地質学雑誌
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119 巻, 8 号
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特集 三次元地質モデル研究の新展開に向けて
総説
  • 木村 克己, 升本 眞二, 高野 修, 根本 達也
    2013 年 119 巻 8 号 p. 509-514
    発行日: 2013/08/15
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    三次元地質モデリングは,その応用的な有用性から世界の先進各国で注目され,国内では,都市工学,地震防災,石油・資源分野で研究・開発が進められている.三次元モデリングに関する主要な内容として,国内における地理情報や地下情報の整備状況,三次元地質モデルの基本となるサーフェスモデル,ボクセルモデル,および地球統計学的モデリング手法の概要,そして,地質調査・土木・建築分野,地震防災分野,石油・資源分野における研究動向を解説した.
ノート
  • 古宇田 亮一
    2013 年 119 巻 8 号 p. 515-518
    発行日: 2013/08/15
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    International standards are promoted by recent international cooperation for three dimensional subsurface geology based on the international framework of ISO 19113 through 19119 with XML format. GeoSciML is the geology version of GML by OGC (Open Geospatial Consortium) that contributes some accessible international three dimensional subsurface database. Accessible three dimensional information can accelerate the development of tools of three dimensional geological modeling which needs standards. Such tools of three dimensional geology are divided into the solid and voxel modelers. We have sophisticated commercial based tools of three dimensional modeling, though we hope the newly development of FOSS(Free and Opne Source system) based tools like as SGeMS for three dimensional geostatistics that allows further development additionally with the time and uncertainty dimensions.
総説
  • 升本 眞二, 塩野 清治, 根本 達也, 野々垣 進
    2013 年 119 巻 8 号 p. 519-526
    発行日: 2013/08/15
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    地質図には多様な地質データから推論された三次元モデルに基づく地質体の空間分布と関係が示されている.地質図の情報には客観性,再現性,更新性,拡張性,適合性,柔軟性,汎用性という観点から解決しなければならない多くの問題点がある.地質情報が有効に活用されるためには,理解しやすく信頼性の高い三次元地質モデルの構築が必要である.三次元地質モデルの基本要素はモデル構築に必要な情報であり,観察したデータ,推論した情報,論理的なモデル,地質境界面,および境界面推定方法を含む構築方法から構成される.離散数学を用いた地質構造の論理モデルは三次元地質モデリングのための数学モデルの1つである.地質構造の論理モデルは地質体の分布域と境界面の関係を表現したものであり,地史から理論的に構築できる.三次元地質モデルと基本要素を合わせた地質情報の開示が地質図利用の問題点を解決する.
  • 根本 達也, 升本 眞二, 塩野 清治, 野々垣 進
    2013 年 119 巻 8 号 p. 527-536
    発行日: 2013/08/15
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    三次元地質モデリングのための数学モデルのひとつに,離散数学を用いた地質構造の論理モデルがある.三次元地質モデルは地質体の分布域と境界面との間に成り立つ論理的関係(地質構造の論理モデル)と境界面の形状で構成される.両者が与えられれば,三次元空間内の任意の点に対して,その点が含まれる地質体を割り当てる関数(地質関数)が定まる.この地質関数を基礎として,GISによる三次元地質モデルの構築や可視化が実現し,三次元地質モデルを構築するためのソフトウェアやWebシステムの開発が進められている.しかし,すべての地質現象を表現できるわけではなく,残された課題もある.実用化のためには,さらなる地質学の論理の定式化とアルゴリズムの開発が必要である.
論説
  • 木村 克己, 花島 裕樹, 石原 与四郎, 西山 昭一
    2013 年 119 巻 8 号 p. 537-553
    発行日: 2013/08/15
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    東京低地北部から中川低地南部に分布する沖積層を対象として,地形・地質の形成過程を考慮したボーリングデータ補間による沖積層基底面モデルの三次元解析方法を示す.作成手順は以下の通りである.(1)沖積層基底面はボーリングデータから,そして沖積層の地表境界線と台地面は地質図と国土地理院の数値地図5 mメッシュ(標高)から,それぞれ実ポイントデータを作成する,(2)埋没平坦面と侵食崖との境界,支谷筋を明確にするために補填ポイントデータを作成する,(3)形成年代の異なる埋没平坦面毎に実ポイントデータから面モデルを求めそのポイントデータを作成する,(4)これらのポイントデータから,沖積層基底面モデルを空間補間処理計算によって求める.得られた沖積層基底面モデルは,ボーリングデータの不足・偏在の影響を補い,沖積低地に伏在する最終氷期最盛期頃に形成された古地形面を近似するものとなる.
