地質学雑誌
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108 巻, 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 星 博幸, 岩野 英樹, 檀原 徹
    2002 年 108 巻 6 号 p. 353-365
    発行日: 2002/06/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    瀬戸内火山岩類に属する二上層群火山岩類から分離したジルコン試料についてFT年代を測定した.さまざまな層準から採取した12試料の年代は15Ma前後を示し,誤差を考慮すると区別できない,年代の確度は,詳細なFT長解析と標準試料の繰り返し測定により保証された.二上層群は約15Maに,短期間のうちに形成されたと判断される.瀬戸内火山岩類の火山活動は約15Maに起こったと結論される.中性~マフィック岩は12Ma前後,フェルシック岩は14Ma前後に形成されたとする従来の年代観は修正されるべきである.加えて,全岩K-Ar法では岩石形成年代とは考えにくい年代を与えていたサヌキトイドからも,FT法では15Ma前後の信頼できる年代が求められ,ガラスを多く含む中性火山岩の年代測定にFT法が有効であることが実証された.また,二上層群の玉手山凝灰岩は,石仏凝灰岩および室生火砕流堆積物と対比可能であることが強く示唆される.
  • 小玉 一人, 前田 晴良, 重田 康成, 加瀬 友喜, 竹内 徹
    2002 年 108 巻 6 号 p. 366-384
    発行日: 2002/06/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    ロシア・サハリン州南部のナイバ川流域に分布する白亜系は,極東地域における模式層序のひとつとして古くから知られている.本論文は,筆者らが1990年以来本地域の白亜系上部を対象として行ってきた化石層序および古地磁気層序をまとめたものである.本地域の白亜系上部は下位から,アイ層,ナイバ層,ブイコフ層,クラスノヤルカ層に区分され,Jimboiceras mihoense帯(コニアシアン階)からPachydiscus subcompressus帯(マストリヒシアン階)まで,北太平洋域の上部白亜系を特徴づける一連の大型動物化石群を産する.これらは,白亜紀磁気静穏期のクロンC34nからマストリヒシアン階後期のクロンC30nまで,ほぼ連続した古地磁気層序をなすと考えられる.
  • 小坂 和夫, 近重 史朗
    2002 年 108 巻 6 号 p. 385-393
    発行日: 2002/06/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    "跡倉ナップ"の構成地質体のうち埼玉県寄居-小川地域に分布する寄居層,寄居溶結凝灰岩は西南日本内帯起源の異地性岩体であると考えられている.荒川左岸の露頭に見られる寄居層,寄居溶結凝灰岩の境界断層破砕帯は,その構造解析から正断層成分を伴う中規模の右横ずれ断層と推定され,この断層破砕帯もまた異地性である可能性の大きいことが明らかになった.断層ガウジは23.6±0.6MaのK-Ar年代を示し,断層破砕帯は寄居層,寄居溶結凝灰岩とともに少なくとも23.6±0.6Maまでは西南日本内帯にあり,この時期より後に移動して三波川帯に定置したと考えられる.寄居層の受けた回転を復元した断層の走向は,日本海開裂以前の西南日本における中央構造線の走向,N30°Eに一致し,中央構造線の赤石時階(15-27Ma)の活動により形成された断層群の一つであったと考えられるが,後に本地域に移動したものと考えられる.
  • 野村 律夫, 瀬戸 浩二
    2002 年 108 巻 6 号 p. 394-408_1
    発行日: 2002/06/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    人為的影響によってもたらされた有孔虫の生態変化は地球史における環境変化へのモダンアナログを提供する.そのために,多くの類似点を現在の中に求めることは地史事変の現在的検証として意義深い.本論文は,干拓事業のため閉鎖された中海の本庄工区内の有孔虫の消滅事変を検討した.有孔虫の消滅には次の3段階の変化が起こったことが確認された.(1)沿岸群集が汽水湖の閉鎖よって最大年数の3年以内に完全に消滅.(2)沿岸種の消滅後,典型的な汽水域の群集が7-10年間発達.(3)そして,完全な汽水群集の消滅.これら有孔虫群集の示す環境変化は,海水の流入とその影響を受けた湖水の塩分変化に対応している.すなわち,(1)海水の流入停止(閉鎖性水域の形成).(2)塩分躍層の発達.および(3)下層水の脱塩分化である.とくに,有孔虫の消滅には,最後の塩分躍層の消失とそれに伴う底質の酸化・擾乱が危機的であった.
  • 西山 賢一, 松倉 公憲
    2002 年 108 巻 6 号 p. 410-413
    発行日: 2002/06/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    Sequential changes in mineralogical properties due to weathering during 350 ka were examined using sandstone gravel in fluvial terrace deposits with a known emergence time which were distributed in the Miyazaki Plain, South Kyushu. Fe is increasingly concentrated and Si and alkali elements such as K, Na are increasingly leached from the sandstone matrix with the progress of weathering. Pores of gravel increase with weathering and can be correlated to the decrease of Si, K and Na contents.
  • 榊原 正幸, 井内 美郎, 奈良 正和
    2002 年 108 巻 6 号 p. XIII-XIV
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/12/14
    ジャーナル フリー
    2001年3月24日15時28分, 安芸灘を震源とするM6.7の地震(芸予地震)が発生した. この地震は愛媛県中予地方と広島県南部を中心として, 住宅などに多大な被害をおよぼした. ここでは, 愛媛県東予市の埋立地で発生した地盤の液状化について報告する.
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