東濃砂岩型ウラン鉱床地域の中新世瑞浪層群の堆積岩は, 湖成層である土岐累層 (20~18 Ma), 海成層である明世累層 (16~15 Ma), 生俵累層 (5~0.7 Ma)凝灰岩質泥岩, シルト岩相よりなる. 土岐累層中の黄鉄鉱の量は多く, 自形—半自形を呈し, 硫黄同位体組成は非常に高い (δ
34S=+10~50‰). 一方, 明世累層中の黄鉄鉱は量が少なく, フランボイダル状を呈し, 硫黄同位体組成は低い (−28~−5‰). この東濃地域の硫黄同位体の特徴と大きな砂岩型ウラン鉱床を胚胎するアメリカ西部のモリソン湖成層との鉱物学的・地質学的類似性より, 中期中新世 (18~16 Ma)の瑞浪地域での堆積・続成・ウラン鉱化作用は, アルカリ条件下で生じたことを示している. 土岐累層の自形—半自形黄鉄鉱の高δ
34S値は, 高δ
34S値を持つ硫酸イオンの還元により生じたものであろう. 海水が湖水に浸入し, 溶液中の硫酸イオン濃度が減少し, この硫酸イオンがバクテリアにより還元され, 高δ
34S値の黄鉄鉱が生成したのであろう. 日本海が拡大し, 西南日本の時計回りの回転が起こった中期中新世に, 湖水環境から海洋環境へ変化し, 低温から高温—乾燥気候へと変化した時に, 湖水環境がアルカリ条件になったと考えられる.
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