  • 石原 与四郎, 宮崎 友紀, 江藤 稚佳子, 福岡 詩織, 木村 克己
    2013 年 119 巻 8 号 p. 554-566
    発行日: 2013/08/15
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    平野地下に分布する沖積層は,主として土質ボーリングによってその分布の実態が明らかにされてきた.これらの研究では,膨大な数からなる数値化されたボーリング情報を用いて,3次元地盤モデルがしばしば構築されるが,それらはサーフェイスモデルであることが多い.本研究では,東京都港湾局よって管理されている東京湾岸地域のボーリングデータベースを用いて,3次元地質モデルの構築を試みた.東京湾岸地域の地下は,更新統の江戸川層,東京層が最終氷期最盛期までに削られて埋没地形を形成し,それらを覆って厚い沖積層が分布する.ボーリングデータベースは多様な土質情報を含むが,本研究では特に粒度組成に注目した岩相モデルとN値のモデルを構築した.構築したモデルは,既存の断面図と調和的な沖積層基底地形や層相を示すとともに,いままで明らかになっていなかった平面的な層相の分布を明瞭に示した.
総説
論説
  • 辻 隆司, 岡田 欣也, 曺 奎煥, 加藤 新, 柏原 功治, 川田 耕司, 山田 泰生, 高野 修, 山田 知己
    2013 年 119 巻 8 号 p. 580-592
    発行日: 2013/08/15
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    石油・ガスの探鉱開発では,地質モデルに地質概念を統合することが不可欠である.しかし,複雑な形状を含む地質概念の統合は,従来の確率論的モデリング手法では困難であった.最近になり,この機能に優れるとされるモデリング手法(多点法)が実用化されてきた.多点法では訓練像を介して,地質概念をモデルに統合する.しかし,複雑な形状を含むモデルの構築に,多点法はこれまで用いられていない.
    そこで,複雑な樹枝状を示す侵食谷地形を模したリファレンスモデルを準備し,その再現に多点法を適用し,多点法の有効性を検討した.リファレンスモデルに対応する各種データと訓練像を作成し,それらを用いて多点法を実行したところ,様々なスケール・解像度のデータが地質概念とともにモデルに統合でき,同時にリファレンスモデルに示された侵食谷形状が再現された.この結果,複雑な形状を呈する貯留層のモデリングでも多点法が有効であることが判明した.
ノート
口絵
エラータ
  • 林 広樹, 橋野 慎平, 野村 律夫, 田中 裕一郎
    2013 年 119 巻 8 号 p. 598-
    発行日: 2013/08/15
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    訂正
    地質学雑誌第119巻4号掲載の林ほか論説(p.300-311)において,重要な先行研究の引用漏れがありました.以下のように追記願います.
    (1)p.302,左段10行目以降,下線部分を追記
    波多層は火山岩や火山砕屑岩類から主に構成される下部中新統であり,その最上位の溶結凝灰岩のジルコン・フィッショントラック年代として18.4±1.2Maの値が得られている(鹿野ほか, 1998).なお,波多層の年代については16~15Maの若い年代値を示すものも存在し(沢田・板谷, 1987),年代層序学的な意義について再検討もされている(沢田ほか, 2013).
    (2)引用文献の追加
    沢田順弘・板谷徹丸(Sawada, Y. and Itaya, T.), 1987, 島根県東部における第三紀火山岩類のK-Ar年代.日本地質学会第94年学術大会講演要旨(94th Ann. Meet. Geol. Soc. Japan, Abstr.), 417.
    沢田順弘・三代喜弘・今岡照喜・吉田聖典・稲田理沙・久井和徳・近藤 仁・兵藤政幸(Sawada, Y., Mishiro, Y., Imaoka, T., Yoshida, K., Inada, R., Hisai, K., Kondo, H. and Hyodo, M.), 2012, 島根県出雲市南方地域における中新統のK-Ar 年代と古地磁気方位.地質雑(Jour. Geol. Soc. Japan), 119, 267-284.
    (著者代表 林 広樹)
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