CO
2地中貯留における地化学プロセスについて,最新の研究の動向とこれまでに得られた知見のレビューを行った.帯水層への貯留では,CO
2の溶解による地層水の酸性化を起点として,一連の地化学プロセスが起こる.これらのプロセスは,長期にわたりCO
2の形態を変換させていくことにより,貯留の安全性を強化する反面,CO
2の圧入時から圧入井 周辺での漏洩リスクの増加や圧入性の低下など負の影響を及ぼす可能性もある.地化学プロセスへのアプローチとして,主としてシミュレーションを用いた評価が行われているが,現状では特に反応キネティクスに関して多くの不確定性が含まれている.したがって,計算結果の信頼性の向上は,速度論に関わる知見や高精度のパラメータの取得に依存してい る.今後は,CO
2地中貯留の安全性,経済性,環境影響等の改善等を目的とした,地化学 プロセスの積極的な活用も重要な視点となる.
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