地質学雑誌
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112 巻, 6 号
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論説
  • 丹羽 正和
    2006 年 112 巻 6 号 p. 371-389
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/12
    ジャーナル フリー
    岐阜県高山地域に分布する美濃帯中期ジュラ紀付加体小八賀川コンプレックスは,チャート,石灰岩および苦鉄質火山岩類といった海洋性岩石のスラブが卓越することで特徴付けられる.小八賀川コンプレックスは,岩相,産状および変形構造から,ペルム紀の海山を主な起源とし,岩相境界に著しい破砕を伴う変形構造が発達する部分と,ペルム紀~前期ジュラ紀の海洋底岩石を主な基盤とする海洋プレート層序の構成岩石がスラストで繰り返す覆瓦構造をなす部分とに認識できる.スラストは砥石型珪質粘土岩と苦鉄質火山岩類の一部に特徴的に発達する.スラストが示す運動方向は,東北東-西南西~北東-南西走向・高角北傾斜の構造性面構造に対し,右横ずれ成分の卓越するtop-to-the-eastの方向の剪断を示す.これは,美濃帯後期ジュラ紀~前期白亜紀付加体のメランジュの剪断変形組織およびスラストが示す運動方向とは異なる.
  • 菅森 義晃
    2006 年 112 巻 6 号 p. 390-406
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/12
    ジャーナル フリー
    本論では, 層序や構造に不明な点が多かった京都西山地域の中・古生界の層序区分を行った.研究地域の中・古生界は構造的上位の高槻層(再定義)と島本層(新称)及び下位の丹波帯に区分される.年代未詳とされた従来の高槻層は, 砕屑岩主体の上部ペルム系高槻層と中部三畳系島本層に区分されることが明らかになった.一方, 丹波帯は構造的上位から本山寺コンプレックス(再定義), 出灰コンプレックス(再定義)及び田能コンプレックスに細分される.本山寺コンプレックスから三畳紀新世前期, 出灰コンプレックスから三畳紀新世後期及び田能コンプレックスからジュラ紀古世を示す放散虫化石が, それぞれの砕屑岩から産出する.これらの丹波帯の各コンプレックスはその層相及び構造から付加複合体と判断され, 丹波帯の付加・形成が三畳紀新世前期には始まっていたと考えられる.
  • 辻森 樹, 松本 啓作
    2006 年 112 巻 6 号 p. 407-414
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/12
    ジャーナル フリー
    青海蛇紋岩メランジュ産の藍閃石-緑れん石エクロジャイト(Tsujimori, 2002)について,Na2O-CaO-FeO-MgO-Al2O3-SiO2-H2O系(NCFMASH系)の圧力温度シュードセクションをTHERMOCALC 2.75プログラムを使って計算した.その結果,既存の圧力温度見積もり(温度=約550-600℃, 圧力>約1.8 GPa)に近い条件に,実際に観察される鉱物組み合わせの安定領域が存在することを確認した.現在の沈み込み帯の推定地温勾配を仮定する限り,藍閃石-緑れん石エクロジャイトは若く暖かいスラブの沈み込み変成作用を記録しているのであろう.
  • 歌田 実
    2006 年 112 巻 6 号 p. 415-429
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/12
    ジャーナル フリー
    山陰地方西部には7つの古第三紀コールドロンが知られている.各コールドロンは主として安山岩類およびフェルシック岩類により構成されている.これらは変質鉱物の組み合わせにより,カルデラ型中性変質帯,ホルンフェルシック変質帯,熱水変質帯,(風化変質帯)に区分される.
    カルデラ型中性変質帯は緑泥石-スメクタイト系粘土鉱物を特徴鉱物とし,全てのコールドロン中に広く分布している.この変質帯は,さらに弱変質帯,スメクタイト帯,(スメクタイト-緑泥石)混合帯,緑泥石帯に区分される.4帯の分布は続成作用の場合と異なり,層序に従った累帯分布をしていない.ホルンフェルシック変質帯は緑泥石帯の組み合わせに,角閃石または黒雲母を伴うもので,貫入岩体の周辺に生成している.これらに重複して生成している熱水変質帯は,珪酸塩鉱物を特徴とする8帯,炭酸塩変質帯,硫酸塩変質帯の計10帯に分けられる.
ノート
口絵
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