地質学雑誌
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110 巻, 5 号
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論説
  • —横手地点トレンチ調査—
    三浦 大助, 幡谷 竜太, 宮腰 勝義, 井上 大榮, 小俣 雅志, 佐々木 俊法, 川崎 泰照, 佐藤 賢, 宮脇 明子, 田中 竹延, ...
    2004 年 110 巻 5 号 p. 255-270
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    糸—静線活断層系南部の白州断層の活動履歴を再検討した. 白州断層南部には, 北西—南東方向に連続する2列の断層崖 (東・西断層崖) が分布し, 西側の断層上のトレンチ調査結果から2回の古地震イベントが明らかとなった. これらは1695~2720 cal y BPおよび7325~8360 cal y BPの間と考えられ, 後者は東側の断層上の最新地震イベント発生時期と近い. トレンチ調査による西側断層の活動間隔は約5000年, 鉛直の平均変位速度は0.4-0.6(-0.7) mm/yrである. 白州断層全体の鉛直の平均変位速度はイベント間で0.4-0.8 mm/yr, 周辺の変形を含めると1.0-1.8 mm/yrとなり, 少なくとも1.0 mm/yrのネットスリップ速度を持つ可能性が高い. トレンチの断層産状は横ずれ成分を含む斜めすべりを示すフラワー状構造であり, 従来の見解である西傾斜の衝上断層と区別できる.
  • 工藤 崇, 宝田 晋治, 佐々木 実
    2004 年 110 巻 5 号 p. 271-289
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    北八甲田火山群は11の小規模成層火山体から構成される. 本火山群は約40万年前から活動を開始した. 噴出中心の位置は時間とともに中央部に収束する傾向がある. 活動様式は溶岩流の流出に卓越し, 水蒸気噴火, ブルカノ式噴火およびストロンボリ式噴火による小規模な降下火砕物および火砕流を伴う. 27~17万年前の間には噴出量が0.1 km3以上の比較的規模の大きい火砕噴火を数回起こした可能性がある. 本火山群の総噴出量は15 km3, 長期的噴出率は0.04 km3/kyである. 噴出率は40~10万年前で比較的高く, 10万年前以降では低くなる. 噴出率および活動様式の時間変化から, 本火山群の火山活動のピークは40~10万年前の間にあったと考えられる. これらの時間変化はマントルダイアピルの冷却過程と調和的であり, ダイアピルモデルを仮定すれば, 本火山群の現在の活動は終息へと向かいつつある状態と解釈可能である.
  • —複合年代層序に基づく岩相層序の総括—
    高橋 雅紀, 柳沢 幸夫
    2004 年 110 巻 5 号 p. 290-308
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    埼玉県比企丘陵と岩殿丘陵の間にわずかに露出する海成中新統より, Denticulopsis lauta帯を示す珪藻化石が産出した. 新たに得られた珪藻化石年代と既存の報告を総括し, 比企丘陵の岩相層序を年代層序に基づいて整理した. その結果, 15.4 Maを境にして下位の珪藻質シルト岩からなる荒川層と, 上位の砂質シルト岩からなり不淘汰角礫岩や砂質シルト岩さらに砂質シルト岩の同時礫を取り込む海底地滑り堆積物からなる市ノ川層に二分されることが判明した. 新たに得られたT-3凝灰岩 (畠山凝灰岩) のフィッショントラック年代は上記年代層序と矛盾しない. さらに, 関東山地周辺地域に分布する海成中新統と岩相・年代層序を比較した結果, 新たに総括された比企丘陵の中新統層序は周辺地域の岩相層序の特徴とよく対応することが明らかとなった.
  • —貝形虫化石群集と全有機炭素・全窒素・全イオウ分析結果—
    入月 俊明, 瀬戸 浩二
    2004 年 110 巻 5 号 p. 309-324
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    中期更新世の古浜名湾の古環境を詳細に復元するため, 浜松層の佐浜泥部層が露出する4地点において貝形虫化石群集, 全有機炭素, 全窒素および全イオウ含有率 (CNS元素分析) についての高分解能解析を行った. 貝形虫化石に関しては26種が得られたが, このうちの5種の合計で全体の98.3%に達する. 貝形虫化石とCNS元素分析結果に基づくと, 古浜名湾は海進初期には汽水性の浅い閉鎖的内湾で, 底層には貧酸素水塊が発達した. その後, 暖流が広く流入し湾はわずかに酸化的となった. 急速な海水準上昇に伴い, 再び湾は閉鎖的になり10 m前後の水深に達した. 高海水準期初期には湾は極めて閉鎖的になり広い範囲で底層に無酸素水塊が発達した. その後, 湾は今日の浜名湖よりも暖かい水塊のもとで浅海化していった. このように, 中期更新世の古浜名湾はほとんど閉鎖的な内湾であり, 海進期と高海水準期には現在の浜名湖よりも塩分が高かったと推定される.
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口絵
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