地質学雑誌
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116 巻, 6 号
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論説
  • 町 澄秋, 石渡 明
    2010 年 116 巻 6 号 p. 293-308
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    飛騨外縁帯の小滝地域に分布する超苦鉄質岩は2タイプに大別され,それらは(Type 1) 初生的なかんらん岩,(Type 2)変成かんらん岩である.これらの一部は接触変成作用を被っている.同地域の超苦鉄質岩中の初生的な残存鉱物は,大江山オフィオライトのものに類似し,大江山岩体以外では初のAlに富むぜん虫状スピネル(Cr#=33~38)を含むものもある.変成かんらん岩は,Naに富むトレモラ閃石を含むことで特徴づけられるが,このことはこのタイプの超苦鉄質岩が沈み込むスラブ由来の流体による加水作用に関連した元素の移動によって交代作用を被った可能性を示唆する.接触変成作用を被ったと考えられる超苦鉄質岩は,一般に本地域の東部に向かってより高温で安定な鉱物組み合わせを示し,岩体東部を不整合に覆う石坂流紋岩直下の深成岩体による接触変成作用を示唆する.
  • 佐藤 隆恒, 高木 秀雄
    2010 年 116 巻 6 号 p. 309-320
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    丹沢トーナル岩体中の石英中のヒールドマイクロクラック(HC)およびシールドマイクロクラック(SC)の三次元方位分布ならびに流体包有物の形成条件の検討から,古応力方位とその変遷を推定した.HCおよびSCの全データの方位はNNE-SSW方向のσHmaxを示す.HCを構成する流体包有物のマイクロサーモメトリーから,丹沢周辺の地温勾配30~50℃/kmを考慮すると275~410℃,0.20~0.29 GPaの形成条件が推定され,K-Ar黒雲母年代の5~4 Ma頃にはHCは形成していた.丹沢トーナル岩体は1 Maの伊豆ブロックの衝突によって10℃の時計回りの回転を被っているため,マイクロクラック形成時にσHmaxはN-S方向であったと考えられる。丹沢トーナル岩体中の原位置応力測定でも同様のσHmaxが得られていることから,同地域の応力場は5~4 Ma以降,現在まで大きく変化していないと推察される.
  • 佐野 弘好, 桑原 希世子, 八尾 昭, 尾上 哲治
    2010 年 116 巻 6 号 p. 321-340
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    美濃帯西部の舟伏山地域には,珪質ミクライト・チャート互層が分布する.珪質ミクライト・チャート互層は,ジュラ紀メランジュ中に岩塊として含まれる.珪質ミクライトは,放散虫遺骸に富み,薄殻二枚貝を少量含む遠洋深海成石灰岩である.コノドント,放散虫の検討から,珪質ミクライト・チャート互層は,上部三畳系Carnian~Norian下部に対比できる.
    珪質ミクライト・チャート互層とチャート・砕屑岩シークエンスの上部三畳系チャートは同時異相関係にある.後者が炭酸塩補償深度以深の大洋底で堆積したのに対して,前者は,これよりも水深が小さく,炭酸塩補償深度付近に位置していた大洋性海山の下部斜面などの地形的高まりで堆積した可能性がある.珪質ミクライト・チャート堆積の基盤として,下部ペルム系~中部三畳系チャートに覆われたペルム紀古世の海山と三畳紀中~新世海山の2つが可能性として考えられる.
ノート
  • 鈴木 舜一
    2010 年 116 巻 6 号 p. 341-346
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    Gold placer was discovered at Nonodake Hill in the mid-eighth century, making it the site of the earliest gold diggings in Japan. Watanabe (1935) was the first geologist to discuss the source of the placer gold, suggesting that it was derived from a Tertiary conglomerate containing rounded fragments of vein quartz, and that the primary source was pre-Tertiary gold veins in the Kitakami Mountains. Onoda (1942) agreed with Watanabe’s view. However, Yagyu (1953) suggested that the placer gold was derived from Tertiary gold veins on the northern side of Nonodake Hill. Taguchi and Ozaki (1994) undertook chemical analyses of particles of placer gold using a scanning electron microscope with an X-ray microanalyzer. Their results support Watanabe’s view on the primary source of the placer gold.
口絵
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