「割山圧砕花崗閃緑岩」は,阿武隅山地東縁の双葉断層に沿い,その東側に南北に細長く分布する岩体である.全岩化学組成の特徴から典型的なアダカイトと判断されるが,中粒でよりK
2O,Srに乏しい系列と,粗粒でそれらに富む系列に2分される.前者から308 ± 3,302 ± 4 Maの,また後者から118 ± 2,117 ± 1 MaのジルコンU–Pb年代が得られた.このことから,後期石炭紀のものを従来にならい割山花崗岩体,前期白亜紀のものをあらたに高瀬花崗岩体と命名した.300 Ma頃の年代を示す花崗岩は,これまで日本列島からほとんど見つかっていなかった.今回の発見により,これまでペルム紀(約280 Ma)とされてきた日本列島の後期古生代花崗岩の形成開始年代は,後期石炭紀の300 Maまで遡ることになる.またその花崗岩がアダカイト質花崗岩であることから,300 Ma頃に始まる花崗岩形成は,海嶺沈み込みあるいは若いプレートの沈み込みで始まった可能性が指摘できる.
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