地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
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112 巻, 9 号
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論説
  • 本山 功, 長森 英明
    2006 年 112 巻 9 号 p. 541-548
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/01
    ジャーナル フリー
    長野県北部北信地方の新第三系の代表的なセクションにおいて放散虫化石による年代分析を試みた.青木層,小川層,柵層のうち,柵層中の荒倉山火砕岩部層と荻久保砂岩泥岩部層からは放散虫が産出したが,その他の地層からは産出しなかった.荒倉山火砕岩部層からはSpongurus pylomaticus帯(5.2~4.5 Ma)を示す放散虫群集が得られ,荻久保砂岩泥岩部層からはS. pylomaticus帯~Cycladophora sakaii帯(5.2~2.6 Ma)に当たる鮮新世に特徴的な放散虫が産出した.これらの推定年代は,従来報告されている放射年代と調和的である.
  • -北八ヶ岳~塩嶺地域における大規模マグマ活動について-
    高橋 康, 西来 邦章
    2006 年 112 巻 9 号 p. 549-567
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,北八ヶ岳火山の北麓に分布する前期更新世火山岩類の層序を確立し,計60個の岩石試料について全岩化学分析を行った.北八ヶ岳火山は1.2 Ma頃に活動を開始し,1.0 Ma頃まで玄武岩質溶岩の噴出を繰り返して成層火山体を形成した.1.0 Ma以降は安山岩~デイサイト溶岩が噴出し0.9 Ma頃に一旦活動を終了した.中期更新世に入り活動を再開して安山岩~デイサイト溶岩が噴出し成層火山や溶岩ドームを形成した.北八ヶ岳火山噴出物の全岩組成は,更新世前期と中期以降に噴出したものとでMgO量が明瞭に異なり,近隣の諸火山の全岩組成と比較すると,北八ヶ岳火山の西方に分布する塩嶺火山岩類と主要元素組成が類似する.北八ヶ岳~塩嶺地域では,前期更新世に約200 km3におよぶマグマが噴出している.このような大量のマグマ噴出は,当地域を通る糸魚川-静岡構造線の横ずれ断層活動に伴って生じた局所的な引張応力場のもとで行われた可能性がある.
  • 田原 敬治, 公文 富士夫, 長橋 良隆, 角田 尚子, 野末 泰宏
    2006 年 112 巻 9 号 p. 568-579
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/01
    ジャーナル フリー
    更新世後期の湖成層である高野層において全層ボーリングを行い,53.88 mの連続したコア試料を得た.コア試料の層相は,黒灰色でほぼ均質な粘土質シルト~シルトであり,多数のテフラ層を挟んでいる.そのうちの5つの広域指標テフラ(DKP, Aso-4, K-Tz, Ata, Aso-2)の放射年代値を用いて年代モデルを作成した.高野層のTOC含有率の経年変動プロファイルは,露頭の試料から報告されている花粉組成変化と同調しており,およそ169~37 kaにおける数万年周期の長期の気候変動を示している.この変動はMIS 6~3前半における海洋酸素同位体比変動と対応しており,MIS 3,及び5の相対的な温暖期にあたる期間には高く,MIS 4,及び6の相対的に寒冷な時期に対応する期間には低い値を示す.さらにMIS 5の期間中には,5a,5b,5c,5d,5eに相当する含有率の高い時期と低い時期の繰り返しが見られる.
口絵
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