性燐鉱床は, テチス海南縁の大陸棚上に広がる白亜紀後期~暁新世の堆積性燐鉱床区の一部をなし, その埋蔵量はテチス海南縁全域で約700億トン, エジプトだけで30億トンと推定され(Natholt, 1985), 世界の埋蔵量の4%を占める. 今回の調査で, デューイ層の燐灰石質砂岩層を構成する粒子の主体がサメなどの魚骨や歯であり(第5図), 燐灰石粒子の60%以上を占めることが明らかになった.
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