地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
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117 巻, 1 号
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総説
  • 菅沼 悠介
    2011 年 117 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2011/01/15
    公開日: 2011/05/11
    ジャーナル フリー
    近年,古地磁気強度変動記録を用いた海底堆積物の年代対比が試みられるようになってきた.この手法は,海底堆積物に対して数千年スケールの高精度年代対比や,南極やグリーンランドの氷床コアの宇宙線生成核種生成率との直接対比を可能とするなど,将来性は非常に高い.しかし,海底堆積物の残留磁化獲得プロセスには,Lock-in depth問題など未解決の課題が残されており,年代対比における不確定要素となっている.本稿では,近年進められている新たな残留磁化獲得プロセスの研究例を紹介するとともに,この年代対比手法の課題と将来展望について述べる.
論説
  • 林 圭一, 西 弘嗣, 高嶋 礼詩, 友杉 貴茂, 川辺 文久
    2011 年 117 巻 1 号 p. 14-34
    発行日: 2011/01/15
    公開日: 2011/05/11
    ジャーナル フリー
    北海道中央南部には,上部白亜系の佐久層,鹿島層,函淵層が広く分布している.本研究では,これまで十分に検討が行われてこなかった大夕張地域以南において佐久層上部~鹿島層にかけての岩相層序を再検討するとともに,浮遊性有孔虫および底生有孔虫化石の層位分布を検討し,浮遊性有孔虫化石による国際年代対比を行った.あわせて底生有孔虫化石帯を設定し,その群集変化から堆積環境の変化を解明することを目的とした.浮遊性有孔虫に基づくと,佐久層上部~鹿島層はチューロニアン上部からカンパニアン下部に対比される.また,底生有孔虫群集の変遷から4つの底生有孔虫化石帯を設定した.底生有孔虫に基づくと,佐久層上部~鹿島層の堆積場は堆積期間を通じで中部~上部漸深海であったと考えられる.
  • ―埼玉県菖蒲コアの下総層群産貝形虫化石の群集解析―
    入月 俊明, 納谷 友規, 山口 正秋, 水野 清秀
    2011 年 117 巻 1 号 p. 35-52
    発行日: 2011/01/15
    公開日: 2011/05/11
    ジャーナル フリー
    中期更新世に発達した古東京湾の湾奥に相当する埼玉県大宮台地北縁で全長350.2mの菖蒲コア(GS-SB-1)が掘削された.このうちMIS 11と9にあたるM4とM3海成層を対象に貝形虫化石分析を行った.結果として74種の貝形虫化石が産出した.M4海成層では内湾奥-中央部泥底種と潮下帯-亜沿岸帯砂底種が多かった.M4海成層は上下2つに区分され,下部は海進期の開放的な湾の潮下帯-亜沿岸帯で,湾砂底から湾泥底への周期的変動が認められた.上部は高海水準期の閉鎖的内湾中央-湾奥の環境で,陸からの有機物供給量などの違いを反映した変動が認められた.最大古水深は約20-50mと見積もられた.一方,M3海成層の堆積環境は閉鎖的内湾から開放的になり再び閉鎖的内湾環境へと変化した.M4とM3海成層の貝形虫化石群集はお互い異なり,これは堆積環境の違いとそれぞれの時代における貝形虫の生物地理的な違いが関連している.
短報
口絵
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