地質学雑誌
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119 巻, 12 号
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論説
  • 小杉 安由美, 中川 光弘, 清野 寛子
    2013 年 119 巻 12 号 p. 743-758
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/06/05
    ジャーナル フリー
    電子付録
    渡島小島火山は西南北海道渡島半島沖の西方30 kmの海上にあり,背弧側火山列に位置する.その活動年代,形成過程,噴出物の岩石学的特徴を明らかにするため,新たに調査・サンプリングを行い,噴出物の鏡下観察・K–Ar年代測定・全岩化学組成分析を実施した.本火山は,中期~後期更新世の十数万年前に海中で活動を開始し,山体を徐々に海面上にまで成長させた.顕著な休止期を挟むことなく,火口位置を変えながら活動を継続し,非爆発的噴火を最後に活動を終えた.噴出物は玄武岩からデイサイトで構成され,その組成多様性は複数のマグマの混合が成因と考えられる.初期の活動に比べて,後期の活動時期には,複数のソース由来の多様な玄武岩質マグマが形成され,より多様な組成のマグマが噴出した.噴出物は,東北日本弧の背弧側火山に特有の高いK2O量を示し,同位体組成も他の背弧側火山と同様に海溝側火山よりも枯渇した組成を有する.
  • 清家 一馬, 岩野 英樹, 檀原 徹, 平野 弘道
    2013 年 119 巻 12 号 p. 759-775
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/06/05
    ジャーナル フリー
    新たなフィッション・トラック(FT)年代測定と地質構造解析から,西南日本内帯南縁,和泉山脈の領家-和泉帯を,南よりA,B,Cの3ブロックに区分して被熱・冷却史を考察した.ブロックAは和泉層群からなり,火砕岩のジルコンFT年代70.9±3.4 Maが堆積年代を示す.ブロックBは,泉南流紋岩類と滝尻アダメロ岩の一部からなる.前者のジルコンFT年代85.0±5.2 MaおよびアパタイトFT年代80.0±11.2 Maは噴出年代,ジルコンFT年代73.9±8.2 Maは滝尻アダメロ岩による部分接触変成の影響と解釈した.上記のアパタイトFT年代は,和泉堆積盆沈降による熱的影響を支持しない.したがって和泉層群は,横ずれ展張場のもとで,北縁の断層群を境としてブロックAのみに堆積したと考えた.ブロックCは,アパタイトFT年代50.0±6.6 Ma以降に上昇した滝尻アダメロ岩からなる.
  • 加納 大道, 高木 秀雄
    2013 年 119 巻 12 号 p. 776-793
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/06/05
    ジャーナル フリー
    淡路島の領家帯古期花崗岩類を貫きNW-SE方向に発達する古期岩脈類において,右ずれを示すマイロナイト化が見出された.本論では,マイロナイト化した古期岩脈類に着目し,岩石記載,全岩化学組成と古期花崗岩類との関係,石英ポーフィロクラストの歪解析と再結晶石英のファブリックなどを検討した.また,古期岩脈類の角閃石K-Ar年代として,79.8,81.0 Maが得られた.その結果,次の構造発達史が導かれた.中新世の日本海拡大に伴う西南日本の時計回りの回転をもとに戻した場合,古期花崗岩類の比較的低温条件のマイロナイト化(90-85 Ma)に引き続き,E-W圧縮場と呼応してE-W方向の古期岩脈類が85-80 Maに貫入,その後圧縮応力場がNW-SE方向に変化したことに呼応し,中温条件下において古期岩脈類に右ずれのマイロナイト化(80-70 Ma)が局所的に記録された.
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