地質学雑誌
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111 巻 , 8 号
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総説
  • 加々美 寛雄
    2005 年 111 巻 8 号 p. 441-457
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/01
    ジャーナル フリー
    Rb-Sr全岩アイソクロン法は花崗岩類の主要な年代測定法の1つである.データの解析結果から,Sr同位体の均一化は花崗岩体全域で起こらず,岩体の形と調和的に数km2内で起こる.この点に基づいて試料採取すれば,花崗岩マグマの定置を示す信頼おける全岩年代が得られる.全岩による年代値から,本州弧の白亜紀~古第三紀花崗岩マグマの活動の場の変遷を明らかにした.これらの花崗岩類はSr,Nd,酸素同位体的特徴から北帯,南帯,北上帯,佐渡帯に分けられた.各帯に属する花崗岩類は,同位体的に異なった下部地殻-上部マントルからそれぞれ形成された.枯渇したマントルを用いたNdモデル年代が,棚倉構造線以西の本州弧に分布する古・中生層から求められた.この研究の目的は,花崗岩類から予想される下部地殻-上部マントルのSr,Nd,酸素の同位体的な地域差が,上部地殻でも見られるかどうか検討することにある.
論説
  • 金丸 龍夫, 高橋 正樹
    2005 年 111 巻 8 号 p. 458-475
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/01
    ジャーナル フリー
    丹沢主期トーナル岩体において帯磁率異方性の測定を行い,その貫入定置機構について検討した.岩脈類の古地磁気測定結果は,本岩体が貫入・定置した7 Ma以降大きく傾動していないことを示す.本岩体の帯磁率異方性は,磁鉄鉱の集合結晶もしくは磁鉄鉱を包有する有色鉱物の配列形態に依存している.帯磁率面構造によれば,本岩体では,時間を置かずに相次いで形成されたと考えられる水平方向の正規組成累帯構造を示す4つの定置ユニットが識別される.マグマ固化の最末期に形成された左横ずれ変形を示す片麻状トーナル岩の帯磁率面構造は,露頭で観察される葉理構造と調和的である.マグマの供給源を示す急傾斜の帯磁率線構造が,それぞれのユニットの周縁部において,ほぼ環状に分布するのが認められる.丹沢主期トーナル岩体は,横ずれ引張場においてプルアパート性貫入岩体の底部が沈降することにより形成された,一種のロポリス状岩体であると考えられる.
  • 檀原 徹, 星 博幸, 岩野 英樹, 吉岡 哲, 折橋 裕二
    2005 年 111 巻 8 号 p. 476-487
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/01
    ジャーナル フリー
    青森県津軽地方のグリーンタフ最下部をなす権現崎層から3つの溶結凝灰岩試料を採取し,FT年代測定を行った.試料は小泊半島北海岸に露出するデイサイト質火砕流堆積物から採取した.ジルコン内部面の測定から19-23 Maの年代が決定された.FT長の解析から,これらの年代は火砕物の定置年代を示すものと解釈される.本層の堆積開始は約23 Maかそれより少し前で,最上部は前期中新世の後期(17-20 Ma)と見積もられる.ジルコン外部面の測定では22-31 Maの年代が得られ,2試料では内部面年代よりも有意に古くなった.この不一致は外部効果によるものだろう.1試料に対して行ったLA-ICP-MSによるU-Pb年代測定は約33 Ma(前期漸新世)の年代を示した.ジルコンは前期漸新世に形成され,約10 Myr後に発生したデイサイト質火砕流またはその供給マグマに取り込まれたものと推定される.
  • 田切 美智雄, 池田 昌幹, 菊池 真一, 木村 早苗, 後藤 諭子, 栗田 浩二
    2005 年 111 巻 8 号 p. 488-497
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/01
    ジャーナル フリー
    原子力施設が集中する東海村とひたちなか市にまたがる那珂台地を中心に土壌の環境放射線測定と化学組成の検討を行って,那珂台地とその中に存在する原子力施設敷地の環境放射線の評価を行った.調査研究はJCO事故直後に始めた.γ線測定と土壌採取は500 mメッシュをきり,その交点を測定地点とした.那珂台地地域の土壌は主成分化学組成の特徴から3タイプに分類でき,このタイプ分けは地形地質区分に対応している.すべての測定地点で,日本の花崗岩の放射線平均値や一般公衆の年間の実効線量限度を越える地点はなかった.環境放射線の強度分布は土壌タイプの分布と相関がよい.また,K20含量およびRb含量とγ線強度によい相関がみられた.これらの結果はこの地域の環境放射線は主として自然放射線のものであることを示している.
  • 栗原 行人, 中野 孝教, 小笠原 憲四郎
    2005 年 111 巻 8 号 p. 498-507
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/01
    ジャーナル フリー
    群馬県安中富岡地域の下仁田地区に分布する中新統下仁田層岩山砂岩部層から化石イガイ科二枚貝, Mytilus tichanovitchiの産出を報告する.下仁田層における産状・共産貝類化石は本種が上部浅海帯砂底に生息していたことを示す.本州における本種の層序的分布範囲は門ノ沢動物群の産出層準よりも明らかに下位に位置し,下部中新統に限定される.下仁田層産 Mytilus tichanovitchi殻のストロンチウム同位体比(87Sr/ 86Sr)も前期中新世の年代を示唆する.本種と共産する貝類化石の群集特性は中間温-冷温帯の海洋気候を示しており,本州中部における本種の産出は約18 Maの汎地球的寒冷化イベントと関連していた可能性がある.
エラータ
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