地質学雑誌
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117 巻, 9 号
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論説
  • 卜部 厚志, 藤本 裕介, 片岡 香子
    2011 年117 巻9 号 p. 483-494
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    越後平野は,日本海に面した沖積低地で複数の砂丘列が発達している.平野部の阿賀野川流域の沖積層において,複数のボーリング試料の堆積相や構成鉱物の特徴から,約5000年前の沼沢湖噴火によるラハール堆積物の堆積過程を検討した.
    ラハールによる堆積物は,当時の海岸部では層厚5~8 m程度の軽石質なデルタを形成した.また,決壊洪水イベントによる膨大な量の火砕物は,デルタシステムを急速に前進させ海岸地形を変化させた.このような大規模な火砕物の再堆積作用の解明は,平野の形成過程における影響だけでなく,下流域での火山土砂災害としての予測につながる課題となるものである.
  • 阪手テフラを例として
    中村 千怜, 安江 健一, 石丸 恒存, 梅田 浩司, 古澤 明
    2011 年117 巻9 号 p. 495-507
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    近畿~中部地方の阪手テフラは,K-AhとAT層準の間の堆積物中に緑色普通角閃石・カミングトン閃石が含まれるという特徴で識別されてきた.阪手テフラと同定されたテフラ,およびその給源と目される三瓶浮布テフラについて岩石記載および火山ガラスの主成分組成分析を行った結果,それぞれが対比できた.火山ガラスが残存しない阪手テフラの場合,緑色普通角閃石の屈折率などで対比しているが,テフラの特徴を明瞭に示すとされる火山ガラスに代わって,阪手テフラに特徴的に含まれる斑晶のガラス包有物の主成分組成で同定できれば,識別精度が向上する.そこで,前出テフラに含まれる緑色普通角閃石中のガラス包有物の主成分組成を分析したところ,組成の特徴がよく一致した.よって,阪手テフラの同定については,緑色普通角閃石中のガラス包有物の組成の比較が有効であることが明らかになった.
  • 秋田県の中部および北部の軟体動物群
    天野 和孝, 吉田 新, 佐藤 時幸
    2011 年117 巻9 号 p. 508-522
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    北半球で氷床の発達したDatum A(2.75 Ma)における寒冷化が軟体動物群にどのような変化を与えているのかを検討すべく,秋田県太平地域,峰浜地域の鮮新世~更新世の軟体動物群を検討した.両地域ともDatum Aより下位の堆積物は上位に比べて細粒堆積物からなる.太平地域からは10産地より105種,峰浜地域では7産地より139種の軟体動物化石が識別された.これらの化石を検討した結果,両地域ともDatum Aより下位の層準では下部浅海帯の,上位では上部浅海帯の群集であることが明らかとなった.また,両地域ともDatum Aより上位で浅海化したにもかかわらず,寒流系種の個体数比が下位の層準より高いことが明らかとなった.さらに,一部例外はあるものの,北海道以北に現在も生息している種はDatum Aより上位の層準より, 中新世型残存種はDatum Aより下位の層準から採集された.以上から,2.75 Maの寒冷化は秋田県の軟体動物群に影響を与えたといえる.
  • 吉川 武憲, 安藤 寿男, 香西 武, 近藤 康生
    2011 年117 巻9 号 p. 523-537
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2012/01/26
    ジャーナル フリー
    香川県まんのう地域に分布する上部白亜系和泉層群北縁相の城山層上半部に,6層のカキ化石密集層を含む厚い汽水成層がある.その密集層の詳細な観察から,5タイプの産状型(リレー型,林立型,直立・横臥混在型,横臥密集型,横臥散在型)が識別できた.それらの分布や形状などから密集層の形成過程を復元すると,6層のうち5層は,(1)株状のカキ小集団の形成,(2)潮汐流などによる株の破壊と小移動,(3)それらを基盤とする密集層の大型化の3段階で形成された,自生・他生混在型カキ化石密集層であった.これは,物理的営力を受けやすい砂質潮汐低地に生息するカキ類における化石密集層の特徴と考えられる.さらに,本セクションに厚い汽水成層が存在し,そこに自生・他生混在型カキ化石密集層が含まれていることは,和泉堆積盆の沈降速度と供給量のバランスが長期間保たれたとともに,堆積盆沈降の停滞期が存在したことを示唆するものである.
報告
エラータ
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