更新世後期の湖成層である高野層において全層ボーリングを行い,53.88 mの連続したコア試料を得た.コア試料の層相は,黒灰色でほぼ均質な粘土質シルト~シルトであり,多数のテフラ層を挟んでいる.そのうちの5つの広域指標テフラ(DKP, Aso-4, K-Tz, Ata, Aso-2)の放射年代値を用いて年代モデルを作成した.高野層のTOC含有率の経年変動プロファイルは,露頭の試料から報告されている花粉組成変化と同調しており,およそ169~37 kaにおける数万年周期の長期の気候変動を示している.この変動はMIS 6~3前半における海洋酸素同位体比変動と対応しており,MIS 3,及び5の相対的な温暖期にあたる期間には高く,MIS 4,及び6の相対的に寒冷な時期に対応する期間には低い値を示す.さらにMIS 5の期間中には,5a,5b,5c,5d,5eに相当する含有率の高い時期と低い時期の繰り返しが見られる.
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