地質学雑誌
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114 巻, Supplement 号
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日本地質学会第115年学術大会 2008年 秋田 見学旅行案内書
  • 始新世~前期中新世火山岩と戸賀火山
    大口 健志, 鹿野 和彦, 小林 紀彦, 佐藤 雄大, 小笠原 憲四郎
    2008 年 114 巻 Supplement 号 p. S17-S32
    発行日: 2008/09/18
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    最近数年間,とくに火山岩が厚く累重している赤島層や門前層,台島層を対象に,火山岩の噴出・累重様式や噴出環境を調べ,個々の火山岩相を識別し,火山岩相相互の関係を明らかにして,その岩相層序を組み立て直す作業に取り組んできた.この巡検ではその成果の一端として,台島層を構成するカルデラ充てん堆積物,始新世~漸新世のマグマ水蒸気爆発噴出物,水際に定置した後期始新世の火山噴出物,前期始新世の火砕流堆積物と火山角礫岩など,始新世~前期中新世のリフティングに伴う火山活動で形成された様々な火山岩相を紹介する.また,火山岩相解析が火山岩を主体とする地層の火山学的側面を明らかにする上で効果的であることを示す実例の一つとして,戸賀火山の噴出物と構造を紹介する.
  • 白石 建雄, 白井 正明, 西川 治, 鈴木 隼人, 古橋 恭子, 星 多恵子
    2008 年 114 巻 Supplement 号 p. S33-S50
    発行日: 2008/09/18
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    男鹿半島には厚い海成更新統が分布しており,その中には多数の広域テフラが挟まれている.また酸素同位体ステージ12 以降については,酸素同位体比変動曲線で示される主要イベントが地層・地形記録として非常によく保存されている.それゆえ,第四紀層序学的に非常に重要な地域である.この男鹿半島を含む日本海沿岸地域は日本海東縁変動帯の一角を占め,八郎潟を挟む東西両地域一帯には,南北方向に長軸を有する活動的逆断層地溝(八郎潟-秋田湾地溝)が成立している.そのため新期の地殻変動が非常に激しく,地層や更新世海成段丘は大きな変形・変位を蒙っている.本見学旅行では,第四紀地殻変動の影響を強く受けた堆積層,地形を観察する.
  • 藤本 幸雄, 林 信太郎, 渡部 晟, 栗山 知士, 西村 隆, 渡部 均, 阿部 雅彦, 小田嶋 博
    2008 年 114 巻 Supplement 号 p. S51-S74
    発行日: 2008/09/18
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    男鹿半島には白亜紀後期の基盤花崗岩類から古第三紀火山岩類,新第三紀火山岩類・海成層,第四紀層と海成段丘,火山岩及び火山地形,砂丘などが整然と分布している.そのため男鹿半島は,東北地方日本海側の9000 万年ないし6500 万年前からの地史を考える上で重要な地域になっている.風光明媚にして男性的な景観には,このような地質体の形成過程・多彩な地史が刻み込まれており,自然界の営みの中に歴史を作る人々の営為も垣間見ることができる.災害・産業・環境問題・自然認識などをはじめとして,地学は教育の重要な柱として一層の活用が求められている.ここでは近年得られた新知見を加え,地質体の形成過程・地史について解説し,合わせて地学教育上の要点を挙げてみる.
  • 西川 治, 奥平 敬元, 吉田 昌幸, 白石 建雄
    2008 年 114 巻 Supplement 号 p. S75-S85
    発行日: 2008/09/18
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    出羽丘陵は,東北日本が強い東西圧縮応力場におかれた鮮新世前期から逆断層や褶曲構造を形成しながら隆起を開始し,更新世中期にかけて全域が陸化したと考えられている.この隆起運動に関連した変形構造は,出羽丘陵成立過程の構造運動の実態を明らかにするために重要なデータとなるだけでなく,脆性領域の変形機構や変形様式を理解するための格好の素材を提供している.この見学旅行では,出羽丘陵西縁部に存在する北由利衝上断層群および中央部に位置する鳥田目断層群に伴われる変形構造を観察し,その運動像や変形条件について考察する.
  • 林 信太郎, 山元 正継
    2008 年 114 巻 Supplement 号 p. S87-S95
    発行日: 2008/09/18
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    鳥海山は約60万年前に活動を開始した成層火山である.鳥海火山の登山を行い,鳥海火山の火山地形を概観するとともに鳥海山の歴史時代の火山灰の観察を行う.また,悪天候時には,山麓の露頭を回り,鳥海山の新旧の溶岩,岩なだれ堆積物などの観察を行う.
