地質学雑誌
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114 巻, 7 号
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論説
  • 高木 秀雄, 三輪 成徳, 横溝 佳侑, 西嶋 圭, 円城寺 守, 水野 崇, 天野 健治
    2008 年 114 巻 7 号 p. 321-335
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    領家帯土岐花崗岩中の石英粒子に含まれるヒールドマイクロクラック(HC)とシールドマイクロクラック(SC)およびオープンマイクロクラック(OC)の三次元方位分布ならびに流体包有物の検討から,古応力方位とその変遷を議論した.HCの三次元方位はN-S~NNW-SSEのσHmax方位を示すのに対し,SCおよびOCはE-WのσHmax方位が卓越する.HCを構成する流体包有物のマイクロサーモメトリーから300~400℃の形成条件が推定され,HCがK-Ar黒雲母年代の60 Maごろには生成していた.したがって,西南日本の15 Maごろの回転を元に戻すと,HC形成時のσHmax方位はおよそNW-SEとなる.それに続いて,σHmaxが変化し,炭酸塩鉱物などで充填されたSCや,さらに地殻浅部でOCが形成された.土岐花崗岩を不整合に覆う瑞浪層群の年代を考慮すると,OCの形成は前期中新世(約20 Ma)頃から開始された.
  • 吉本 充宏, 宮坂 瑞穂, 高橋 良, 中川 光弘, 吉田 邦夫
    2008 年 114 巻 7 号 p. 336-347
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    北海道駒ヶ岳火山北西~北東山麓部に露出する噴出物の層序,14C年代,岩石学的特徴を検討した.これまで40~6 cal kaの間には4層の噴火堆積物が識別されていたが,今回新たに7層の噴火堆積物(P7~P1)を識別した.それらの噴火年代は,約19 cal ka(P7),約17.7 cal ka(P6),約17.4 cal ka(P5),約14.8 cal ka(P4),約12.8 cal ka(P3),約6.5~6.3 cal ka(P2,P1)である.北海道駒ヶ岳火山の活動は,6,000年以上の長い休止期によって少なくとも4つの活動期(39 cal ka 以前, 20~12.8 cal ka, 6.8~6.3 cal ka, 1640 AD以降)に区分される.これら4つの活動期は本質物質の全岩化学組成も異なっている.最近3回の活動期は,4~6回のマグマ噴火からなり,規模の大きな噴火で始まり,その後より規模の小さい噴火を繰り返していたことが明らかになった.
  • 石井 英一, 中川 光弘, 齋藤 宏, 山本 明彦
    2008 年 114 巻 7 号 p. 348-365
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    北海道中央部の十勝三股盆地周辺に分布する火砕流および火山体を対象に露頭調査,記載岩石学的分析およびK-Ar年代測定を行った結果,降下火砕堆積物の層厚変化,火砕流の層厚・溶結度・上面高度の変化,噴出年代,本質岩片の斑晶鉱物組み合わせ・ガラス組成・鉱物化学組成から,従来それぞれの地域で異なる名称で呼ばれていた4つの火砕流(無加・芽登凝灰岩,屈足火砕流,黒雲母石英安山岩質軽石流)がすべて十勝三股盆地から噴出した同一の火砕流であることが分かった.我々は十勝三股盆地を十勝三股カルデラと呼び,上記4つの火砕流を十勝三股火砕流,先行した降下火砕堆積物を十勝三股降下火砕堆積物と呼ぶことを提唱する.十勝三股カルデラは約1 Maに総噴出量130 km3以上の大規模珪長質噴火によって形成された.その噴火は大規模なプリニー式噴火で始まり,その後に火砕流が発生し,当時の基盤地形に支配されて流下した.
  • 長谷川 健, 石井 英一, 中川 光弘
    2008 年 114 巻 7 号 p. 366-381
    発行日: 2008/07/15
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    北海道東部の阿寒火砕堆積物(上位から, Ak1~Ak17)に挟在する6層の広域火山灰(上位から, HR-1~HR-6)と,北海道中央部の大規模火砕流について,火山ガラス組成,鉱物組み合わせおよび層序などの点から対比の検討を行った.その結果,HR-5,-6と十勝火砕流堆積物(1.3~1.46 Ma),HR-4と十勝三股火砕流堆積物(1.0 Ma),HR-2と上然別軽石流堆積物,そしてHR-1と上旭ヶ丘軽石流堆積物がそれぞれ対比された.さらに,上旭ヶ丘軽石流堆積物からは約0.51 MaのK-Ar年代を得た.以上から,北海道中央部と東部では,前期~中期更新世の80万年間にわたって大規模な火砕噴火活動が並行していたことが明らかとなった.特にAk14とこれに挟在するHR-5との間には,古土壌などが示す顕著な時間間隙が存在しないことから,この時期では北海道中~東部で同時噴火が起こっていた可能性を指摘できる.
討論
口絵
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