地質学雑誌
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107 巻, 9 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 鈴木 茂之, / 藤原 民章, Tamiaki Fujiwara
    2001 年 107 巻 9 号 p. 541-556
    発行日: 2001/09/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    成羽地域に分布する下部白亜系を羽山層と命名して再定義した.本層はアルビアン期に河谷を埋めて堆積した河成層であり, 下部の礫岩が主体の枝礫岩部層と上部の泥岩が主体の空泥岩部層からなる.両者の境界は漸移的である.両部層とも流路から砂礫堆の堆積物である礫岩から氾濫原堆積物である泥岩へと上方細粒化するユニットの繰り返しからなる.古地形の解析から本層はほぼ南北に伸びる河谷を埋めて堆積していることがわかった.礫のインブリケート構造から北から南への古流向が復元される.空泥岩部層の泥岩は赤色化作用や鉄アルミナ富化作用等の強い土壌化を受けていないものの, 石灰質コンクリーションが形成されているため, 石灰集積作用を受けた程度の古土壌と考えられ, 当時乾燥した気候であったことが推定できる.本層は本来後背地にあたる山地内に, あるイベントによって堆積した地層である.その堆積をおこした要因には相対的海水準の上昇による堆積空間の増大と砕屑物の供給量の多さが関与したと推測される.
  • 田中 裕一郎, 高橋 雅紀
    2001 年 107 巻 9 号 p. 557-564
    発行日: 2001/09/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    栃木県烏山地域に分布する中部中新統荒川層群の小塙層から採取したシルト岩試料について, 石灰質ナンノ化石のReticulofenestra属のサイズ分布パターンの層位変化を調べた.4-5 μmサイズのReticulofenestra属は小塙層を通じて卓越している.それに対して, 9 μm以上のReticulofenestra属の初産出が凝灰岩Kb2とKb3の間に認められ, K-Ar放射年代値に基づくと13.8 Maに相当する.また, 10 μm以上のReticulofenestra属の初産出は, 小塙層の下部(凝灰岩層Kb7層準近傍)に認められ, Miocene isotope event 4 (13.0 Maあるいは若干若い)に関連していると推定される.また, 13.6 Ma~13.2 Maにおいて非常に小型のReliculofenestra属(2 μm以下)の多産が認められ, この間は, 生物生産性が高かったと示唆される.
  • 花方 聡, 本山 功, 平松 力, 渡邉 和恵, 辻 隆司
    2001 年 107 巻 9 号 p. 565-584
    発行日: 2001/09/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    新潟県上越~中越地域の中新統と鮮新統の境界部において, 放散虫化石・珪藻化石・石灰質ナンノ化石・有孔虫化石の微化石層序を検討した.その結果, 寺泊地域~西山地域における中新統・鮮新統境界の層準は寺泊層と椎谷層の境界にほぼ一致し, 米山地域においては小萱層最上部にあり, 東頚城地域においては須川層中に存在することが明らかになった.微化石層序との対応から, 同一層準に対比されている凝灰岩鍵層の夏戸パミス質凝灰岩(Ndp), 小萱パミス質凝灰岩(Ogp), 入山川凝灰岩(Iy)は, 層序学的に下位よりOgp, Ndp, Iyの順に堆積している可能性が高いことが判明した.また, 従来報告されたフィッショントラック年代は再堆積の影響を強く受けている可能性があることを指摘した.
  • 高野 修, 守屋 成博, 西村 瑞恵, 秋葉 文雄, 阿部 正憲, 柳本 裕
    2001 年 107 巻 9 号 p. 585-604
    発行日: 2001/09/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    新潟堆積盆の北部に位置する北蒲原地域の最上部中新統~下部更新統について, 地表地質・物理検層・地震探査・微化石データを用いてシーケンス層序学的解析を行った.その結果, 以下の点が明らかになった.a)14の4次オーダー堆積シーケンスと2つの3次オーダー堆積シーケンスが認識される.b)有孔虫化石の産状と堆積シーケンスには密接な関連性がある.c)堆積盆の中心部に向けて複数の砕屑物供給系が存在し, それぞれ海底扇状地を形成していた.d)砕屑物供給量や陸棚の狭さの影響により, 3次オーダー堆積シーケンスの高海水準期においても海底扇状地が顕著に発達する.e)堆積同時性隆起により, 堆積盆全体の堆積シーケンスと関係なくハイアタス, 浸食面, 無秩序堆積物などが見られる.北蒲原地域の堆積シーケンスの形態や構成堆積システムは, 構造運動・地形・気候などの影響を強く受けていると言える.
  • 三宅 明
    2001 年 107 巻 9 号 p. 605-608
    発行日: 2001/09/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
  • 鍔本 武久, 鈴木 寿志, 江木 直子, 高井 正成, 茂原 信生
    2001 年 107 巻 9 号 p. XVII-XVIII
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    我々は1998年以来, ミャンマー中央部に分布する中部始新統上部のポンダウン層の哺乳類化石発掘調査を続けている. ここでは, この調査と発掘採集した哺乳類化石について紹介する. ポンダウン層からは, 多くの陸生哺乳類化石を産出することが, 1916年から知られていた. 特に, 20世紀前半に報告された二種類の霊長類化石は, 最古の真猿類とみなされており(Pilgrim, 1927; Colbert, 1937), 現在も真猿類の起源という観点で, 霊長類学者・人類学者の注目を集めている. しかし, その哺乳類相の研究は, 1938年以来さまざまな理由により殆ど行われていなかった. 1997年, ミャンマーの研究者らがポンダウン層の化石発掘調査を再開し, 原始的真猿類化石を含む多数の哺乳類化石を発見した. その後も, アメリカ, フランス, 日本の研究者らが発掘調査を行っている. これまでの3回の発掘調査で, 我々も多くの哺乳類化石を採集した. 現在はそれらの化石の記載およびポンダウン哺乳類相の解析を行っている. 現在までに, 約20属の哺乳類の存在を確認している. 今後も, 真猿類の起源・進化の解明と, 新生代前半の東アジアの哺乳類の進化の解明に向けて, 調査を続けていく.
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