地質学雑誌
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115 巻, 3 号
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論説
  • 櫻井 剛, 高須 晃
    2009 年 115 巻 3 号 p. 101-121
    発行日: 2009/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    四国中央部別子地域三波川変成帯の峨蔵岩体は,主に泥質片岩と塩基性片岩からなり,エクロジャイトが塩基性片岩中に挟まれる.エクロジャイトは主にざくろ石,単斜輝石,緑れん石,角閃石,フェンジャイト,パラゴナイトおよび石英からなる.エクロジャイトの組織をもとに峨蔵岩体の変成史を(1)プレピーク変成作用(2)ピーク変成作用(12~25 kbar, 510~580℃)(3)降温期変成作用(4)三波川昇温期変成作用の4つに区分した.ざくろ石とオンファス輝石は融食-再成長の組織を示し,昇温期の履歴が単純な温度・圧力の上昇ではなく温度・圧力が一度低下する,またはH2O流体が流入する時期があったと考えられる.
    峨蔵岩体は,五良津岩体の上昇に伴い五良津岩体と接合し,さらに上昇して,昇温期変成作用が進行している三波川結晶片岩と接合し,ともに曹長石-黒雲母帯の昇温期変成作用を受けたと考えられる.
  • 辻野 泰之
    2009 年 115 巻 3 号 p. 122-129
    発行日: 2009/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    北海道古丹別地域に分布する蝦夷層群最上部を函淵層に帰属させた.この層準は砂岩優勢の砂岩泥岩互層で構成され,ハンモック状斜交層理が発達する.本研究では,古丹別地域の函淵層からいくつかのアンモノイド類やイノセラムス類を産出したものの,時代決定に有効な大型化石は得られなかった.しかしながら,古丹別および羽幌地域の羽幌川層最上部からは,下部カンパニアン中部-上部を示すSphenoceramus orientalisS. schmidtiが報告されており,古丹別地域の函淵層はS. orientalisS. schmidti帯の最下部に対応すると考えられる.さらに函淵層が,古丹別地域で確認されたこと,また羽幌地域や達布地域の羽幌川層最上部においても,すでに上方粗粒化の傾向が見られることは,羽幌-古丹別-達布地域の広域において函淵層が堆積していた可能性を示す.
  • 寺部 和伸, 松岡 篤
    2009 年 115 巻 3 号 p. 130-140
    発行日: 2009/03/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    群馬県神流町瀬林地域に分布する山中白亜系瀬林層上部層から,21属25種の二枚貝化石およびアンモノイド化石からなる軟体動物化石群集が産出した.この軟体動物化石群集はNeithea matsumotoiなどを含み,アルビアン階とされる九州の先外和泉層群八代層からの二枚貝群集との共通性が高く,テチス型動物群であると見なされる.アンモノイド群集はCrioceratitesParacriocerasasiaticumを含みバレミアン階を指示する.従来,八代層に特有とされていた二枚貝化石は,その産出レンジがバレミアン階まで下りることが明らかになった.山中白亜系の物部川層群相当層からテチス型動物群が産出したことは,横ずれ断層による下部白亜系の構造的再配列だけでは古生物地理を説明できないことを示している.また,瀬林層は,海水温が高くなった環境で堆積したと考えられる.
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