地質学雑誌
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116 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総説
  • 平野 直人, 阿部 なつ江, 町田 嗣樹, 山本 順司
    2010 年 116 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/29
    ジャーナル フリー
    太平洋プレートが沈み込む手前で活動するプチスポット火山は,プレート屈曲に起因し,各火山活動は単発に終わる特徴があり,様々な海域で活動している.つまりプレート屈曲場であればどこでも同様の火山が存在し得る.そのような沈み込む手前のプレート上のプチスポット火山体は,沈み込むプレート本体の海洋地殻や,海山等の古い火山体よりも選択的に陸側に付加されていることが容易に想像できる.プチスポット火山の検討により,このような地質学の新展開に加え,海洋リソスフェアの理解に関する新展開も期待される.プチスポット溶岩がもたらす捕獲岩や火道角礫岩は,これまで我々が手に入れることの出来なかった古い海洋プレートの断片として貴重な情報をもたらす.これら岩石に地質圧力計を適用し,近い将来行われる若いプレート上での21世紀モホール計画の成果と合わせ,四次元的に海洋プレートが理解されることが大いに期待される.
論説
  • 嵯峨山 積, 外崎 徳二, 近藤 務, 岡村 聰, 佐藤 公則
    2010 年 116 巻 1 号 p. 13-26
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/29
    ジャーナル フリー
    石狩平野の深度50 mのSSC-1,同44 mのH16B-7,同40 mのH16B-3,同18 mのMHR-1および同28.5 mのYUB-1の5掘削井の後期更新世~完新世地質試料について14C年代測定,珪藻分析,火山灰分析を行い,層序や古環境を検討した.珪藻分析ではH16B-7とH16B-3で「大量な海水の流入」が認められ,完新世の中期にバリア(砂州)を海水が乗り越えたためと推定した.海生種の最大割合を示す層準は約6,000年前の縄文海進高頂期と考えられ,この時期には紅葉山砂丘より東に大きさ東西30 km,南北20 km程度の汽水湖が形成されたと推定される.火山灰分析ではSSC-1の深度42.38~42.25 mに約11.3万年前降灰のToyaが確認され,最終間氷期の堆積面が石狩平野下に埋積していることが示唆された.
  • 河村 博之
    2010 年 116 巻 1 号 p. 27-44
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/29
    ジャーナル フリー
    山口県西部の田部盆地南部に分布する豊浦層群は,下位より東長野層,西中山層,歌野層,および歌野層と一部同時異相の阿内層(新称)から構成される.最近,海生動物化石を含む歌野層と植物化石を多産する阿内層とは不整合関係にあり,阿内層は豊西層群清末層の一部層とされた.しかし,歌野層と阿内層の境界を画する礫岩層は,海底で堆積した重力流堆積物であること,また,植物化石に富む阿内層下部と生物擾乱の顕著な歌野層最上部の漸移関係が認められることから,両層は一部同時異相の関係にあることが明らかになった.歌野層から阿内層に至る堆積環境は,時間・空間的に内湾のプロデルタスロープからファンデルタスロープへと推移する一連の海退期の堆積相を示すと考えられる.阿内層の年代は,年代の知られている植物群との対比,および豊浦層群の上限年代がCallovianを示すことからBathonian-Callovianと考えられる.
  • 高木 秀雄, 島田 耕史, 岩野 英樹, 檀原 徹
    2010 年 116 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/29
    ジャーナル フリー
    三重県多気町の中央構造線(MTL)に伴われるシュードタキライト(PST)のフィッショントラック(FT)年代を報告し,MTLの活動史を議論した.PST脈のジルコンFT年代は 60.0±3.5 Maであった.一方,PSTから10 cmおよび15 mはなれた畑井トーナル岩由来のマイロナイトは,3試料の重み付き平均値として69.8±1.2 MaというPSTよりも有意に古い値が得られた.PSTに観察される長石の分解組織はジルコン内の既存のトラックを瞬間に消滅させるに充分な温度に達したことを示唆し,PSTのトラック長解析はそのFT年代が摩擦熱融解時に完全にアニールされたことを示す.一方,母岩の燐灰石のFT年代が38.0±1.5 Maであることから,母岩の冷却時の250~100℃の条件でPSTが生成したことが明らかとなった.今回の約60 Maという年代は,MTLの断層ガウジの最古の年代と一致する.
短報
  • Jun-ichi Tazawa, Junko Anso, Miyuki Umeda, Toshiyuki Kurihara
    2010 年 116 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/29
    ジャーナル フリー
    A new occurrence of the Late Carboniferous productoid brachiopod species, Plicatiferina borealica Kalashnikov, is described from a sequence of alternating metamorphosed limestone and subordinate metamorphosed felsic tuff, mudstone and sandstone at Nishiamada, Fukui Prefecture, central Japan. Plicatiferina is a typical Boreal-type genus, distributed in the Upper Carboniferous and lowest Permian of Arctic Canada, Arctic Russia, and the northern and southern Urals. The fossilbearing sequence at Nishiamada is assigned to the Late Carboniferous (Kasimovian?), and is correlated with the Unazuki metamorphic rocks of the Hida Belt, central Japan. The occurrence of a Boreal-type brachiopod at Nishiamada suggests that the original calcareous and volcaniclastic sediments of the Unazuki metamorphic rocks were deposited in a shallow sea on and around the eastern North China (Sino-Korea) during the Late Carboniferous.
報告
  • Naoto Ishida, Fujio Toyohara, Masafumi Murata
    2010 年 116 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/29
    ジャーナル フリー
    This study revealed the radiolarian-based sedimentary age of the Mizukoshi Formation, a Permian siliciclastic deposit in western Kyushu, Japan. Radiolarians were recovered from four mudstone samples in this formation. The radiolarian assemblages contain abundant specimens of the genus Follicucullus. The assemblage in the upper part of the lower member includes Follicucullus scholasticus, F. porrectus, and Follicucullus sp. cf. F. ventricosus. The upper part of the upper member includes F. charveti, F. dilatatus, F. scholasticus, F. porrectus, and F. ventricosus. Based on these assemblages, the Mizukoshi Formation in the study area can be correlated with the F. scholasticus-F. ventricosus Zone and the lower part of the F. charveti-Albaillella yamakitai Zone, representing the middle to upper Guadalupian.
口絵
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