地質学雑誌
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116 巻 , Supplement 号
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日本地質学会第117年学術大会 2010年 富山 見学旅行案内書
  • 田村 糸子, 山崎 晴雄, 中村 洋介
    2010 年 116 巻 Supplement 号 p. S1-S20
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    本巡検では,富山積成盆地西縁の小矢部地域から中央部の呉羽山丘陵を経て東縁地域の魚津まで移動し,堆積盆地を構成する上部音川層や大桑層,呉羽山礫層などの北陸層群中に見出された鮮新-更新世の広域テフラ層を観察する.かつて,飛騨山地の隆起・形成にかかわる呉羽山礫層の堆積年代,すなわち飛騨山脈の隆起時期には様々な議論があった.しかし,挟在されているテフラの対比から,東縁部では2.65~1.65 Ma,中央部の呉羽山丘陵では0.6 Maという2つの層準があることが明らかとなった.このように広域テフラ対比が,富山湾側が沈降し,山地が上昇するという本地域のテクトニクスの時間軸の高精度化をもたらしていることを確認する.また,沖積面の変形や段丘面の撓曲などの地形面の変形から,呉羽山・魚津両断層の活動を論じ,富山平野を形成した第四紀の断層運動を確認する.
  • 竹内 章, 道家 涼介, ハス バートル
    2010 年 116 巻 Supplement 号 p. S21-S36
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    跡津川断層は,1858(安政5)年に発生した安政飛越地震の震源断層であり,断層トレース周辺の地下では,現在も顕著な微小地震活動が観測されている.このため,跡津川断層や牛首断層などから構成される跡津川断層系は1970年代から内陸活断層の地球物理学・測地学分野のテストフィールドとなってきた.近年,GPS測地をはじめ観測データが総合的に集積してきたことから,本邦日本海側の歪集中帯における地殻地震の発生メカニズムの解明が進んでいる.
    本見学旅行では,跡津川断層の中央部から東端部に至る区間について見学を行う.各見学地点において,断層破砕帯や活断層の露頭,段丘の横ずれ変位,河道閉塞,流系のオフセット等を観察し,同断層の最新活動である飛越地震の地震像や,跡津川断層の運動学・力学的な観点からの現地討論を実施する予定である.
  • 中野 俊, 奥野 充, 菊川 茂
    2010 年 116 巻 Supplement 号 p. S37-S48
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    立山火山は20数万年前に活動を始めた複合火山である.現在,北東端の地獄谷で活発に噴気活動が続く.火山噴出物の分布域から見ると地域的には弥陀ヶ原地域と五色ヶ原地域に大別され,両者の間を浸食カルデラの立山カルデラが隔てる.カルデラ内では1858年飛越地震により山体崩壊が発生し,その未固結堆積物は日常的に崩壊が著しく,土砂流出を防ぐための大規模な砂防工事が明治時代以来盛んに行われている.日本地質学会主催による立山火山あるいは立山カルデラに関する見学旅行は,近年だけでも1966年,1990年,2001年に実施されている.今回は,交通の便がよい弥陀ヶ原地域を巡って火砕流・溶岩流・テフラ層の観察を行なう.特に称名滝火砕流堆積物のさまざまな岩相,また,水蒸気爆発による完新世テフラを観察する.カルデラ縁の展望台からは,カルデラ及び五色ヶ原地域の噴出物を遠望する.
  • 及川 輝樹, 石崎 泰男, 片岡 香子
    2010 年 116 巻 Supplement 号 p. S49-S61
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    活火山である焼岳火山を主峰とする焼岳火山群は,近年も活発な噴火活動を行なっており,近い将来も噴火する可能性が高い.この火山を起源とする過去に発生したラハールは,高原川-神通川水系を100 km以上も流下し富山平野まで達している.この見学コースでは,この大規模ラハール堆積物の観察とともに,その母材となった焼岳火山群の火山噴出物まで各段階を追って観察する.その他,焼岳火山の観測を行なっている京都大学防災研究所附属の上宝観測所や穂高砂防観測所なども見学する予定である.
  • 原山 智, 高橋 正明, 宿輪 隆太, 板谷 徹丸, 八木 公史
    2010 年 116 巻 Supplement 号 p. S63-S81
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    飛騨山脈の北半部中央を南から北へ流下する黒部川の流域はいまだ踏査の行われていない地域が残る地質学的秘境の状態にある.近年に至っても様々な発見が相次いできており,その代表的な例が第四紀黒部川花崗岩の発見である.黒部川花崗岩は黒部川右岸中流域の祖母谷温泉から黒部ダム- 扇沢にかけてバソリスとして露出している.黒部川流域は日本国内ではもっとも多数の花崗岩貫入時期が確認される地域であり,ジュラ紀(190 Ma 前後),白亜紀前期末(100 Ma 前後),白亜紀後期初頭(90 Ma),白亜紀後期末(70 Ma前後),古第三紀初頭(65-60 Ma),鮮新世初頭(5 Ma),鮮新世(3 Ma),第四紀更新世前期(2-1 Ma)の貫入ユニットが確認できる.この流域には源頭部から黒部川扇状地に至るまで多数の温泉や地熱地帯が知られており,祖母谷,黒薙地域には80℃を超える高温泉がある.また黒部峡谷鉄道の終点,欅平から名剣温泉にかけてはマイロナイト化した花崗岩類中に熱変成した結晶片岩類が捕獲され,その帰属が議論されてきた.本見学旅行では,飛騨山脈の形成という視点で黒薙・鐘釣・祖母谷の温泉と,欅平-祖母谷温泉間の鮮新世-更新世の花崗岩および剪断帯を取り上げ,観察する.