  • 高島 勲, 越谷 信
    2008 年 114 巻 Supplement 号 p. S97-S109
    発行日: 2008/09/18
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    国産再生可能自然エネルギーとして重要な地熱の日本有数の賦存地域である小安(おやす)・秋の宮地域の地質,温泉・地熱現象及び発電所,温泉熱利用施設を見学する.本地域には活火山はないが,20-30万年前に活動した高松岳や木地山(きじやま)火砕流等の残存マグマを熱源として多くの温泉・噴気地域がある.地表地質は中新世~鮮新世の虎毛山層,三途川層と第四紀の火山岩,火砕流堆積物から成るが,地熱調査井ではより古期の地層も確認されている.地熱地質調査では,熱源火山,変質,断裂系が重要であり,それらについての露頭及びデータの紹介を行う.また,調査の最終段階では調査井の掘削が行われるので,口元施設及びデータを解説する.温泉・地熱の現場として温泉湧出地点,噴気帯,発電所,熱水利用施設を見学し,地球の恵みを理解してもらう.
  • 村上 英樹, 村木 克行, 野口 泰彦, 鈴木 清貴
    2008 年 114 巻 Supplement 号 p. S111-S120
    発行日: 2008/09/18
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    秋田県北部には,珪藻土,パーライト,ゼオライト等の非金属鉱床が数多く分布しており,また,その埋蔵量も非常に大きい(第1図).珪藻土は,新第三紀中新世女川期の深海底に堆積した植物プランクトンが続成作用を経て形成された非金属鉱床で,良質なものが北秋田市に分布している.パーライトは,鮮新世に礫岩を主とする前山川層に貫入した流紋岩が水和作用を受けて変質・形成された岩石で,分布範囲は北秋田市米内沢地域に限られるものの,その鉱量は比較的大きい.ゼオライトは,珪藻土堆積後の中新世船川期に噴出をした上部七座凝灰岩の中部層に賦存しており,同凝灰岩の分布域(能代市二ツ井から藤里町)に沿って鉱床が点在している.
    本見学旅行では,これら非金属鉱床を巡り,産状を観察すると共に試料を採取する.また,これら岩石が工場にて精製されて製品になる過程も見学する.
  • 永広 昌之, 山北 聡, 高橋 聡, 鈴木 紀毅
    2008 年 114 巻 Supplement 号 p. S121-S139
    発行日: 2008/09/18
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    北部北上山地には北部北上帯に属するジュラ紀付加体が広く分布している.北部北上帯は西側の葛巻-釜石亜帯と東側の安家-田野畑亜帯に細区分され,この区分は北方の西南北海道渡島帯にも適用可能である.北部北上帯は北方の極東ロシアのタウハ帯-渡島帯と南方の西南日本北部秩父帯・南部秩父帯をつなぐ重要な位置にある.この見学コースでは,最近の研究で付加体を構成する海洋プレート層序の詳細が明らかにされつつある,安家-久慈地域の北部北上帯ジュラ紀付加体の岩相・層序を観察する.
  • 内野 隆之, 川村 信人, 川村 寿郎
    2008 年 114 巻 Supplement 号 p. S141-S157
    発行日: 2008/09/18
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    本見学コースでは,北上山地に分布する前期石炭紀付加体を含む根田茂(ねだも)帯と南部北上帯北縁部のオルドビス~シルル紀島弧地質体を観察する.根田茂帯の綱取ユニットは化石によって時代が決定された付加体としては日本最古であり,これに相当する地質体は現在のところ日本列島の他地域にはない.根田茂帯は泥岩/珪長質凝灰岩互層(MS互層)と緑色岩類の卓越で特徴づけられ,日本列島各地のジュラ紀付加体や白亜紀付加体とは異なる岩相を示す.また南部北上帯北縁部には,シルル紀砕屑岩類の基盤となる島弧型緑色岩類や角閃岩・超苦鉄質岩が分布している.本見学では,これらの地質体を観察し,古アジア縁辺部における古生代沈み込み帯のテクトニクスを議論したい.
  • 土谷 信高, 西岡 芳晴, 小岩 修平, 大槻 奈緒子
    2008 年 114 巻 Supplement 号 p. S159-S179
    発行日: 2008/09/18
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    花崗岩質大陸地殻の形成機構を明らかにすることは,地球の進化過程の解明に通じる重要な研究課題である.本案内書では,北上山地の前期白亜紀アダカイト質累帯深成岩体と古第三紀浄土ヶ浜流紋岩類の主要な岩体について,岩石学的特徴とその成因について述べた.これらのアダカイト類の岩石化学的多様性の成因には,スラブメルトとマントルおよび下部地殻との反応の程度の差が主要な役割を果たしていたと考えられ,スラブメルトの発生から上昇・定置に至る現象の解明に重要な位置を占めると考えられる.
資料:見学地点説明
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