地質学雑誌
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113 巻, 4 号
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論説
  • Kyaw Soe Win, Makoto Takeuchi, Seiichiro Iwakiri, Tetsuya Tokiwa
    2007 年 113 巻 4 号 p. 133-145
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/22
    ジャーナル フリー
    紀伊半島四万十帯白亜系湯川層の砂岩中の砕屑性ザクロ石の化学組成に基づく後背地解析を行った.その結果,花崗岩質岩や低~中度変成岩,酸性火成岩からのスペッサルティン成分に富むアルマンディンが多く含まれており,グラニュライト相の変成岩に由来するパイロープ成分に富むアルマンディンも認められた.また,石灰質変成岩を起源とするグランダイトも存在している.これらのうち花崗岩質岩や低~中度変成岩,酸性火成岩,および石灰質変成岩起源のザクロ石は肥後帯から,グラニュライト相変成岩起源のものは東アジアに分布する先カンブリア紀の大陸基盤から供給されたと考えられる.本調査地域には,紀伊半島西部で報告されているようなエクロジャイトや高圧型変成岩起源のザクロ石は含まれず,地域的な相違が明らかとなった.
  • 於保 幸正, 山口 悠哉, 平山 恭之
    2007 年 113 巻 4 号 p. 146-157
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/22
    ジャーナル フリー
    対馬北部に分布する対州層群中には,スレートへき開が観察されない泥岩(0-クラス)から初期的スレートへき開として局所的にcleavage domainsがみられるもの(I-クラス)と顕微鏡下の全域においてcleavage domainsが発達するもの(II-クラス)が認められる.泥岩中にはchlorite-mica stacksが観察され,スレートへき開発達に伴い変形を受け,変形が強くなるに従ってその厚さも厚くなっている.これはchlorite-mica stacksがへき開方向に成長したものと推定される.各クラスのイライト結晶度(IC値)から,0-クラスの試料はmetapelitic zoneのlate diagenetic zoneからlow anchizoneに,IとII-クラスの試料はlow anchizoneに相当すると推定される.スレートへき開形成時には地温勾配は通常より高かったと予想され,日本海拡大の展張場の温度がスレートへき開形成時にもほぼ維持されていたと見なすことができる.
  • 君波 和雄, 戸田 祐貴
    2007 年 113 巻 4 号 p. 158-167
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/22
    ジャーナル フリー
    構造層序や化石年代から三波川変成帯(緑泥石帯)の砂質・泥質片岩の原岩は,後期ジュラ紀以降に堆積したと推定される.徳島県美馬市南部の三波川変成帯の原岩層を特定するために,同地域の砂質片岩および泥質片岩の全岩化学分析を行った.調査地域の三波川帯は,岩相や地質構造から北部と南部に区分される.調査域の砂質片岩の地球化学的特徴は,その原岩層が南部秩父帯の中-上部ジュラ系ではないことを示している.砂質片岩と泥質片岩の地球化学的な特徴は,北部と南部がそれぞれ四万十帯北帯のKS-IIユニット(コニアシアン-カンパニアン)とKS-Iユニット(アルビアン?-前期コニアシアン)を原岩層としていることを示している.これらの結論は,四国の三波川変成帯の低度変成岩の多くがアンダープレーティングに由来する四万十帯北帯の深部相であることを意味している.
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