  • 椚座 圭太郎, 清水 正明, 大藤 茂
    2010 年 116 巻 Supplement 号 p. S83-S101
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    中朝・揚子地塊の衝突帯である飛騨変成帯の形成から日本海の誕生を経て,今日の共役断層系を特徴とする地質構造誕生までの相互の関係が,飛騨変成岩類や飛騨花崗岩類のジルコンのSensitive high-resolution ion microprobe 年代(SHRIMP年代)およびモナザイトや閃ウラン鉱などのU-Th-Pb electron microprobe 化学年代(EMP化学年代:補正方法の異なるCHIME 年代も含む)と,手取層群および北陸層群(八尾層群)の砕屑性ジルコンやモナザイトのEMP 化学年代とレーザーICP-MSによるU-Pb年代(ICP-MS年代)とのリンクにより明らかになりつつある.本地質巡検は,個々の地質体の形成過程だけではなく,露頭からの具体的な年代データにもとづく地質体相互の関係から,本地域の地質発達史を理解することを目的としている.
    船津花崗岩類の模式地である飛騨市神岡町船津では,約3 億年花崗岩が約2.5億年をピークとする飛騨変成作用で正片麻岩(Orthogneiss)に変化する様を観察する.神岡町小谷露頭では,約3 億年から2億年にかけて繰り返し生成した単斜輝石ミグマタイト(伊西岩)と変ハンレイ岩の関係,さらにそれらを貫く白亜紀後期-古第三紀初頭の神岡鉱床と関係するヘデンベルグ輝石脈(杢地鉱)を観察する.横山衝上断層では,飛騨帯由来のジルコンを含む白亜紀手取層群と約2 億年飛騨花崗岩類の関係を見る.さらに富山市側の手取層群庵谷(いおりだに)峠礫岩層では,中朝・揚子地塊衝突帯起源ではあるが,直下の飛騨帯に由来しない赤色花崗岩礫やその産状を観察する.富山平野の山岳側の縁に位置する中新世八尾層群楡原(にれはら)層芦生(あしう)砂岩層の砕屑性のジルコン粒子は手取層群と同じ約18億年,2.5億年および2億年という年代パターンを示し,日本海拡大前段階のドーミングに伴う飛騨山地の上昇による再削剥が示唆される.それに対して,さらに上位の八尾層群黒瀬谷層の砕屑性ジルコンの年代パターンは2億年よりも古い年代がなくなり,白亜紀以降の年代が卓越しており,日本海拡大以降,砕屑性の堆積物粒子の供給源として大陸の影響がおよばなくなったことを示す.
  • 平澤 聡, 柏木 健司, 藤田 将人
    2010 年 116 巻 Supplement 号 p. S103-S121
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    この見学旅行では,手取層群の海成層として初めて放散虫類が発見された上部ジュラ系東坂森層・桐谷層と,本層群の恐竜足跡化石産出層の1つである下部白亜系陸成層の跡津川層を観察する.東坂森層の上部をなす有峰頁岩層および桐谷層は,砂岩や砂質シルト岩主体の浅海成層でアンモノイド類などの軟体動物化石が産出する.最近になり,これらの地層の砂質シルト岩にみられる棲管化石の充填物から,放散虫類をはじめとする様々な微化石が報告された(平澤・柏木,2008;柏木・平澤,2009b).一方,跡津川層上部の和佐府互層は砂岩泥岩互層からなる蛇行河川系の堆積物である.本互層からは脊椎動物化石に加え,多様な恐竜足跡化石が産出される.手取層群の古生物学的研究は主に大型の体化石を対象としてきた.本コースでは恐竜足跡化石や,これまでほとんど注目されてこなかった海成層の生痕化石および微化石の産出層について観察する.
  • 竹内 誠, 竹之内 耕, 中澤 努
    2010 年 116 巻 Supplement 号 p. S123-S142
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    新潟県糸魚川市及びその周辺には日本有数のヒスイ産地があり,また代表的な構造線である糸魚川-静岡構造線が分布する.糸魚川市はこれらの多種多様な地質をもとに一般市民への普及活動とジオパークの整備を行ってきた.2009年8月には北海道洞爺湖有珠山,九州島原半島と並んで日本で初めて世界ジオパークに認定された.一方,2010年春には独立行政法人産業技術研究所より5万分の1地質図幅「小滝」(長森ほか,2010)が発行され,糸魚川ジオパーク内の地質に関する多くの新知見が明らかになってきた.本コースではその中から,糸魚川-静岡構造線の西側に分布する基盤岩類である,青海ヒスイ産地,約300 Ma 蓮華変成岩,秋吉帯に属する石炭系~ペルム系青海石灰岩,舞鶴帯に属するペルム系虫川層と琴沢火成岩類及び倉谷変成岩類,舞鶴帯と秋吉帯の境界断層,そして糸魚川-静岡構造線露頭,さらに東側のリフティングに伴う火成活動で形成された中新世枕状溶岩を観察する.
  • 宮島 宏
    2010 年 116 巻 Supplement 号 p. S143-S153
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    2009年に国内で初めて世界ジオパークとして認定された糸魚川ジオパークの見どころのうち,特にヒスイについて焦点を絞り,その地質学的な特徴や意義だけでなく,考古学的な意義や古代から現代にいたるまでの人間とのかかわりなど,糸魚川ジオパークをめぐる見学旅行(ジオツーリズム)として数多くの謎を持つヒスイについてさまざまな観点から学ぶものです.
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