地質学雑誌
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107 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 金子 一夫
    2001 年 107 巻 12 号 p. 729-748
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    富山県東部に分布する, 主として火山砕屑岩からなる中新統八尾層群を岩相区分したところ, それらは伸張応力場下の断層活動によって形成された堆積盆での, 浅海底-陸域における多様な岩質を示す火山活動によってもたらされたことが明らかになった.さらに調査地域に分布する火山岩のK-Ar年代測定を行ったところ16.50-12.19 Myの年代値が得られた.本地域の八尾層群と能登半島に分布する下部~中部中新統は, 火山活動を伴って, 平野部と富山湾を挟んで堆積したものであり, ほぼ北東-南西方向の総延長100 km以上, 幅30-60 kmの堆積盆の存在が推定される.そして, この堆積盆は背弧海盆形成期のリフト帯の1つであり, 本地域は, このリフト帯の周辺部にあったと思われる.
  • 有田 啓二, 竹村 静夫, 竹村 厚司, 西村 年晴
    2001 年 107 巻 12 号 p. 749-754
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    熊本県南部に分布する黒瀬川帯小崎層の岩相層序を確立し, 放散虫化石による年代の再検討を行った.小崎層は泥岩, 砂岩, 礫岩, 含礫泥岩, 石灰岩からなり, 層厚約700mで3部層に区分される.下部層からはペルム紀前期, 上部層からはペルム紀中期末-後期初期および後期後半の放散虫化石が得られた.従来, 小崎層は中部ペルム系とされてきたが, その年代はペルム紀前期から後期後半にまでおよぶことが明らかとなった.
  • グアン R.シイ, 田沢 純一
    2001 年 107 巻 12 号 p. 755-761
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    飛騨外縁帯森部地域の森部層下部(中部ペルム系)から, これまで飛騨外縁帯からは未報告の腕足類RhynchoporaとBlasispiriferが発見された.これら2属はボレアル型ないし非熱帯型(antitropical type)の腕足類である.また, このたび森部層から産出し, Rhynchopora sp., Blasispirifer cf. reedi (Licharew)と同定された種は, ロシア極東プリモリエ西部(ボツネセンカ帯)の中部ペルム系Barabash Formationから記載されている種によく似ている.飛騨外縁帯の中部ペルム系からプリモリエ西部のものに類似するRhynchoporaとBlasispiriferが産出することは, 中期ペルム紀に飛騨外緑帯とプリモリエ西部(ボツネセンカ帯)が互いに近接し, 両者が北半球中緯度におけるブレヤ地塊の南東, 中朝地塊の北東付近に位置したことを示す1つの証拠となる.
  • 鴈澤 好博, / 荒屋 純一, 椎名 孝, Takashi Shiina
    2001 年 107 巻 12 号 p. 762-772
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    東北地方に分布する風成塵堆積物からなるいわゆるロームについて, 4-11μmポリミネラル粒子を用いて, 7試料の熱ルミネセンス, 光ルミネセンス年代測定を日本ではじめて試みた.石英や長石類の細粒粒子は, 中国内陸から日本への輸送過程で太陽に曝されてブリーチされているので, ルミネセンス年代測定に最適な物質である.additive dose法とregeneration法の2種類の測定法によって検出されたTLとIRSLのDe(等価線量)はサンプル地点の地質層準に従って, 40 Gyから209 Gyまでの値を示した.原子吸光法と放射分析で研究したDose rate(年間線量)はDBD(乾燥容積重)から計算された含水率を考慮に入れて1.2 mGy/年から2.5 mGy/年までを示す.50 ka以下のIRSLとTL年代は挟在テフラから導かれる推定年代とよく一致した.さらに, TL法のAD年代は50 kaから120 kaまで推定年代とよく一致した.しかし, IRSLとTL regeneration法では50 kaを越えると推定される年代と比較して, 年代の減少(age short-fall)を示す.
  • 嶋田 光雄, 角井 朝昭, 鳥居 雅之
    2001 年 107 巻 12 号 p. 773-783
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    北西四国高縄半島の安山岩類6サイト試料について古地磁気方位を求め, 1試料については, 新たにK-Ar年代を求めた.これらの安山岩は, 12 Ma程度の年代の1試料, 約15 Maから14 Maの範囲の4試料, 15.8±0.2 Maの1試料の3つの年代グループに区分できる.最も古い年代を示した試料からは, 偏角52.2°の有意に東偏した残留磁化方位が得られた.また約15 Maから14 Maの範囲に入るグループと, それよりも新しい年代を持つ安山岩の古地磁気方位は, 現在の双極子磁場方向と比べて有意な差がなかった.これらのデータと瑞浪・可児層群に関する既存データを相補的に組み合わせることにより, 中期中新世における西南日本ブロックの時計回り回転の開始以前から終了までの全体像を見ることができ, 西南日本ブロックの回転は, 約16 Maに開始し, 約15 Maから14 Maには終了したと考えられる.
  • 石田 吉明, 藤田 敏彦
    2001 年 107 巻 12 号 p. 784-791_2
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    北海道北部に分布する中期中新世後期-後期中新世前期の稚内層と後期中新世-前期鮮新世の声問層から密集したクモヒトデ化石が発見された.これらは, 現生のOphiura sarsii sarsii Lutken(キタクシノハクモヒトデ)と同定され, 現生と同様に化石でも下部浅海帯-上部漸深海帯に高密度個体群を形成していることがわかった.稚内層産のものは, 本種の最古の化石記録である.本州の後期中新世-中期更新世の地層から産出する個体と比べると, 北海道産の個体は大型であり, 本州と北海道での個体の大きさの差は現生でも認められる.稚内層では声問層と比較して盤径20 mmを越える大型個体の割合が高かった.この体長組成の差違は水深と関係があるものと考えられる.
  • 吉冨 健一, 井上 靖子
    2001 年 107 巻 12 号 p. 794-797
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    Corals, nerineid gastropods, bivalves and cidarid echinoids were discovered from limestones in western Yamaguchi Prefecture. The fauna is comparable to the Torinosu Fauna widely distributed in the Chichibu Belt, Outer Zone of SW Japan.These limestones have been regarded as lacustrine facies belonging to the Lower Cretaceous Wakino Subgroup (Kanmon Group). The formation containing limestones is divided into four members in ascending order ; Lower Mudstone Member, Middle Sandstone and Mudstone Member, Upper Limestone Member and Uppermost Sandstone and Mudstone Member. Uppermost Sandstone and Mudstone Member is correlated with the Yoshimo formation (Toyonishi Group) with brackish fauna, accordingly, it is concluded that conformably underlies Upper Limestone Member also belongs to the Toyonishi Group. Coral-limestone indicates that the Tethys Sea expanded to studied area in Early Cretaceous.
  • 青矢 睦月, 平島 崇男, 高須 晃, 榎並 正樹, Simon Wallis, 榊原 正幸
    2001 年 107 巻 12 号 p. XXI-XXII
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    2001年の9月1日から7日に渡り, 愛媛県の新居浜市, 土居町, 別子山村を舞台に開催された国際エクロジャイト会議(IEC)の記念碑が別子山村の瀬場に建立された(Fig.1).材料となった重量10トンにも及ぶエクロジャイトの転石(Fig.2)は1998年, 京都大学の岩石学グループが別子巡検を行った際に瀬場谷川下流域で見つけたものである. 極めて保存の良い美しいエクロジャイトであったため(Figs.3-5), 昨年11月, IEC記念碑の建立を計画していた別子山の村長らにその転石を紹介したところ, 村側も大変気に入り, 即, 採用の運びとなった.
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