地質学雑誌
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118 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総説
  • 佐藤 時幸, 千代延 俊, ファリーダ メウティア
    2012 年118 巻2 号 p. 87-96
    発行日: 2012/02/15
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    第四紀の始まりの改定に関する諸問題を石灰質ナンノ化石層序の観点から総括した.微化石による地質年代決定精度の向上は,温暖化/寒冷化の問題を汎世界的な詳細な対比に基づいて議論することを可能にしたばかりでなく,寒冷化と第四紀の始まりに関する問題を極めて具体的に明らかにすることを可能にした.結果として,汎世界的な寒冷化は,その直前の温暖期に引き続く事件であり,いずれもパナマ地峡の成立による海洋システムの変化が“Climate Crash”を引き起こし,石灰質ナンノプランクトンや浮遊性有孔虫の地理分布の完成と現在の海洋システム,すなわち“Quaternary style Climate”が成立したことを示している.その観点からすると,第四紀の始まりを, Climate Crashに最も近いジェラシアン階基底で第四紀の始まりを定義することは,極めて妥当であると言える.
  • 兵頭 政幸, 北場 育子
    2012 年118 巻2 号 p. 74-86
    発行日: 2012/02/15
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    中国黄土高原の紅粘土層の帯磁率と石英粒径が示す,鮮新世末の冷涼乾燥化イベントは海洋酸素同位体ステージ(MIS)G6-G4(2.73-2.68 Ma)に対比される.このイベントの発生と同時に約3.6 Maから続く温暖湿潤気候は終了したが,気候はまだ温暖であった.紅粘土層を覆う最初のレスL33層がMIS 104氷河期に対比される.この氷河期の氷床拡大は小規模であったが,L33層が示す冬季モンスーンは鮮新世に入って最強級の強さであった.L33層の最下部から中部にかけて小反転を多数伴うガウス-マツヤマ地磁気極性トランジションが記録され,その直上の古土壌S32層の下限が第四紀の始まりとなる.日本列島においても黄土高原と同様の長期温暖湿潤気候が続き,それはMIS G6-G4頃の冷涼乾燥化で終結した.ただし,その時の気候は黄土高原と同じくまだ間氷期並みに温暖であった.
論説
  • 佐藤 時幸, 佐藤 伸明, 山崎 誠, 小川 由梨子, 金子 光好
    2012 年118 巻2 号 p. 62-73
    発行日: 2012/02/15
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    新しく定義された新第三紀/第四紀境界を,石灰質ナンノ化石層序に基づいて秋田地域の大菅生沢および男鹿半島に詳細に追跡した.その結果,ピアセンジアン階/ジェラシアン階境界は大菅生沢ルートの笹岡層下部に,ジェラシアン階/カラブリアン階境界は,男鹿半島北浦層下部に位置することを明らかにした.石灰質ナンノ化石対比基準面に基づいて,日本海側地域の金沢,新潟,秋田地域の鮮新統-更新統を対比した上で,日本海側地域の代表的貝化石群の“大桑・万願寺動物群”産出層準の問題点を述べ,“Climate Crash”と呼ばれる2.75 Maに発生した北極域の大規模な寒冷化の日本海側地域への影響について整理した.さらに,地下断面に微化石年代層序を適用させ,北由利衝上断層群の活動が3.85 Maから1.71 Ma間であること,および秋田平野部の浅海化が北由利衝上断層群の活動と2.75 Maでの汎地球的な寒冷化(Climate Crash)の影響を強く受けていることを明らかにした.
  • 岡田 誠, 所 佳実, 内田 剛行, 荒井 裕司, 斉藤 敬二
    2012 年118 巻2 号 p. 97-108
    発行日: 2012/02/15
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    古地磁気および底生有孔虫化石の酸素同位体データを基に,房総半島南端に分布する鮮新-更新統境界を含む千倉層群の中部層準における詳細な編年を行った.その結果,検討層準がKaena逆磁極亜帯を含むGauss正磁極帯上部から松山逆磁極帯下部に,LR04酸素同位体標準カーブにおける海洋同位体ステージ(MIS)G16~93の間に対応することがそれぞれ判明した.またLR04タイムスケールでMIS 104とされていたMatuyama/Gauss境界は,MIS 103に相当することがわかった.この結果は,ATNTS2004で採用されている地中海の腐泥層序で見られる同境界の層位学的位置と一致する.
  • 千代延 俊, 森本 隼平, 鳥井 真之, 尾田 太良
    2012 年118 巻2 号 p. 109-116
    発行日: 2012/02/15
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    九州宮崎地域に分布する宮崎層群高鍋層上部は,鮮新世/更新世境界を含むことから,後期鮮新世から前期更新世の北西太平洋の海洋環境変遷を明らかにするのに適した地層である.同時代の黒潮変動を明らかにするために,宮崎県高鍋町永谷川沿いに露出する,高鍋層最上部から産出する石灰質ナンノ化石と浮遊性有孔虫化石群集を解析した.特に,古環境代替指標として用いた石灰質ナンノ化石のReticulofenestra属,Coccolithus pelagicusおよび浮遊性有孔虫化石のGlobigerinoides ruber, Globigerinoides quadrilobatus, Globigerinoides sacculifer, Neogloboquadrina incomptaが認められるほかに,石灰質ナンノ化石のDiscoaster属が特徴的に産出する.これらの種から,鮮新世末まで黒潮の影響下にあり海洋が成層化する環境から,漸移的な移行期を経て,更新世の冷水塊などによる湧昇流が卓越する海域へと変化したことを明らかにした.
  • 寒河江 健一, ハンブレ マーク, 小田原 啓, 千代延 俊, 佐藤 時幸, 樺元 淳一, 高柳 栄子, 井龍 康文
    2012 年118 巻2 号 p. 117-136
    発行日: 2012/02/15
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    沖縄本島南部には,主に第四紀更新世のサンゴ礁複合体堆積物からなる琉球層群が広く分布する.本地域の琉球層群は,糸満層,那覇層,港川層よりなる.糸満層は本地域内に散点的に分布し,主に溶解・侵食を受け赤色化した現地性の皮殻状無節サンゴモに富む石灰岩からなり,層厚は2 mを超える.那覇層は糸満層と不整合ないし同時異相の関係にあり,その分布高度は約170 m,層厚は50 mに達する.本層は4つのユニットの累重体であり,ユニット1~3は浅海相であるサンゴ石灰岩から沖合相である石灰藻球・Cycloclypeus-Operculina・砕屑性石灰岩へと上方深海化する整合一連のシーケンスよりなり,ユニット4は沖合相のみから構成される.石灰質ナンノ化石生層序は,那覇層の堆積は1.392~1.706 Maに始まり,0.853 Ma以降まで継続したことを示す.港川層は港川と喜屋武岬西方に分布し,層厚は約20 mに及ぶが,分布標高は50mを超えない.本層の地質年代は不明である.
口絵
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