千葉県白浜町野島崎の東方海岸に分布する上部鮮新統千倉層群白間津層下部に見られる含シロウリガイ化石礫状岩の形成要因について, 主に野外での観察を基に議論を行なった.その結果, この礫状岩および周辺の地層には, 以下のような特徴が見られる : 1)白間津層の一般的な地質構造と斜交する小規模な背斜構造またはドーム状の構造が発達する, 2)礫の多くは白間津層を起源とするものの, 下位の三浦層群および白浜層に由来するものも見られる, 3)泥質岩基質の礫ヘの注入現象が広く観察される, 4)周辺の砂岩・シルト岩互層に対して, 岩脈状ないしシル状に分布する, 5)シロウリガイ化石の多くは破壊され, 基質中に殻片として含まれる, 6)シロウリガイ化石を含むシルト岩礫の年代が, 周辺の砂岩・シルト岩互層に比べ古い, などの特徴を有する.これらの事実は, この礫状岩が泥ダイアピルにともなって形成された堆積物である可能性を強く示唆する.
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